日本を代表する乗用車といえば、まずトヨタ クラウンの名が思い浮かぶのではないだろうか。初代が登場してから、2020年の1月で65年になる。そこで、初代から現行型まで歴代のクラウンの軌跡を振りかえってみよう。今回は1962年に登場した2代目、RS40/MS40系クラウンを解説する。

国産乗用車初のV8を開発。主力機M型6気筒も投入

■RS40/MS40系(1962年9月〜)

トヨタはクラウンによって日本の高級セダン市場をリードした。だが、7年間も基本設計を変えなかったため、台頭するライバルに対し古さが目に付くようになってきた。そこで1962年(昭和37年)9月に初のモデルチェンジを行い、2代目となるRS40/RS41系クラウンが登場した。

話題をさらったのは、気品あふれる美しいシルエットだ。小型車枠の中に収めているが、伸びやかで、押しが強い。フロントグリルはトヨタの頭文字「T」をモチーフにした端正なデザインで、その両側に4灯式のデュアルヘッドランプを配した。

画像: クラウン=日本の高級車というイメージを定着させるため、従来型より全長を200mm、ホイールベースを160mm延長しながら、全高は70mmダウンさせ、アメリカンコンパクトを思わせるスタイルとなった。

クラウン=日本の高級車というイメージを定着させるため、従来型より全長を200mm、ホイールベースを160mm延長しながら、全高は70mmダウンさせ、アメリカンコンパクトを思わせるスタイルとなった。

ドアは、この2代目から前後とも前ヒンジのスイングドアに変更されている。精緻なプレス技術にも目を見張った。複雑なラインを破綻なくまとめている。リアコンビネーションランプは丸型デザインだ。

インテリアもモダンに生まれ変わった。インパネは高さを抑えた水平基調のデザインとし、ドライバーの前に横長のメーターを置いている。シートも上質な織物を奢った。クラウンならではの優雅な世界を上手に表現した。

フレーム構造は高い強度を持つX型フレームだ。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはスタンダードを除き、トレーリングアームにラテラルロッドを追加した4リンク式である。

画像: 横長の速度計を中心に、左に電流/燃料計、右に水温/油圧計を配置。ステアリングにはウインカー&ホーン機能を持つリングを設置。

横長の速度計を中心に、左に電流/燃料計、右に水温/油圧計を配置。ステアリングにはウインカー&ホーン機能を持つリングを設置。

パワーユニットは3R型直列4気筒OHVを受け継いだ。2種類のチューニングがあり、オーナードライバーを狙ったデラックスは最高出力90ps/最大トルク14.5kgmを発生する。トランスミッションは3速MTとオーバードライブ付き3速MT、そして2速ATのトヨグライドを設定した。1963年9月、3速MTをフルシンクロ化している。また、トヨグライドも全自動タイプとなり、洗練度を高めた。

東京オリンピックの開催を10月に控えた1964年春、日本で初めてV型8気筒エンジンを積むVIPサルーン〝クラウン・エイト〞を市場に送り込んだ。ホイールベースを50mm延ばし、全幅を1850mまで広げてプレステージ性を高めた。純毛のカーペットや西陣織シート地のパワーシートなど、内装も贅の限りを尽くしている。また、日本初のオートドライブをオプション設定し、注目を集めた。

画像: クラウン・エイトは当時、世界的に見ても生産型乗用車用としては数少なかったアルミブロック&ヘッドの2.6L V型8気筒エンジンを搭載したプレミアムモデルだ。

クラウン・エイトは当時、世界的に見ても生産型乗用車用としては数少なかったアルミブロック&ヘッドの2.6L V型8気筒エンジンを搭載したプレミアムモデルだ。

エンジンはオールアルミ製の90度V型8気筒OHVだ。乾燥重量は152kgに抑えられている。排気量は2599ccで、最高出力115ps/最大トルク20.0kgmというスペックだった。

1965年秋には新開発のM型直列6気筒SOHCエンジンをラインアップに加え、これが主役となる。M型エンジンの排気量は1988ccで、シングルキャブ仕様とSU型ツインキャブ仕様が用意された。プレミアムスポーツセダンの先駆けとなったクラウンSが積むM-B型はSU型キャブを2基装着し、125ps/16.5kgmを発生する。トランスミッションはフロアシフトの4速MTだ。1966年にはスーパーデラックスも設定された。

画像: ワイド感を強調するためリアエンドはガーニッシュの左右に丸型テールランプを配しただけのシンプルなものだったが、1965年のマイナーチェンジで横長コンビランプにデザイン変更された。

ワイド感を強調するためリアエンドはガーニッシュの左右に丸型テールランプを配しただけのシンプルなものだったが、1965年のマイナーチェンジで横長コンビランプにデザイン変更された。

クラウンの軌跡バックナンバー

クラウン デラックス(1962年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4610×1695×1460mm
●ホイールベース:2690mm
●重量:1265kg
●エンジン型式・種類:3R型・直4 OHV
●排気量:1897cc
●最高出力:90ps/5000rpm
●最大トルク:14.5kgm/3400rpm
●トランスミッション:3速コラムMT+OD
●タイヤサイズ:7.00-13-4PR
●価格:105万円

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