2005年のジュネーブオートサロンでデビューし、2006年に日本に上陸したアルファ159だったが、その進化には賛否両論が入り交じっていた。その大人びた走りのテイストは果たして進化なのか後退なのか。ドイツで欧州仕様に試乗した西川氏が、日本仕様に乗ってあらためてアルファ159をどう評価したのか、振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)

大人になった159を賞賛するか、それとも批判するか

まずは、左ハンドルの6速マニュアルギアボックスのみの日本導入となった。なんともイタ車らしいといえば聞こえはいいが、2ペダル仕様が遅れるというのも、もどかしいハナシ。マニュアルミッションを操る愉快さを否定するつもりはないし、2.2JTSの6速MTには意図的にうなりをあげてドライブする楽しみもちゃんと残されているが、総評として159シリーズは2ペダルカーに乗ってこそ、よりその真価を発揮しそうな気がしてならない。

なぜそう思うに至ったか。昨年2005年6月にドイツ・ミュンヘンで初めて乗ったときより、159の日本仕様はクルマとしてはっきりと熟していたからだ。

アルファロメオはこのクルマで劇的に目指す方向を変えてきた。熱狂的な支持を得やすいローカル志向から、より多くの理解を得たいグローバル志向へ。ところが、ミュンヘンで試乗した際には、まだその大胆なチャレンジにクルマが追いついていない気がしてならなかった。

たとえば、市街地走行における心地よさを追求したものの、荒れた路面ではショックのいなしが十分でなく、わなわなと不快な揺れをみせたし、高速走行では直進安定性こそ著しく向上していたもののステアリングフィールがあいまいで手応えに欠けていた。ブレーキフィールも最初がぼんやりとした、いかにも旧来のアルファチックなもので、シャシのアタリを柔らかいと感じる分、制動時の不安感も増幅されていた。

目指す方向はよく理解できるが、ツメがまだまだ甘い、そういう状況だった。しかし今回、あらためて日本仕様に乗ってみると、そのあたりの煮詰めがきっちりとなされていた。であるならば2ペダルモデルでこそ、その真価をより一層確かめることができたはず、だと感じたのだ。

たしかに以前のアルファロメオはスポーツムードに溢れていた。いつでもドライバーに挑戦的。でも、そう毎日挑まれても困るよなあ、という気持ちも正直あった。あなたは毎日でも大丈夫ですか? そこが、新しい159を進化したアルファと賞賛するか、大人になってどうすると批判するかの分かれ道になるのだろう。

私は、前者だ。たまには心の底から叫んでみたいが、少なくとも、その気になる時間より、リラックスしてドライブしたい時間の方が長い。そんなドライバーの期待に応える術を、159は高いレベルで有している。(文:西川 淳/Motor Magazine 2006年4月号より)

画像: 全体的な走りの印象は大人びた感じになったが、高回転域でのサウンド、フィーリングは「さすがにアルファ」とも言えるもの。

全体的な走りの印象は大人びた感じになったが、高回転域でのサウンド、フィーリングは「さすがにアルファ」とも言えるもの。

画像: アルファらしさが感じられる部分を残すが、アルファが変わりつつあるのもまた事実。日本仕様に乗って、あらためてアルファロメオが159に託した狙いがわかったという西川氏。

アルファらしさが感じられる部分を残すが、アルファが変わりつつあるのもまた事実。日本仕様に乗って、あらためてアルファロメオが159に託した狙いがわかったという西川氏。

ヒットの法則

アルファロメオ アルファ159 2.2JTS(2006年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1830×1430mm
●ホイールベース: 2705mm
●車両重量:1570kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:2198cc
●最高出力:185ps/6500rpm
●最大トルク:230Nm/4500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
●車両価格:399万円(2006年当時)

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