手頃で扱いやすくオシャレなカジュアルコンパクト……そんなQ2のイメージは吹き飛んだ。ダイレクトかつシャープなドライバビリティは、コンパクトSUVの走りの常識を覆す。華美な「スポーティ感」をアピールすることはない。さりげなく、けれど確かにモノ凄い。(Motor Magazine 2020年3月号より)

パワフルな超高回転型エンジンを搭載

アウディSQ2は恐ろしく刺激の強いコンパクトSUVである。なんといってもエンジンが凄い。排気量2Lから300psの最高出力を絞り出すのも凄いが、ターボエンジンながらレッドゾーンがなんと6800rpmから始まる超高回転型を実現。

回せば回すほどパワーとエキゾーストノイズが高まっていって、ドライバーの五感を刺激してくれるのである。しかもターボラグをまるで感じさせず、アクセルペダルを踏み込んだ直後からむしろ自然吸気エンジン並みのシャープな吹き上がりを堪能できるのだ。ちなみにヨーロッパで発表されたSQ2の0→100km/h加速はなんと4.8秒。最高速度は250km/hでスピードリミッターが作動するという。正真正銘のハイパフォーマンスカーだ。

このレスポンスのいいSQ2のエンジンの魅力を余すところなく引き出してくれるのが、7速DCTのSトロニックである。間にトルクコンバーターを挟むことなく歯車と歯車が噛み合って動力を伝えるために、スロットルペダルのすばやい動きも余すところなく駆動力に反映される。

とりわけアウディのSトロニックは、数あるDCTの中でも反応の早さとダイレクト感がピカイチ。シャープな吹き上がりのエンジンとの組み合わせは、まさに理想的と言える。しかもSQ2のサスペンションは、全高1520mmと決して低くないボディをしっかりと支えて無駄な動きを生み出さない。

おかげでハードコーナリングを試しても腰高感は皆無。正確なステアリングフィールがもたらすコーナリングはなかなか痛快だ。アウディが誇るフルタイム4WD「クワトロ」のおかげで、高速走行時のスタビリティも優れていた。

さらにSUVらしく、天地方向に余裕があるために着座姿勢はアップライト気味に設定されており、長距離ドライブでも疲れにくい。ラゲッジルームはフロアが低いことも手伝ってたっぷりとした容量を誇る。こうした巧みなパッケージもSQ2の魅力として挙げておきたい。

画像: 0→100km/h4.8秒の俊足を誇る。

0→100km/h4.8秒の俊足を誇る。

ややソリッドな味わいの中に「これから」への期待値が

とまあ、ここまではSQ2のいいところを取り上げたが、弱点もある。率直にいって、乗り心地が硬めで快適性に優れているとは言いがたかったのだ。とりわけ借り出した直後は走行距離が100km未満だったせいもあって、足まわりがストロークを拒むような素振りを示し、ちょっとした段差でもガツンというショックを正直に伝えてきた。

その後、箱根まで走るおよそ100kmの間にサスペンションのこわばり方は激変、最後は「ちょっと硬めかな」くらいに印象が変わっていたので、ここから先もさらにしなやかさを増してくれるだろう。それにしても、SQ2の足まわりは従来のアウディSモデルに比べてスムーズさに欠けていたように思う。

こんなことをあえて記すのも、これまで私がアウディの快適性を高く評価してきたからにほかならない。ドイツプレミアムブランドの中で唯一、前輪駆動作りで長い伝統を誇るアウディは、エンジンを横置きするCセグメントでライバルを圧倒する快適性や静粛性を実現。その差はスポーティモデルでも歴然としていた。(文:大谷達也)

画像: アウディバルブリフトシステム(AVS)などの採用により、最大トルクは2000~5200rpmの広いレンジで発揮される。体感的にもスキのない力強さだ。

アウディバルブリフトシステム(AVS)などの採用により、最大トルクは2000~5200rpmの広いレンジで発揮される。体感的にもスキのない力強さだ。

■アウディSQ2主要諸元

●全長×全幅×全高=4220×1800×1525mm
●ホイールベース=2595mm
●車両重量=1570kg
●エンジン= 直4DOHCターボ
●排気量=1984cc
●最高出力=300ps/5300-6500rpm
●最大トルク=400Nm/2000-5000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=7速DCT
●車両価格(税込)=599万円

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