発売から6年を経たジャガーの2シータースポーツカー「Fタイプ」が、フロントマスクのデザインやドライバーインターフェイスなどが改良された。今回はポルトガルで700km以上を走り、その実力と進化を確かめてきた。(Motor Magazine 2020年4月号より)

シャープな横型デザインとなったヘッドライト

DNAはスポーツカーメーカーにあり。ジェントルサルーンのブランドというイメージを払拭する象徴として、名スポーツカー「Eタイプ」にオマージュしたネーミングが冠されたFタイプが発売されて、丸6年が経過した。

そんなタイミングで行われたマイナーチェンジモデルの国際試乗会の舞台は、冬でも暖かな陽光が射し込むポルトガル。内陸のワインディングロードを中心に設定された試乗ルートは、ピュアなスポーツカーのチェックにはうってつけのコースだった。

用意されたのは、メカニカルスーパーチャージャーを加えた5L V8エンジン搭載のクーペ/コンバーチブルに、2直4ターボエンジンを搭載するクーペの3台。V8エンジンを積んだクーペは「R」のグレード名が与えられたシリーズ最強バージョンで、専用チューニングが施されたことで575psまで高められた怒涛のパワーが、4WDシステムによって4輪へと振り分けられ大地を蹴る、硬派なモデルである。

画像: シリーズ最強バージョンの「R」。V8エンジンと4WDとで生み出される走りはエキサイティングの一言だ。

シリーズ最強バージョンの「R」。V8エンジンと4WDとで生み出される走りはエキサイティングの一言だ。

モデルライフ途中でのリファインでもあり、アルミ製のボディ骨格や前出エンジンは、基本的にこれまでのアイテムを踏襲。新型での一番の見どころは、一新されたその顔付き。奥行き方向が強調されたこれまでのアーモンド型から、サイドにまで鋭く回り込んだシャープな横型へと変更されたヘッドライトを中心に、その表情はまさにフルチェンジ。従来型ユーザーへの買い替え需要を喚起できそうな一方で、「前の方が良かったのに」という声も聞こえそうな大胆なイメージ変更だ。

2モデルでも絶対的な加速力に不足はなく、FRレイアウトを採用しながらオープンエアを採り入れたV8モデルの走りも、直接耳に届けられるV8サウンドを含めて何とも官能的だった。

が、もっともエキサイティングだったのは、やはり前出の「R」の走り。V8エンジンに4WDシステムまでを備えるものの、その走りは軽快感に溢れ、同時にダイナミックそのものでもあるのが特徴だ。「なるほどこれなら、いかにもスポーツカーメーカーだとアピールしたくなるのも当然……」と、最新のジャガーに改めてそう実感させられたのだった。(文:河村康彦)

画像: ドライバー正面のクラスター内にはさまざまなグラフィックを表示する全面ディスプレイが新たに採用された。

ドライバー正面のクラスター内にはさまざまなグラフィックを表示する全面ディスプレイが新たに採用された。

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