2005年に日本道路公団を中心とした道路関係四公団が民営化され、NEXCO東日本、中日本、西日本(NEXCO3社)などの高速道路株式会社となった。2010年頃には高速道路無料化に向けた動きもあったが、相変わらず安いとは言えない通行料金が必要だ。現在の高速道路の料金は、2013年12月に国土交通省が発表した「新たな高速道路料金に関する基本方針」に基づき作成された高速道路料金案をもとに、2014年4月に決定したものだ。料金体系も車種区分によって違うが、煩雑になるのでここでは個人所有の普通車の料金の仕組みを中心に解説しよう。

普通車の普通区間の通行料金は(24.6円/km×利用距離+150円)×税

画像: 高速道路料金は一律というわけではなく、普通区間の他、大都市近郊区間、海峡部等特別区間によって異なる。

高速道路料金は一律というわけではなく、普通区間の他、大都市近郊区間、海峡部等特別区間によって異なる。

高速道路の通行料金水準は、すべて均一というわけではない。普通区間、大都市近郊区間、海峡部等特別区間で整理されている。普通区間で普通車の通行料金は24.6円/kmだ。また、2014年以前は割高な6区間(関越トンネル、恵那山トンネル、飛騨トンネル、阪和自動車道(海南~有田)、広島岩国道路、関門橋)があったが、これも一律に24.6/kmに引き下げられた。

大都市近郊区間では、普通区間よりも割増した29.52円/kmとしている。これは改定前の料金を維持している。海峡部等特別区間というのは東京湾アクアラインや伊勢湾岸道路などで、これはともに普通車が108.1円/kmだ。前者は引き下げられるとともに、通常料金では3140円だが、ETC割引後料金では当面は800円としている。後者は料金水準の維持という形ではあるが、全線利用し接続する接続する高速国道と連続して使用すれば、普通車は150円割引されることで、100円/kmを切ることになる。

ちなみに改定によって料金が引き下げられたといっても、対象がETC車となっているのもポイントで、これはETC装着車が9割に達することから、料金徴収コストなどを考慮してということになっている。

画像: 東京湾アクアラインは通行料の高さで話題となった時期もあるが、現在はETC割引で普通車は800円となっている。

東京湾アクアラインは通行料の高さで話題となった時期もあるが、現在はETC割引で普通車は800円となっている。

通行料金が単純に区間ごとの走行距離だけで決まるかというと、そうでもない。高速道路の普通車での普通区間の計算方法は、(24.6円/km×利用距離+150円)×1.1で、四捨五入により10円単位の端数処理をする。距離料金に加算される150円というのは走行一回あたりに徴収される料金でターミナルチャージと呼ばれる。これは高速道路だけで一般有料道路にはかからない。それに消費税がかかる。2014年の策定当時は消費税が8%だったので、×1.08だったが、2019年10月に消費税が10%になったのにともない、現在は×1.1となってしまった。

この計算を基本として利用距離が100km以上の場合、100kmを超え200kmまでの部分を25%割引、200kmを超える部分を30%割引し、料金が1万円を超える場合には、100円未満端数切捨てとしている。こうして出ているのが高速道路の料金ということになる。

ETC装着車にはいろいろな割引もある

現在はETC装着車が当たり前になっているが、その割引も見逃せないところだ。「マイレージ割引」は、ETC装着車でETCマイレージサービスに事前登録した場合、割引率は1万円の利用で500円(割引率4.8%)、3万円で2500円分(割引率7.7%)、5万円で5000円分(割引率9.1%)となっている。これはその場で割引ではなく、無料走行分として事後還元される形をとっている。対象道路はNEXCO東日本、中日本、西日本(NEXCO3社)が管理する高速国道および一般有料道路となる。

画像: 高速道路には各種割引があるがETCカードと車載器が必須。マイレージサービスに登録するとさらに割引される制度もある。

高速道路には各種割引があるがETCカードと車載器が必須。マイレージサービスに登録するとさらに割引される制度もある。

また、ETCマイレージサービスを利用すると「平日朝夕割引」も使える。ETCシステムにより地方部の高速道路を平日の朝夕(6時~9時、17時~20時)の時間帯に料金所を通過する全車種(最大100km走行分まで)が対象で、適用されるのは朝夕それぞれ最初の1回のみだ。これは毎月の割引対象となる利用回数に応じて割引率が設定される。具体的には月に5回~9回の場合30%、10回以上だと50%以上の割引となる。逆に月に4回までは割引されない。

ETCカード(ETCマイレージサービスに入っていない場合)のみでも割引はある。「休日割引」は、観光需要を喚起し、地域活性化を図るための高速道路の有効活用を目的に設定されたもの。これは土日祝日の高速道路において地方部で3割の割引がされるもの。対象となるのは、NEXCO3社が管理する地方部の高速国道及び一部を除く一般有料道路となっている。京葉道路、第三京浜道路、横浜新道などは対象から外れている。ちなみに今年のゴールデンウイークでは、新型コロナの影響で利用できなかったのも話題となった。

同じ形では「深夜割引」も実施されている。これは一般道の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進することが目的だ。対象は深夜(0時~4時)に高速道路を通過する全車種が対象となる。割引対象道路はNEXCO3社が管理する全国の高速道路および宮城県道路公社の仙台松島道路で、京葉道路・第三京浜道路など一部の道路は対象外となる。

画像: 高速道路は償還が終われば無料開放が行われることになっていた。そのための民営化でもあったわけだが、現在の予定では2065年に実行される予定だ。

高速道路は償還が終われば無料開放が行われることになっていた。そのための民営化でもあったわけだが、現在の予定では2065年に実行される予定だ。

2016年から導入されたETC2.0が導入されている。これは従来のETCの料金支払いだけでなく、インターネットとナビ、スマホなどと連動することにより、多様なサービスを受けられるようにするもの。これを使用すれば現状では圏央道利用分の2割割引が利用できる。こちらのサービスも順次広がっていく予定となっている。

高速道路の料金は、NEXCO三社などの利益のためではなく、道路の維持管理や日本高速道路保有・債務返済機構を通じ日本道路公団時代の債務の返済に当てている。道路公団の有利子負債は約40兆円という莫大なものだったのだ。現在は順調に返済中とは聞くが、現時点で償還が終わり高速道路が無料化されるのは2065年までとされている。筆者が100歳を迎えられれば、世紀の瞬間?を見られることになるのだが、おそらく、いや絶対無理だろう…。(文:飯嶋洋治)

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