世界的なSUVブームが落ち着きを見せ始める中、新たなトレンドとして注目されているのが3列シートのSUVだ。日本市場にはマツダが国内専用車としてCX-8を導入する一方、三菱はデリカD:5のディーゼルモデルに新たなフロントマスクを与え、大幅改良したことで人気になっている。同じカテゴリーで同じ価格帯のマツダ CX-8と三菱 デリカD:5に魅力を検証する。

マツダ CX-8と三菱 デリカD:5。ディーゼルエンジンを搭載する3列シートSUV

画像: ラグジュアリーSUVに相応しいCX-8の上質なコックピット。

ラグジュアリーSUVに相応しいCX-8の上質なコックピット。

画像: 冒険心を掻き立てるデリカD:5の最先端のインテリア。

冒険心を掻き立てるデリカD:5の最先端のインテリア。

まずは簡単にCX-8とデリカD:5を紹介しよう。

2017年に登場したCX-8は、北米市場に導入されている“3列シートSUV”のCX-9を日本国内向けにダウンサイジングしている。一見CX-5のストレッチ版に見えるが、国内ではマツダSUVの最上級モデルで、随所にCX-9譲りの高品質さが散見できる。

一方のデリカD:5は、アウトランダーやエクリプスクロスなど多くの車種に採用されているGSプラットフォームをベースに、ミニバンボディを架装したモデルだ。現行モデルは2007年より生産されており、2019年2月にアドバンスド・ダイナミックシールドをフロントフェイスに採用するビッグマイナーチェンジを、ディーゼルモデルのみに行った。ガソリンモデルは、従来のデザインと変わらない。

最小回転半径はデリカD:5が優勢だが、最低地上高はCX-8が勝る

画像: CX-8の最低地上高は200mm。雪道・オフロードで余裕の走りを実現する。

CX-8の最低地上高は200mm。雪道・オフロードで余裕の走りを実現する。

画像: 最小回転半径5.6mと取り回しの良さも魅力なデリカD:5。

最小回転半径5.6mと取り回しの良さも魅力なデリカD:5。

まずはボディサイズの比較だ。CX-8の全長4900×全幅1840×全高1730mm、ホイールベースは2930mm。デリカD:5は全長4800×全幅1795×全高1875mm、ホイールベースは2850mm。CX-8はデリカD:5より、100mm長く、45mmワイドで、80mmホイールベースが長い。一方、デリカD:5はCX-8より145mm全高が高い。

最小回転半径はCX-8が5.8m、デリカD:5は5.6mとデリカD:5の方が狭い道路での取り回しは良さそうだ。最低地上高はCX-8が200mm、デリカD:5が185mmとデリカD:5が意外と低く、雪道ではフロア下が雪に接触しやすいかもしれない。

広々としたデリカD:5の室内空間と、CX-8の上質なインテリア

画像: CX-8の室内空間の全幅は1540mmもあり、大人がゆったりとくつろげる。

CX-8の室内空間の全幅は1540mmもあり、大人がゆったりとくつろげる。

画像: 広大な頭上スペースと多彩なシートアレンジが魅力のデリカD:5。

広大な頭上スペースと多彩なシートアレンジが魅力のデリカD:5。

CX-8の室内空間は、長さ2690×1540×高さ1250mm、デリカD:5は長さ2980×幅1505×高さ1310mmだ。長さと高さでデリカD:5、幅でCX-8が上まわる。気になるのはキャビンの快適性に直結する、シート座面から天井までの高さだ。CX-8の運転席、2列目、3列目シートの座面から天井までの高さはそれぞれ、966/960/865mm、デリカD:5は1040/1045/920mmでCX-8を上まわる。

身長170cmくらいの乗員なら、両車ともに運転席と2列目シートのスペースに窮屈さを感じることはないが、CX-8の3列目は若干高さが気になる。筆者(身長172cm)も3列目に乗車したことがあるが、シート幅と奥行きに不満はなかったが、リアエンドの造形により、頭上スペースはあまり余裕がない。これはデリカD:5がスクエアなボックス型なのに対し、CX-8はルーフ後端がなだらかに傾斜しているからだ。CX-8の3列目には、小柄な人を乗せた方が良さそうだ。

それぞれのブランドが展開する共通デザインを採用したエクステリア

画像: ひと目でマツダ車とわかる魂動デザインを採用したCX-8。

ひと目でマツダ車とわかる魂動デザインを採用したCX-8。

画像: 三菱のデザインアイデンティティを主張するアグレッシブフェイス。

三菱のデザインアイデンティティを主張するアグレッシブフェイス。

マツダ CX-8と三菱 デリカD:5のエクステリアは、どちらもブランド共通デザインを採用した個性豊かなデザインだ。CX-8 は疾走する動物をモチーフにした “魂動デザイン”は、野性味やどう猛さを感じさせる。一方のデリカD:5の“アドバンスド・ダイナミックシールド”は、従来の自動車のフロントデザインのセオリーから逸脱した電車に近いデザインだ。またどこかロボットチックなのところが、逆に新鮮で先進性も感じさせる。このあたりは、ユーザーにより好みがわかれるところだ。

ラゲッジルーム容量は、CX-8の「Boseサウンドシステム」未装着の標準状態でサブトランクを含み239L、デリカD:5は94Lと少ない。これはデリカD:5の3列目シートがバックドア付近に設置されているためだ。3列目シート可倒時でCX-8が572L、デリカD:5が805L(ベンチシート車)。多くの荷物を運ぶ機会が多いのなら、室内高の高さとスクエアな室内形状のデリカD:5の方が使い勝手が良いだろう。

ディーゼルエンジンならではのトルクフルな走り

画像: 低振動と高い静粛性を実現したCX-8の2.2L 直4ディーゼルターボは190psを発生。

低振動と高い静粛性を実現したCX-8の2.2L 直4ディーゼルターボは190psを発生。

画像: 2.2L 直4ディーゼルターボと組み合わせられる8速ATが高い経済性を実現するデリカD:5。

2.2L 直4ディーゼルターボと組み合わせられる8速ATが高い経済性を実現するデリカD:5。

エンジンは両車とも、2.2L直4ディーゼルターボだ。CX-8は最高出力190ps/4500rpm、最大トルク450Nm/2000rpmを発生する。一方のデリカD:5は145ps/3500rpm、380Nm/2000rpmを発生。車両重量はCX-8が1830〜1840kg、デリカD:5が1930〜1980kg。トルクはCX-8の方が太いが、D:5を含め、発進はスムーズで上質感を味わえる。燃費はWLTC総合でCX-8が15.8km/L、デリカD:5が12.6km/Lなので、動力性能や経済性においてはCX-8がデリカD:5をリードしている。

次に先進安全装備の比較だ。結論から先に言えば、CX-8が勝る。デリカD:5はデビューから12年目の長寿車だけに、先進安全装備では新型車に見劣りする。CX-8に装備され、デリカD:5に装備されない先進安全装備は、「レーンキープアシストシステム」くらいだが、CX-8には他にも「G-ベクタリングコントロールプラス」などの独自技術が採用され、より高次元な安全制御を行っている。

3列シートSUVは自分のライフスタイルを考慮して選びたい

CX-8はステーションワゴンボディのSUV、一方のデリカD:5はミニバンボディのSUVなので、選択時はユーザーのライフスタイルが大きなカギとなる。上質な移動空間を求めるならCX-8だが、多くのレジャー用品を積載するならデリカD:5を選んだ方が使い勝手が良いだろう。また、どちらも個性的なエクステリアなので、デザインを決め手にするのも面白いだろう。(文:猪俣義久)

マツダCX-8 XD主要諸元

●全長×全幅×全高=4900×1840×1730mm
●ホイールベース=2930mm
●車両重量=1830~1850kg
●エンジン= 直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量=2188cc
●最高出力=190ps/4500rpm
●最大トルク=450Nm/2000rpm
●駆動方式=FF/4WD
●トランスミッション=6速AT
●車両価格=382万8000円~467万600円(税込)

三菱デリカD:5主要諸元

●全長×全幅×全高=4800×1795×1875mm
●ホイールベース=2850mm
●車両重量=1930〜1980kg
●エンジン= 直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量=2267cc
●最高出力=145ps/3500rpm
●最大トルク=380Nm/2000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
●車両価格=391万3800円〜437万1400円(税込)

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