2019年で生産終了となるボルボ「V40」に設定された最後の特別仕様車「T3クラシックエディション」。宇都宮を起点に日光、沼田を経由し東京へ戻るロングドライブでその魅力を再確認してみた。(Motor Magazine 2019年12月号より)

ベースはV40 T3 インスクリプション

ボルボV40といえば、同社の中でもっともサイズが小さいクラスのコンパクトカーとして人気を博してきたが、2019年を最後に生産を終了することが発表された。

そこで最後の特別仕様車として「T3タックエディション」と「T3クラシックエディション(以下、クラシック)」が設定されたが、今回は後者の方に試乗する機会を得たので、その印象をお届けすることにしよう。

クラシックEdは、V40のT3 インスクリプションというモダンウッドパネルやプレミアムサウンドオーディオシステムを標準装備とする上級グレードをベースに、パノラマガラスルーフやリアシートヒーターを特別装備として採用している。

もちろん歩行者自転車検知機能付き追突回避軽減フルオートブレーキシステムといった先進の安全装備や、全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)などの運転支援機能も標準装備となっており、ボルボならではの安心感がつまった仕様となっている。

今回の試乗は、宇都宮を起点に東京までを走るというもの。夕方5時までに東京・芝公園に戻れれば、何時に出発しても、どこを経由しても構わないということで、私とカメラマンは事前に計画を立てることにした。

一番、早いのは東北道で直接戻ってくることだが、それではぜんぜん面白くない。そこで日光・霧降高原を経由して、いろは坂~中禅寺湖~戦場ヶ原~金精峠~丸沼高原~沼田IC~関越自動車道~首都高速という約300kmのルートを走ることにした。

画像: V40のT3インスクリプションをベースにパノラマガラスルーフやリアシートヒーターを特別装備として採用。

V40のT3インスクリプションをベースにパノラマガラスルーフやリアシートヒーターを特別装備として採用。

コンパクトボディに152psの1.5Lターボを搭載

走り出してすぐに感じたのは、結構パワフルだな、ということ。エンジンは1.5Lターボで、152psという実力の持ち主。1700rpmの低回転域から250Nmという大きなトルクを発生してくれるので、街中でのストップ&ゴーでもストレスなく加速してくれる。

途中、きつい上り勾配がずっと続く日光いろは坂では、アクセルペダルをグッと踏み込めば思いどおりの加速を得られて気持ち良かった。

そして乗り心地が良いのも特筆。いろは坂の路面は結構デコボコの激しいところも多いのだが、足がちゃんと動いてくれて、衝撃をしっかりと吸収してくれているので不快感はない。

さらにその際のハンドリングもいたって軽快。通常、乗り心地に振った足まわりだとフニャフニャしてワインディング路では走りにくいことも多いが、V40は一定のロール量を許容しながらも最後にはしっかりと踏ん張りを見せて旋回していってくれるので安心感がある。これはボディがしっかりしていることが大前提となるが、サスペンション、とくにダンパーのセッティングが優秀なことがうかがえる。

その後、金精峠を越えると、こんどは沼田ICまでずっと下りが続く。ここで重要なのはブレーキだが、ブレーキは踏み初めからしっかりと制動力が立ち上がり、グッと踏み込んだ奥でもコントロールしやすいことが確認できた。

沼田ICからの関越道はノンビリ走ろうと思ったのだが、返却の時間に間に合いそうにないので、高速を東京に向けひた走る。高速巡航時はACCを使ったが、長距離はとても楽で、これは疲労軽減につながっているのだと思う。

クルマの良さというのはこういう長距離を走ってみて初めて気が付くことも多い。今回試乗したV40 T3クラシックEdは、ある意味で進化熟成を極めたV40といえるわけで、その魅力をたっぷりと感じることができた。最後のV40が気になる方はお早めに問い合わせて欲しい。(文:加藤英昭)

画像: 1.5L直4DOHCターボエンジンを搭載。

1.5L直4DOHCターボエンジンを搭載。

試乗記一覧

■ボルボV40 T3クラシックエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
●ホイールベース=2645mm
●車両重量=1490kg
●エンジン= 直4DOHCターボ
●排気量=1497cc
●最高出力=152ps/5000rpm
●最大トルク=250Nm/1700-4000rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=6速AT
●車両価格(税込)=435万9259円

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