1980年代のクルマといえば、ハイソカー、街道レーサー、そしてボーイズレーサーが人気を博していた。この連載では、ボーイズレーサーと呼ばれた高性能でコンパクトなハッチバックやクーペたちを紹介していこう。今回は「カローラII リトラ GPターボ(EL31)」だ。

トヨタ カローラII 3ドアリトラGPターボ(EL31型・1986年9月発売)

画像: リトラクタブルヘッドランプを採用した低いノーズに2ボックスという独特のスタイルが人気を呼んだ。

リトラクタブルヘッドランプを採用した低いノーズに2ボックスという独特のスタイルが人気を呼んだ。

1978年(昭和53年)8月、トヨタ初のFF(前輪駆動)車としてターセル/コルサが発売された。FFながらエンジンは縦置きとし、全長は4mを切るコンパクトな2ボックスだがホイールベースは2500mmもあった。1982年5月のフルモデルチェンジでは縦置きFFを継承したが、1986(昭和61年)年5月、2度目のフルモデルチェンジではコンベンショナルな横置きFFとなった。

3代目となったターセル/コルサには、新たな姉妹車のカローラIIが加わった。ここで紹介するスポーツグレードのリトラは、その名が示すようにクラス初のリトラクタブルヘッドランプを採用。当時FRスポーツとして人気の高かったAE86トレノと似たような顔つきとなり、注目された。その人気をさらに高めたのが、同年9月に追加投入されたGPターボだ。

画像: 急激に増幅するターボエンジンのトルクを抑制し、低ミュー路での安全性を高めたLOモードを備える。

急激に増幅するターボエンジンのトルクを抑制し、低ミュー路での安全性を高めたLOモードを備える。

横置き搭載されたパワーユニットは、新開発の3E-TE型だ。このエンジンは、EP71型スターレットターボで定評のある2E-TE型のストロークを9.6mm延長(ボア73.0×ストローク87.0mm)して排気量を1456㏄としたもので、デュアルインテークの3バルブSOHCや空冷インタークーラー、2モードのターボシステムなどはそのまま引き継いでいる。

パワースペックは、ネットで最高出力110ps/5600rpm、最大トルクは17.2kgm/3200rpmだったが、Loモードでは97ps/5600rpmと15.2kgm/3200rpmとなった。通常時ではスターレットターボより5psと2.0kgmパワーアップされていた。車重は890kgなので、パワー/ウエイト レシオは8.09kg/psにおさまり、ターボパワーを5速MTで操れば、胸のすく活発な運動性能を楽しめた。1987年にはOD(オーバードライブ)付き4速ATも追加設定されたが、やはり5速MTでパワーを使い切る走りがこのクルマには似合う。

画像: 3本スポークのステアリングは、ターボとSR専用。6500rpmからレッドゾーンの回転計も標準装備だ。

3本スポークのステアリングは、ターボとSR専用。6500rpmからレッドゾーンの回転計も標準装備だ。

サスペンションはスプリング強化&前後低圧ガス封入式ショックアブソーバの減衰力最適化、フロントスタビライザー追加のほか、パフォーマンスロッドで剛性アップを図るなどGPターボ専用にチューンされた。4輪ディスクブレーキや185/60R14タイヤもGPターボ専用の装備だった。また、スポーツパッケージではTEMS(トヨタ電子制御サスペンション)と新プログレッシブパワーステアリングが選択できたのもトピックだった。

画像: リアビューは、固定式ヘッドランプのモデルと基本的には変わりない。ルーフ後端にリアスポイラーが備わる。

リアビューは、固定式ヘッドランプのモデルと基本的には変わりない。ルーフ後端にリアスポイラーが備わる。

ボーイズレーサー伝

トヨタ カローラII 3ドアリトラGPターボ(1986年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3865×1625×1370mm
●ホイールベース:2380mm
●重量:890kg
●エンジン型式・種類:3E-TE型・直4 SOHCターボ
●排気量:1456cc
●最高出力:110ps/5600rpm(Loモード97ps/5600rpm)
●最大トルク:17.2kgm/3200rpm(Loモード15.2kgm/3200rpm)
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14
●価格:136万円

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