2019年9月28日、F1第16戦ロシアGP予選がソチ・オートドロームで行われ、フェラーリのシャルル・ルクレールがまたもやポールポジションを獲得、第13戦ベルギーGPから続く連続ポールを4に伸ばした。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4番手につけたがパワーユニットエレメント交換のため決勝5グリッド降格、アレックス・アルボンは予選1回目で痛恨のクラッシュを喫し後方からのスタートとなる。(写真はポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール)

ルクレールが圧巻の走りを見せるなか、ホンダ勢にとっては厳しい予選に

ライバルを寄せ付けない圧巻の予選だった。ルクレールはQ3の最初のアタックで1分31秒801までタイムを縮めてトップに立つと、最後のアタックでもタイムをさらに縮めて、あっさりと4戦連続のポールポジションを決めた。

ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)はセバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)を逆転して2番グリッッドを確保するのが精一杯。そのヴェッテルはフロントロウを逃して3番手となった。これに続いて4番手にフェルスタッペンが入ったが、すでに5グリッド降格が決まっており、バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)は無理をせず5番手で予選を終えた。

ルクレールの速さは圧倒的だったが、注目ポイントは決勝のスタートタイヤを決めるQ2をメルセデスAMGの2台がミディアムで通過したこと。フェラーリを含め、そのほかのトップ10勢は全車ソフトタイヤでのスタートとなるため、レース前半の展開は興味深いものとなりそうだ。

画像: ポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール。

ポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール。

ホンダ勢では、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンはQ1でクラッシュを喫しQ1で敗退、トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトはフリー走行でトラブルに見舞われて予選に出走しなかった。また、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは無事にQ2へと進出して素晴らしいパフォーマンスを見せたものの、最終的には11番手となりQ3への進出を逃した。

ただし、ホンダ勢4台は予選前にすでにグリッド降格が決まっており、それを想定して挑んでいた面もある。ガスリーはスタートタイヤが自由に選べる最も理想的な結果とも言える。

ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「予選ではフェルスタッペン選手が堅実な走りを見せて4番手となりました。ただ決勝はペナルティにより9番グリッドからのスタートになります。その他のマシンもパワーユニット交換にともなうグリッド降格のペナルティにより後方からのスタートになりますが、レースではポジションを上げてフィニッシュできるよう、最善を尽くしたいと思います。なお、クビアト選手についてはフリー走行のセッション中にパワーユニットに問題が発生し、交換が必要になりました。ペナルティによる最後尾スタートが確定していたので、確実な交換作業を実施することを優先し、予選に出走しないことを選択しました。今回発生した問題ついてはこれから分析を行います」とコメント。ホンダ勢のドライバー4人は次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選4番手、決勝9番グリッドスタート。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選4番手、決勝9番グリッドスタート。

「今回のようなパワーサーキットでの予選は簡単にはいかないとわかっていました。上手くラップはまとめられましたが、得意としている最終セクターで風の影響を受けてしまい、マシンのポテンシャルを最大限まで活かすことができませんでした。このコースのコーナーはほぼ90度に近いうえに距離も短いため、ラップタイムを稼ぐのは難しいのですが、4番手でメルセデスの2台の間に割って入ることができたのはポジティブな結果ではないでしょうか。グリッド降格のペナルティで9番手からスタートとなるため、クリーンなスタートを決めるのが重要です。周りのマシンも同じく慎重になってくれることを願います。現実的に考えれば5位が妥当な目標となりそうですが、もちろんそれ以上の結果を目指して最大限に努力して戦います。明日の決勝は2台の間で戦略を分けるメルセデスがどうなるかも含め、面白いレースが期待できそうです」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選19番手、決勝18番グリッドスタート。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選19番手、決勝18番グリッドスタート。

「予選でプッシュしすぎた結果、リアにダメージを負ってしまいました。これ以上は言葉がありません。スピンをしてしまったコーナーで追い風が吹き、その影響を受けてしまいました。現代のF1マシンは、一度コントロールを失うと挙動を取り戻すことがとても難しいのですが、つまらないミスをしてしまったとしか言いようがありません。このレースウイークではあまり自信を持つことができておらず、フリー走行から苦しんでいました。ただ、段々と調子も上がり、予選に近づくにつれ自分のリズムをつかみかけてはいました。あるコーナーに自信をもてないと、どのコーナーでも同じように感じてしまうことがありますが、このソチはそんなサーキットのひとつであると予選を走りながら感じていました。明日はグリッド後方からのスタートなってしまいますが、ロングランでのマシンの感触はいいし、ここはオーバーテイクができるサーキットなので、決勝は期待を持って臨めそうです」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選11番手、決勝16番グリッドスタート。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選11番手、決勝16番グリッドスタート。

「あと少し!という予選でした。トップ10に入るのは難しいとわかってはいましたが、全力を尽くした結果だったので、自分の走行には満足しています。Q2の最初のアタックラップはトロロッソで見せたベストラップのひとつになるのではないでしょうか。2回目はリスクをとってタイムを更新しなければならないと思っていましたが、残念ながらうまくまとめることができず、タイム更新とはなりませんでした。毎レースごとに進歩できていると感じているので、今日の予選もポジティブに捉えています。エンジン交換のペナルティのため16番手からスタートとなりますが、スタートタイヤを自由に選択できるという利点があるので、どんな戦略で戦うかがキーとなりそうです」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選出走せず、決勝20番グリッドスタート。

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選出走せず、決勝20番グリッドスタート。

「なかなかスムーズに進まないレースウイークとなっていますが、重要なのは決勝です。グリッド後方からのスタートが決まってはいましたが、せっかくの故郷でのレースで予選を逃すことになってしまいとても残念です。こういったことは起こってしまうことなので、状況を受け入れ、明日の決勝でいい結果を出せるように全力を尽くさなければなりません。チャンスはあるので、まだこのレースウイークを諦めたわけではありません。フリー走行中のトラブルにより走行マイレージが稼げていませんが、このコースのことはわかっているので、決勝ではいいリズムを掴んで最後まで戦いたいと思います」

なお、タイヤを供給するピレリはロシアGP決勝について「伝統的にワンストッパーが最も速い戦略になります。理論上最速の方法は、ソフトタイヤでスタートし、15から19周でハードタイヤに交換することですが、セーフティカーなどいろいろな要素を考えると、ミディアムでスタートし14から22周でハードに切り替えるほうが有利かもしれません。今回はフェラーリがソフトタイヤでスタートするのに対し、メルセデスAMGはミディアムを選択しました。これが大きなポイントになるのは間違いないでしょう。 摩耗と劣化が少ないため、ライバルよりも早くタイヤを交換して優位に立つアンダーカットも、逆に長く滞在するオーバーカットもあまり期待できません。ホンダ勢は4台ともペナルティ降格で後方からのスタートとなりますが、どこまで順位を上げられるか注目です」と分析している。

画像: ピレリが推奨するロシアGPのタイヤ戦略。

ピレリが推奨するロシアGPのタイヤ戦略。

第16戦ロシアGP決勝は9月29日14時10分(日本時間20時10分)にスタートする。

F1第16戦ロシアGP 予選結果

1位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:31.628
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:32.030
3位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:32.053
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:32.310
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:32.632
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:33.222
7位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー) 1:33.289
8位4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:33.301
9位 8 R.グロージャン(ハース・フェラーリ) 1:33.517
10位 3 D.リカルド(ルノー) 1:33.661

11位 10 P.ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
19位 23 A.アルボン(レッドブル・ホンダ)  
26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)

※M.フェルスタッペン、P.ガスリー、 A.アルボンはパワーユニットエレメント交換のため5グリッド降格、D.クビアトは予選走行できず、D.クビアトとR.クビサ(ウイリアムズ・メルセデス)はパワーユニットのエレメント複数交換のため後方スタート。

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