クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第18回は「マセラティ メラク」だ。

マセラティ メラク(1972-1983年)

画像: ボディサイズはホイールベースも含めて兄貴分のボーラとほとんど同じ。ウエッジシェイプのスタイリングも、よく似ている。

ボディサイズはホイールベースも含めて兄貴分のボーラとほとんど同じ。ウエッジシェイプのスタイリングも、よく似ている。

1960年代後半、老舗ブランドが陥りやすい経営危機に直面したマセラティ。当時、シトロエンSM用のV6 DOHCエンジンの開発を請け負うなど業務提携関係にあったシトロエンに経営陣が株を売却し、1968年にマセラティは同社の傘下となる。

1971年に、前回紹介した初のミッドシップ市販車となったボーラを発表。挑発的なスタイリングのランボルギーニとは異なり、老舗マセラティならではのシックな大人のスーパーカーと評判を博した。

そこで、その勢いを駆ってシトロエンと共同開発されたモデルが、このメラクだ。その車名は、北斗七星が含まれるおおぐま座に属する星のひとつの名に由来しており、マセラティ伝統の「風」シリーズではないことが興味深い。1972年のパリ モーターショーでデビューしている。

モノコックのシャシに多鋼管製のエンジンベッドを組み合わせるという基本骨格はボーラと同じだ。だが、搭載されたパワーユニットは前述のようにマセラティがシトロエンのスポーツクーペ、SMのために開発した、3Lの90度V6 DOHCをミッドに横置き搭載していた。

このエンジンは実質的にはボーラ用のV8から2気筒分をカットしたものだ。それでも、ウエーバー製のツインチョークキャブレターを3基装着して、最高出力は190psを発生した。さらにシート配列はミッドシップながらプラス2のリアシートを備えたのも特徴だった。

画像: マセラティがシトロエンに供給していた3LのV6 DOHCを横置き搭載。ミッションは5速MTを組み合わせる。

マセラティがシトロエンに供給していた3LのV6 DOHCを横置き搭載。ミッションは5速MTを組み合わせる。

ボディのデザインは、ボーラに引き続きジョルジェット・ジウジアーロが担当した。ボディパネルの大半をボーラと共有したこともあって、両車のスタイリングは非常に良く似ている。もっとも大きな違いは、斜めの梁を入れて一見ファストバックに見せるボディ後半の処理だ。これにより、後方視界の改善に加え、エンジンフードを露出させたことでエンジンルームの放熱性でも効果を発揮した。

最高速度は225km/hと公称されたが、より高性能を望む声が高く、1975年に圧縮比のアップなどで従来モデルより27psアップした220ps版のエンジンを搭載した「メラク SS」が追加された。その後、マセラティはシトロエンからデ・トマソの傘下となるが、メラクは1983年までに1830台が生産された。マセラティとしては、かなりのロングセラーであった。

画像: ファストバック風に斜めに渡した梁がメラクの特徴。これがエンジンルームの放熱に大きな効果を発揮した。

ファストバック風に斜めに渡した梁がメラクの特徴。これがエンジンルームの放熱に大きな効果を発揮した。

マセラティ メラク 主要諸元

●全長×全幅×全高:4335×1770×1135mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:1320kg
●エンジン種類:90度V6 DOHC
●排気量:2965cc
●最高出力:190ps/6000rpm
●最大トルク:26.0kgm/4000rpm
●燃料タンク容量:85L
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前185VR15、後205VR15

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