昭和は遠くなりにけり、か。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「3代目 トヨタ カリーナ」だ。

トヨタ カリーナ 1800GT-TR(TA63型):昭和57年(1982年)9月発売

画像: ファミリー層にもウケるスポーツカーとして、カリーナGT-Tは人気を集めた。

ファミリー層にもウケるスポーツカーとして、カリーナGT-Tは人気を集めた。

1981年(昭和56年)9月にフルモデルチェンジしたカリーナは、初代から続いている硬派路線を引き継ぎ3代目となった。イメージはスポーティなファミリーカーで、幅広い層に受け入れられることになる。モデルチェンジのコンセプトは、卓越した基本性能を持つハイグレードスポーティセダンとすること。それを実現するために走行性能をアップさせるとともに、居住空間の大幅な拡大と燃費の向上を図った。ボディ形状は4ドアセダンに加え、従来の2ドアセダンとハードトップを統合して3ドアハッチバックのクーペを新設したことで若々しさを前面に押し出した。

スタイリングも低いフロントノーズにシャープなサイドラインなど、直線を基調としたスポーティなスタイルとなっており、ファミリーカーとしては優れた空力性能(クーペのCd値は0.37)もポイントとなっていた。

画像: 本革巻きステアリングのセンターパッドに「TWIN CAM turbo」のロゴが誇らしげに入る。

本革巻きステアリングのセンターパッドに「TWIN CAM turbo」のロゴが誇らしげに入る。

エンジンは、1.5Lから2Lまで、使用用途に応じて6種類の設定があった。発売時のトップグレードの2000GTには18R-GEU型を搭載していた。この2L直4 DOHCエンジンは1974年発売の初代カリーナから搭載されており、排出ガス規制のために燃料供給装置はソレックスツインキャブからEFIに変更され、最高出力は145psから135psへとパワーダウンしたのは寂しいところ。

そんな嘆きが聞こえる中、翌1982年9月に追加されたのがカリーナ1800GT-Tおよび1800GT-TRだった。搭載されたエンジンは3T-GTEU型の1.8L直4 DOHCターボエンジンで、最高出力160ps/最大トルク21.0kgmというスペックは非常に魅力的なものとなった。このエンジンはセリカとコロナにも同時に搭載された。GT-TRはGT-Tよりも上級の装備を施したもので、カリーナではセダンのみに設定され、パワーステアリングやワンタッチパワーウインドーなどが追加されている。

画像: ツインカムか、ターボか?の論争に終止符を打たせたツインカムターボの3T-GTEU型エンジン。

ツインカムか、ターボか?の論争に終止符を打たせたツインカムターボの3T-GTEU型エンジン。

カリーナ1800GT-Tは、同エンジンを搭載したセリカやコロナのGT-Tに比べて、よりファミリーユースに近いスポーティカーとなった。それによりかえってファミリーができてもまだスポーツカーが欲しいという元走り屋層や、いわゆる「羊の皮を被った狼」を好む層などに受け入れられたともいえる。

さらに翌1983年5月には、1600GT系に4A-GEU型1.6L直4 DOHCが搭載された。AE86レビン/トレノに搭載されたものと同一で、1気筒あたり4バルブでDOHC本来の性能を引き出したエンジンで、最高出力130ps/6600rpm、最大トルク15.2kgm/5200rpmと当時としては高回転型のユニットで軽快な走りを実現していた。このときは同時に1800GT-T系のターボが水冷式となり、潤滑性能の向上が図られた。

1984年5月には、従来のFR方式に加えカリーナFF4ドアセダンを発売した。これには1800GT-Tのようなスポーティグレードの設定はなく、居住性や利便性を考えた結果の設定となる。同じカリーナ名でFRとFFが併売されたというのも、時代の変わり目を感じさせる出来事といえる。

画像: クーペは一見2ドア風に見えるが、大きなリアハッチゲートを備えた3ドアだった。

クーペは一見2ドア風に見えるが、大きなリアハッチゲートを備えた3ドアだった。

昭和の名車のバックナンバー

トヨタ カリーナ クーペ1800GT-T 主要諸元

●全長×全幅×全高:4390×1650×1365mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1145kg
●エンジン型式・種類:3T-GTEU型・直4 DOHCターボ
●排気量:1770cc
●最高出力:160ps/6000rpm
●最大トルク:21.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/70SR14
●価格:178万3000円

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