若々しく洗練されたスタイリングで人気のSUV「エクリプス クロス」に新世代クリーンディーゼルが追加設定されたのは2019年8月のこと。念願のロングランテストにいそしんだのだが、道中は思わぬ大雪の「恩恵」を受けた。(Motor Magazine 2020年4月号より)

ディーゼル特有のガラガラ音をシャットアウト

久しぶりのロングランテスト。富山までの1000km超を一泊二日で走る旅の相棒に選んだのは、三菱エクリプス クロスのクリーンディーゼルモデルだった。実はかねてから、長距離ランを試してみたいと思っていた1台だ。

三菱自動車の新世代クリーンディーゼル「DI-D」に試乗し、感銘を受けたのは2019年初頭の雪上試乗会でのこと。迫力満点に生まれ変わったデリカD:5に搭載されていた。重量級のD:5ですら自在に走らせるスムーズで扱いやすいトルク感はもちろんだが、何よりその高い静粛性と淀みなく回る気持ちの良さは、ロングランでこそ生きてくる美点。しかもより軽量で乗用車的なカテゴリーとなるエクリプスクロスなら、さらにその良さが引き立つのではないだろうか……その予感は見事に当たった。

4N型ディーゼルターボユニットは、排出ガス浄化のために尿素SCRを採用。インジェクターを最新世代タイプとすることなどによって、これまで三菱製ディーゼルのちょっとした「味」としてマニアックに支持されてきたガラガラ音が、すっかり影を潜めることになった。ピストン、コンロッド、クランクといった各部品も新設計。フリクション低減などの改良が上質な回転フィールの演出にも一役買っているようだ。

おかげで古典的なディーゼルRV(あえて言うなら)の心臓、というイメージは完璧に払拭されている。より遠く、より速く、より快適に走り切るための、洗練された都会派SUVにぴったりのパワーユニットに生まれ変わっているのだ。それはまさしく欧州的発想に基づいた、ディーゼルエンジンの正常進化と言えるだろう。

画像: 雪あり坂あり高速道路に街中ウロウロと、かなりタフな1000km超を完走。平均燃費は表示で14.2km/Lと、WLTCモード並。

雪あり坂あり高速道路に街中ウロウロと、かなりタフな1000km超を完走。平均燃費は表示で14.2km/Lと、WLTCモード並。

雪道走行で確信が持てたS-AWDの信頼性

いや、ことエクリプスクロスとDI-Dの組み合わせは、ともすれば同クラス欧州ディーゼルモデルたちを青ざめさせかねない。それほどにゆとりたっぷりで快適性にも富んだ、グランドツアラーとして優れた資質をもつ。

組み合わされる8速スポーツモード付ATも秀逸だ。とくに高速道路でのスムーズかつリニアな変速ぶりが好印象だった。加速時や減速時のアクセルペダルの踏み込みに対して適切に反応して変速してくれるので、アクセルワークだけでも自在にスピードをコントロールすることができた。ACCにお任せでも良かったが、あえて自分で流れに乗るように制御していても、ストレスを感じることは少なかった。

ストレスフリーと言えば、今回のドライブではS-AWDにも随分お世話になったように思える。折からの大寒波の影響で、想定外に積雪が進んだ高速道路を150km近く走りことになったのだけれど、ドライ、圧雪がコロコロと変わる路面状況でも、至極普通に走り切ることができた。アシストされている感覚は希薄。だが、リラックスした気分でハンドルを握り続けることができたのは、信頼できる制御のサポートがあったからこそだと思う。

Gプラスパッケージの乗り出し価格は、公式HP上では360万円ほど(2月登録の場合)と試算。バリューフォーマネーで考えても、エクリプス クロス クリーンディーゼルは非常に高い「戦闘力」を秘めているように思える。しかも比べるべきは国産の同カテゴリーではなく、欧州発のライバルたちなのかもしれないのだ。(文:神原 久)

画像: 三菱の古き良きディーゼルエンジンの伝統を根底から覆す新世代ディーゼル。アドブルーで排出ガスをクリーン化。

三菱の古き良きディーゼルエンジンの伝統を根底から覆す新世代ディーゼル。アドブルーで排出ガスをクリーン化。

■三菱エクリプス クロス G プラスパッケージ クリーンディーゼル主要諸元

●全長×全幅×全高=4405×1805×1685mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1680kg
●エンジン= 直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量=2267cc
●最高出力=145ps/3500rpm
●最大トルク=380Nm/2000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=347万4900円

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