まったく同じスタイルで、内燃エンジン車とBEV(バッテリー電気自動車)が同時にデビュー。意欲的なコンセプトを備えた新型e-208をポルトガルのリスボン近郊で試乗した。(Motor Magazine 2019年12月号より)

50kWhの大容量バッテリーを搭載

先日、日本でもお披露目され、2020年第3四半期のデビューが発表された新型プジョー208シリーズにひと足先に試乗した。

好評な508のテイストを引き継ぐスタイリング、小径ステアリングホイールに3Dデジタルメーター、タッチパネルを組み合わせた最新の「3D iコクピット」を採用したインテリアなど、見た目からして理屈抜きに魅力的で、プジョーの元気が戻ってきたと実感させる新型208だが、中身の方もかなり攻めている。

内燃エンジン車と電気自動車の両方に対応した新プラットフォーム「CMP」を採用。同じデザインとパッケージング、使い勝手を実現した内燃エンジン版の208とBEVのe-208を同時にデビューさせたのだ。

プジョーが提案するのは、最初に内燃エンジンかEVかを決めるのではなく、まず208というクルマに惚れてもらい、その上でパワートレーンはどちらでもどうぞ、というクルマ選びである。これ、賛同する人はきっと少なくないに違いない。

画像: キビキビ感があり、とても軽快なドライブフィーリングだ。

キビキビ感があり、とても軽快なドライブフィーリングだ。

e-208は50kWhという大容量のバッテリーを搭載、WLTPモードで340kmという航続距離を実現している。確かにこれなら十分、内燃エンジン車と迷える。しかも、そのバッテリーは前後席の下やセンタートンネル内に巧みにレイアウトされ、室内空間を一切侵食していない見事さだ。

車重は1.2Lターボ+8速AT仕様より290kg重い1455kgに達するが、スペックも最高出力136ps、最大トルク260Nmと余裕があり、電気モーターのフレキシブルな出力特性もあって活発によく走る。

重さはフットワークにはそれほどネガになっておらず、レスポンスはキビキビと軽快。シトロエンとの差別化でサスペンションはスポーティ方向、というかハード寄りに振られているが、乗り心地の面ではこの重さが、ちょうどよくハードさを中和している感じだ。

日本での価格は未定だが、プジョー・シトロエン・ジャポンでは所有期間トータルで、内燃エンジン車と同等のコストになるような価格設定や販売方法を検討しているという。2020年に向けて楽しみな輸入車、楽しみなBEVの登場である。(文:島下泰久)

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