1985年のグループAによる全日本ツーリングカー選手権で、最速の一台を挙げろと言われたとき「無限シビックSi」の名を挙げないわけにはいかない。中嶋悟/中子修という一線級のドライバーを要して、2クラス上のハルトゲBMW635CSiを向こうに回して善戦したことは今でも語り草となっている。

名門「無限」により驚異的な速さを与えられる!

画像: 1985年の全日本ツーリングカー選手権で総合優勝を1回。ポールポジション2回を記録した無限シビック

1985年の全日本ツーリングカー選手権で総合優勝を1回。ポールポジション2回を記録した無限シビック

ホンダのレース車開発の最右翼と言えば「無限」だ。そのスペシャリスト集団が、もともと素性の良さで評価の高いシビック1600Si(AT型)を1985年のグループA規定による全日本ツーリングカー選手権に投入した。

フロントに横置き搭載されたZC型エンジンは、1.6 L直4DOHC。ノーマルスペックはグロス値で最高出力135ps/6500rom、最大トルク15.5kgm/5000rpmというもの。これをアルミ鍛造のハイコンプレッションピストンや、カムシャフトのプロファイル変更、H型断面の軽量コンロッドなどで、ネット値で最高出力170ps/7500rpm、最大トルク16.0kgm/7000rpmまでチューニングした。

画像: インターTECでは中嶋悟/中子修のコンビによりBMW635CSiなどと時に接戦を見せた。

インターTECでは中嶋悟/中子修のコンビによりBMW635CSiなどと時に接戦を見せた。

サスペンションはストラット/トーションビームのノーマル形状を維持するが、フロントロアアームはレース用の強化タイプが採用される。ショックアブソーバはショーワ製で減衰力調整機構付き。フロントストラットの傾きを大きくつけることでネガティブキャンバーとしているのはアンダーステア対策だ。

ブレーキはノーマルではリアがドラムになるが、前後ともディスクブレーキとした。フロントはロッキードの4ポットキャリパーとベンチレーテッドディスクの組み合わせ。リアはシングルピストンとソリッドディスクの組み合わせとなっている。ホイールはフロント/7J-14、リア/6.5J-14を採用した。

車重はグループA規定で800kgだが、もともと軽いためにウエイトを積み規定に合わせる方向となった。クラスのライバルとなるAE86がだいたい840kg前後ということで、これも有利に働いていることは間違いない。

画像: 無限チューンのエンジン、サスペンションに加え軽量ということでコーナリングスピードは抜群だ。

無限チューンのエンジン、サスペンションに加え軽量ということでコーナリングスピードは抜群だ。

レギュラーシーズンの第3戦(西日本サーキット)に中嶋悟/中子修のドライビングによりデビュー。いきなりポールポジションを獲得し、衝撃的な速さを披露。第4戦(鈴鹿サーキット)ではポールポジションからBMW635CSiとの接戦を制し優勝を遂げた。

第5戦のインターTECは富士スピードウェイという超高速コースというで不利ではあったが、予選9位。決勝はときに上位クラスとバトルを繰り広げて9位という活躍を見せた。FFでもスポーツカーが作れるということを示したことでも、シビックの存在感は大きかったのだ。

グループAの名車バックナンバー

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