クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第46回は「ブガッティ EB110」だ。

ブガッティ EB110(1991-1995年)

画像: ブガッティの伝統である馬蹄形のグリルを付けることをガンディーニは拒否して、プロジェクトから外れたと言われている。

ブガッティの伝統である馬蹄形のグリルを付けることをガンディーニは拒否して、プロジェクトから外れたと言われている。

自動車の黎明期であった20世紀初頭の1909年、エットーレ・ブガッティが設立した自動車会社がブガッティ。彼の作り出したスポーツカーはタルガ・フローリオやモナコ グランプリなど、数多くの優勝を飾った。だが、第二次大戦で工場が破壊され、エットーレの死後はブガッティというブランドは長らく消滅することになる。

1987年、イタリアの実業家であったロマーノ・アルティオーリがブガッティのブランドを取得し、イタリアにブガッティ アウトモビリを設立。1991年にパリで発表されたのが、ここで紹介する「EB110」だ。EBはエットーレ・ブガッティのイニシアル、110はブガッティの生誕110周年を意味している。EB110はブガッティのブランドを復活させた究極のスーパーカーとして、世界中から注目が集まった。

開発は当初、エンジニアリングをパオロ・スタンツァーニ、デザインをマルチェロ・ガンディーニが行ったことからも分かるように、根底にはランボルギーニ カウンタックが露呈したネガを解消する思惑があったようだ。だが諸般の事情でガンディーニはプロジェクトから外れ、ザガートがモディファイしたデザインが採用されている。

画像: 吸気2/排気3の5バルブDOHCのV12にクワッドターボを装着し、560ps/62.3kgmのハイパワーで4輪を駆動する。

吸気2/排気3の5バルブDOHCのV12にクワッドターボを装着し、560ps/62.3kgmのハイパワーで4輪を駆動する。

CFRP製のバスタブ型シャシのミッドに縦置きされるエンジンは、気筒あたり5バルブ(吸気2/排気3)DOHCの3.5L V型12気筒。これにIHI製のターボを3気筒ごとに4基装着(クワッドターボ)したもの。ボア×ストロークは81.0×56.6mmというショートストロークのため、最高出力の560psは8000rpmという典型的な高回転高出力の特性を示した。

そのハイパワーはV12エンジンと並列配置した6速MTからトルセンデフを介して4輪に伝達される、機械式フルタイム4WDの駆動方式を採用していた。クワッドターボによる過大なターボラグをものともしない豪快な加速を披露し、最高速度は350km/h、0→100km/h加速は3.5秒、0→1000m加速は20.7秒と公称されている。

翌1992年にはアルミニウム製のボディパネルをCFRPに換装し、キャビンにもカーボンを多用して大幅な軽量化を図ったシャシに、611psまでチューンしたエンジンを搭載したEB110SSを追加。ブガッティの高性能なイメージを一段と先鋭化させた。

だが1995年にブガッティ アウトモビリは倒産。ブガッティのブランドはVWグループが取得し、傘下のブガッティ オートモビルとして新たなスーパーカー メーカーとなる。

画像: 当初ガンディーニが関わったデザインだけに、カウンタックを進化させた空力ボディにシザーズドアを採用。リアエンドには可動式ウイングも備える。

当初ガンディーニが関わったデザインだけに、カウンタックを進化させた空力ボディにシザーズドアを採用。リアエンドには可動式ウイングも備える。

ブガッティ EB110GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4400×1950×1125mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1620kg
●エンジン種類:60度V12 DOHCクワッドターボ
●排気量:3500cc
●最高出力:560ps/8000rpm
●最大トルク:62.3kgm/3750rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:前245/40ZR18、後325/30ZR18
●当時の価格:6490万円

This article is a sponsored article by
''.