クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第33回は「フェラーリ 348tb/ts」だ。

フェラーリ 348tb/ts(1989-1994年)

画像: サイドラジエター冷却用のエアインテークに装着されたフィンなど、テスタロッサと似たスタイル。

サイドラジエター冷却用のエアインテークに装着されたフィンなど、テスタロッサと似たスタイル。

1989年のフランクフルト モーターショーでワールドプレミアされた348tb/tsは、前年の1988年に総帥エンツォ・フェラーリが死去して以来、フェラーリが発表する初めての完全なニューモデルとして注目された。

348tb/tsの最大のハイライトは、もはや古典的となったチューブラースペースフレームと決別した、最初の生産型フェラーリとなったことだ。新しいシャシはプレススチール製のモノコックとなり、一部エンジン支持に鋼管フレームは残されたが、コンセプトは刷新されたと言っていいだろう。

エンジンの搭載方式もリアミッドという位置は変わらないものの、V8エンジンは縦置きに、トランスミッションは横置きにして組み合わされる新方式が開発された。車名の348は3.4Lの8気筒、tはイタリア語で横置きを意味する「trasversale(英語のtransverse)」、bはベルリネッタ(クーペ)、sはスパイダーの頭文字に由来する。308や328同様、スパイダーとはいえタルガトップを採用していた。

画像: 3.4LにアップしたV8 DOHCを横置きから縦置きに変更。重量バランスの最適化が図られている。

3.4LにアップしたV8 DOHCを横置きから縦置きに変更。重量バランスの最適化が図られている。

テスタロッサをひと回り小さくしたようなボディのデザインは、例によってピニンファリーナの作。サイドマウントラジエター冷却用エアインテークに装着されたフィンや、リアエンドの横幅いっぱいにマットブラックのスリットがつき、その奥にテールライトを置くデザイン処理は、とくにテスタロッサとの近似性が強い。フロントの格子状グリルは、フェラーリの伝統を守るためのダミーだ。

エンジンは、ボア85.0×ストローク75.0mm、総排気量3403ccの4バルブDOHC。潤滑は搭載位置を少しでも低くして重心を下げるため、ドライサンプ方式が採用された。圧縮比は10.4で、これに燃料噴射と点火系を統合制御するボッシュ・モトロニックM2.5を組み合わせて、最高出力は300psを発生。1.4トン近いボディを275km/h(公称)の最高速度に乗せると同時に、0→1000m加速は24.7秒という性能を発揮した。

348tb/tsは1993年にマイナーチェンジされて348GTB/GTSとなり、エンジンは320psにパワーアップされた。また、その直前にはフルオープンの348スパイダーも追加されている。マイチェン前の348tbは2894台、348tsはそれより約30%多い4288台が生産され、オープンモデルの人気の高さを実証した。

画像: タルガトップの348tsは、クーペの348tbよりも人気が高かった。

タルガトップの348tsは、クーペの348tbよりも人気が高かった。

フェラーリ 348tb 主要諸元

●全長×全幅×全高:4230×1895×1170mm
●ホイールベース:2450mm
●重量:1465kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:3405cc
●最高出力:300ps/7200rpm
●最大トルク:33.0kgm/4200rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD(ミッションは横置き)
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前215/55ZR17、後255/50ZR17
●当時の価格:1650万円

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