2019年9月21日、F1第15戦シンガポールGP予選がマリーナベイ・ストリートサーキットで行われ、フェラーリのシャルル・ルクレールが第13戦ベルギーGPから3戦連続となるポールポジションを獲得した。得意のコースで優勝を狙うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4番手、アレックス・アルボンは6番手につけた。予選順位が重要となる市街地サーキットだが、その一方でなにが起きるかわからない「予測不可能なグランプリ」とも言われるだけに、優勝の可能性は十分にある。(写真はポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール)

不利と言われていたフェラーリが予想外の速さを発揮

レッドブル・ホンダとメルセデスAMGの戦いになると予想されていたシンガポールGP予選だったが、フリー走行から好調のフェラーリがここでも驚くべき速さを見せた。

フェラーリの2台はQ2を1-2で通過すると、Q3でもシャルル・ルクレールが圧倒的な走りでトップタイムをマーク、ベルギーGPから3戦連続となるポールポジションを獲得した。チームメイトのセバスチャン・ヴェッテルも好調で、Q3の最初のアタックでライバルをリード。Q3の最終アタックのセクター1で失敗し、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンに逆転されたものの、予選3番手につけた。

得意のサーキットでポールポジションも期待されたレッドブル・ホンダは、2台揃って順調にQ3に進み、マックス・フェルスタッペンが渾身のアタックを見せてメルセデスAMGのバルテリ・ボッタスを上回ったものの4番手、アレクサンダー・アルボンはボッタスから0.3秒遅れの6番手となった。それでも上位陣のタイムは接近しており、フェルスタッペンとポールのルクレールとの差は0.6秒ほどしかない。

オーバーテイクの難しい市街地コースで、予選2列目、3列目は簡単ではないが、高温多湿の気候の中、波乱も予想されるだけにおもしろいレースとなりそうだ。

トロロッソ・ホンダは、中団グループの超接近戦の中、ピエール・ガスリーがQ2へ進出して10番手と0.119秒差の13番手(決勝は12番グリッドからスタート)。ダニール・クビアトはフリー走行でマシンにオイル漏れが起きたためパワーユニットを急遽交換。新品のパワーユニットではないのでペナルティーを受けることはないが、走行時間を失ったクビアトはQ1で0.015秒差の16番手となりQ2進出を果たせなかった(決勝は15番グリッドからスタート)。

ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「今日の予選はフェルスタッペン選手がいつも通りの力強い走りを見せ、2列目スタートとなる4番グリッドを獲得しました。また、アルボン選手は6番手と、初走行となるこの難しいサーキットで確実なパフォーマンスを見せてくれました。クビアト選手については、FP3走行中にパワーユニットとシャシのジョイント部の問題によりオイル漏れが発生しました。予選までの時間を考慮し、パワーユニット交換を行うことに決定しました。このGPはコーナーの多いストリートコースでの戦いになりますので、あらゆる事態を想定し、万全の準備を進めます」とコメント。ホンダ勢のドライバー4人は次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選4番手。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選4番手。

「2列目よりも前のグリッドを狙えると思っていましたが、フリー走行でフェラーリとメルセデスが非常に速いことがわかりました。僕たちもさらに速くなることはわかっていましたが、ポールポジションに挑戦できるほどの速さがありませんでした。マシンのバランスは問題ないのですが、十分にグリップを得られなかったので、その点を分析する必要があります。ここではフロントロウを賭けて戦うつもりで来ましたし、自分たちと相性がいいと思っていた場所での4番グリッドは残念です。ただ、自分たちのベストは尽くしましたし、少なくとも1台のメルセデスよりは前のポジションをとることができました。レースではどんなことも起こり得ますので、決勝は全力で戦います」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選6番手。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選6番手。

「Q1ではマシンがしっくりいかずバランスに苦戦しましたが、最後のアタックに向けていくつか変更を施したことで感触がよくなり自信を取り戻しました。これも学習の一環です。僕は、このコースでマシンを速くするためにどうすべきかをどんどん学んでいます。決勝レースでは戦略が重要になりますし、タイヤもそれほどもつようには見えません。コースはとてもテクニカルですから、長く厳しいレースになると思います。もちろん、もっと上のグリッドを獲得したかったですし、課題もありますが、それほど悪くない結果だと感じています。よかった面にフォーカスしつつ、6番手からの戦いに備えます」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選16番手、決勝15番グリッドスタート。

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選16番手、決勝15番グリッドスタート。

「予選については満足していません。最後のアタックは失敗で、チェッカーを受けた瞬間にQ2へのチャンスはないだろうと思いました。トラフィックの中へ出てタイムをロスしてしまい、さらにセクター1でエンジンスイッチの操作もあったため、それも影響してしまいました。また、シンガポールのような一周ごとに状況が変化するサーキットで、3回目のフリー走行を走れなかったのは痛かったです。Q1でコースへ出たときにはうまくリズムに乗れず、マシンの間隔もあまりよくありませんでした。決勝はタフなレースになると思いますし、さまざまな波乱もあるでしょう。それは僕らにプラスに働くかもしれないので、ポイント獲得のチャンスはあると思います」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選13番手、決勝12番グリッドスタート。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選13番手、決勝12番グリッドスタート。

「予選前から、トップ10入りを目指す中団の戦いはタイトになることはわかっていました。Q1では9番手タイムをマークできましたが、Q2では0.1秒届きませんでした。僅差で目標達成を逃してしまうのは悔しいのですが、僕らはベストを尽くしたと思います。決勝は12番グリッドからスタートできるので、戦略的なオプションを確認し、スタートタイヤの選択でアドバンテージを得られるようにしていく必要があります。決勝は61周の長いレースで波乱も起きるでしょうから、できる限りプッシュし、クリーンなレースをして最後まで戦い続けることで、チームにポイントをもたらすことができればと思っています」

なお、タイヤを供給するピレリは「ソフトタイヤとミディアムの間に1秒以上のラップ差があり、上位陣はQ2をソフトタイヤでクリアしました。決勝ではトップ10台はこのタイヤでスタートすることになります。理論上最速の戦略は、ソフトタイヤでスタートし16から20ラップの間にミディアムに交換するというものですが、2008年に初めてシンガポールGPが開催されて以来18台のセーフティカーが導入されおり、ここでは何でも起こり得ます。実際レースの状況はセーフティカーが導入されるタイミングによって決定される傾向があり、 柔軟な戦略が必要となるでしょう」と分析している。

画像: ピレリが推奨する第15戦シンガポールGPのタイヤ戦略。

ピレリが推奨する第15戦シンガポールGPのタイヤ戦略。

画像: 第15戦シンガポールGP決勝に向けての各ドライバーの保有タイヤ。

第15戦シンガポールGP決勝に向けての各ドライバーの保有タイヤ。

第15戦シンガポールGP決勝は9月22日20時10分(日本時間21時10分)にスタートする。

2019 F1シンガポールGP予選結果

1位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:36.217
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:36.408
3位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:36.437
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:36.813
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:37.146
6位 23 A.アルボン(レッドブル・ホンダ) 1:37.411
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:37.818
8位 3 D.リカルド(ルノー) 1:38.095
9位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー) 1:38.264
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:38.329

13位 10 P.ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
16位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)

※S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)はギアボックス交換のため5グリッド降格、D.リカルド(ルノー)はMGU-Kのパワー制限を超えたため決勝最後尾スタート。

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