2005年にはそれまで地味な存在だったフォルクスワーゲン パサートが驚くべきビッグチェンジを断行して注目を集めた。5代目では実直さを備えながらもスタイリッシュ&エモーショナルな方向へ大転換したのだ。アウディA4との兄弟関係を解消して、エンジン横置きレイアウトとなったのもニュースで、Motor Magazineでもその第一報を速報で伝えている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年2月号より)

イメージを一新する伸びやかなスタイリング

フォルクスワーゲンのミドルクラスを受け持つパサートは、その起源がゴルフより古い長寿モデルで、1996年に発表されたモデルは4世代目にあたり、累計で1300万台も売れている。

このゴルフに次ぐ重要モデルのパサートは、しかしこれまであまり「華」がなく、ドイツを中心に自動車にあまりこだわらない人たちのクルマという理解のされかたをしてきている。

フォルクスワーゲンではこのイメージから脱却するために、ニューパサートにエモーショナルなデザインを与えている。つまり、これまで様々なモーターショーで公開してきたコンセプトカー「コンセプトR:ロードスター、あるいはコンセプトC:バリオルーフ付クーペ・ロードスターで、主張してきた新しいフォルクスワーゲンデザインを採用している。

異型へッドライトがその典型で、リアにはフェートン風の丸型リアコンビネーションランプが採用されるが、これはLEDである。

サイズは旧モデルに対して長さが62mm伸ばされ4770mmに、幅が74mm広がり1820mm、高さが10mm上がって1470mmとなった。ホイールベースは6mm延長され2710mmになっている。また、トランク容量は90L増加して565Lとなり、このクラスでは最大になった。さらにボディ剛性はスタティスティックな捩れで旧モデルに対して57%の向上を見せているという。

また、このクラスで競争の激しくなった装備品の充実化も行われている。まず自動車電話はブルーストゥースで接続可能、エレクトリックパーキングプレーキ、自動車間距離維持システム、またパッセンジャーに直接風の当たらないソフトなオートマチックエアコン、さらにはキーレスエントリーなどの快適指向装備が用意されている。

搭載されるエンジンはほぼ一新される。まず最初に登場するガソリン仕様はエントリーモデルの102ps、1.6L 4気筒はそのまま踏襲されるが、その上はすべて直噴仕様(FSI)で新しくなる。すなわち4気筒シリーズが1.6L(115ps)、2L(150ps)、2Lターボの200ps。そして2005年の後半からは、250psの3.2L V6のFSIがトップモデルとして追加される予定だ。

またパサートの場合、ヨーロッパ市場でほぼ70%を占めるディーゼル(TDI)仕様は、105ps、140ps、170psの3種類が発売時にディーラーに並ぶが、いずれもピエゾ噴射システムを採用。さらに現在、ヨーロッパで話題の中心となっているDPF(ディーゼル触媒フィルター)が装備される。

また組み合わされるトランスミッションは、一部を除き6速マニュアルが標準で、エクストラで小さなエンジンには6速のトルコンAT、TDIとV6ガソリンでは6速DSGが選択できる。

このニュー・パサートは2005年の3月からドイツを中心とするヨーロッパを皮切りに販売がスタートする予定。日本への導入時期などは未定だ。(文:木村好宏/Motor Magazine 2005年2月号より)

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フォルクスワーゲン パサート 2.0FSI(2005年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4770×1820×1470mm
●ホイールベース:2710mm
●重量:1369kg
●エンジン:V4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:150ps/6000rpm
●最大トルク:200Nm/3500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
●サスペンション:前ストラット後4リンク
●最高速:213km/h
●0→100km/h加速:9.4秒

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