クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第65回は「アウディ R8」だ。

アウディ R8(2006-2016年)

画像: デザインはアウディ内製。ボディサイドのサイドブレードは色のセレクトが可能だった。

デザインはアウディ内製。ボディサイドのサイドブレードは色のセレクトが可能だった。

メルセデス・ベンツ、BMWと並び「ジャーマンスリー」と呼ばれるドイツのプレミアム ブランド、アウディ。オンロードで活躍できるフルタイム4WDのクワトロを開発し、1980年代はWRCを席巻。20世紀末からはレーシング プロトタイプでル・マン24時間も制覇した。そんなアウディの次の目標は、フラッグシップにもなるスーパースポーツカーを世に送り出すことだった。

2003年のフランクフルト モーターショーで発表された「ル・マン クワトロ」というコンセプトカーをベースに、R8は2006年に発売された。シャシは、それまでのアウディの上級車にも採用されている、アウディ独自のオールアルミニウム製ASF(アウディ スペースフレーム)で、エンジンフレームの一部にはマグネシウム合金も用いられていた。

デビュー当初のエンジンは、4.2Lの直噴 V8 DOHCで、最高出力は420ps。これに6速のRトロニック(DCT)ミッションを組み合わせたパワートレーンを、縦置きミッドシップ搭載する。駆動方式はもちろん、アウディ得意のクワトロシステムで4輪を駆動する。

画像: アウディらしく質実剛健なインパネ。ステアリングにパドルシフトも備わる。日本仕様では右ハンドルも設定されていた。

アウディらしく質実剛健なインパネ。ステアリングにパドルシフトも備わる。日本仕様では右ハンドルも設定されていた。

2009年には、最高出力525psと最大トルク54.0kgmを発生する5.2LのV10エンジンを搭載したモデルも追加され、翌2010年にはフルオープンモデルのスパイダーも登場する。

アウディ、ミッドシップ、4WD、V10エンジンといえば、ランボルギーニ ガヤルドを思い浮かべる人も多いだろう。そう、アウディ R8はガヤルドと姉妹車にあたり、エンジンや駆動系など、さまざまなパーツを共有している。だがガヤルドは、いかにもランボルギーニらしいイタリアン スーパーカーそのものといったスタイリングだが、R8はドイツらしいというかアウディらしいというべきか、いかにも質実剛健な「羊の皮をかぶった狼」。

R8のデザインはアウディの内製で、ル・マンで活躍したレーシングプロトタイプのR8からインスパイアされている。それでも、サイドブレードと呼ばれるボディサイドのエアディフレクターが特徴的だ。このサイドブレードは2代目となったR8にも少し形状を変えて引き継がれているが、スパイダーはデザイン上の制約もあり、初代では採用されなかった。

R8はFIA GT3クラスのレーシング仕様「R8 LMS」も市販され、ニュルブルクリンク24時間耐久レースをはじめ、日本でもスーパー耐久シリーズやスーパーGTに参戦し、活躍している。

画像: スパイダーのトップはキャンバス製で、50km/h以下なら走行中でも開閉が可能だった。

スパイダーのトップはキャンバス製で、50km/h以下なら走行中でも開閉が可能だった。

アウディ R8スパイダー 5.2FSI クワトロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4440×1905×1245mm
●ホイールベース:2650mm
●重量:1810kg
●エンジン種類:90度V10 DOHC
●排気量:5204cc
●最高出力:525ps/8000rpm
●最大トルク:54.0kgm/6500rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前235/30R19、後295/30R19
●当時の価格:2512万円

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