クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第81回は「パガーニ ウアイラ」だ。

パガーニ ウアイラ(2012年-)

画像: ガルウイング式ドアのルーフ部はガラス製。サイドシルやドアパネルなどにカーボンファイバーを多用している。

ガルウイング式ドアのルーフ部はガラス製。サイドシルやドアパネルなどにカーボンファイバーを多用している。

オラチオ・パガーニが率いるパガーニ アウトモビリが、ゾンダの後継モデルとして2012年にデビューさせたモデルが、「ウアイラ」だ。ウアイラ(Huayra)とは、南米の先住民族であるアイマラ族の古い言い伝えにある、アンデスの山々に吹きすさぶ嵐や吹雪を司っていた風神「ウアイラ タタ」に由来するという。

ゾンダ同様、レーシングプロトタイプ的なスタイルにエレガントな要素を組み合わせているが、よりキャブフォワードなドライビングポジションとなっている。バイキセノンの小型4灯ヘッドランプやリアエンド中央の4本出しエグゾーストエンドなどはゾンダから踏襲されているが、ドアはルーフ中央まで切れ込んだ本格的なガルウイング式を採用している。

ボディの四隅にはフラップが備わり、空力的に車体をコントロールして安定した走りを実現する。リアフラップはエアブレーキの働きもする。リアフェンダー上のエアインテークは1950〜60年代の飛行機をモチーフにするなど、空力特性を追求しながら効率的な冷却性能も実現している。

カーボンファイバーとチタニウムによるセンターモノコックは完全な新設計で、最高レベルのボディ剛性を確保している。前後のサブフレームはクローム モリブデン鋼製で、軽く高剛性だが万が一の衝突時は衝撃吸収材として機能する。軽量化に注力したウアイラの乾燥重量は1350kgにおさまっている。

画像: アルミニウム、カーボンファイバー、そして本革をふんだんに用いた「走る芸術品」と称されるインテリア。

アルミニウム、カーボンファイバー、そして本革をふんだんに用いた「走る芸術品」と称されるインテリア。

コクピットの後ろにミッドシップ搭載されるパワーユニットは、ゾンダ同様にメルセデスAMG製のV型12気筒DOHCだが、ツインターボ化されて最高出力は730ps、最大トルクは1000Nmというパワースペックを発生する。チタン製のエグゾーストシステムは、総重量が10kg以下という軽さで、しかも音質のチューニングが念入りに行われている。

これに、Xートラック社製のツインプレートクラッチの縦置きシーケンシャル7速ミッションを組み合わせ、タイヤは専用チューニングが施されたピレリ Pゼロ。公称の最高速度は360km/h、0→100km/h加速は3.3秒というハイパフォーマンスを発揮するハイパー スポーツカーだ。

独創的なエクステリア以上にラグジュアリーなデザインでまとめられたインテリアは「走る芸術品」とも呼ばれ、スイス製の機械式腕時計からデザインモチーフを得たという、アルミニウム製のダッシュボードが目を引く。センターコンソールはアルミニウムの削り出しで、マニュアルシフトのように見えるシフトレバーもアルミニウム製だ。ステアリングには変速用パドルも備えられている。

ウアイラは100台の限定生産だが、ゾンダ同様に少量生産ゆえのスペシャルモデルが何車種か存在する。2013年に日本でお披露目されたときの価格は、税抜きで1億5000万円からというものだった。

画像: デイフューザーを融合したリアバンパーに4本出しのエグゾーストエンドなど、リアビューも個性的だ。

デイフューザーを融合したリアバンパーに4本出しのエグゾーストエンドなど、リアビューも個性的だ。

パガーニ ウアイラ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4605×2036×1169mm
●ホイールベース:2795mm
●乾燥重量:1350kg
●エンジン種類:60度V12 DOHCツインターボ
●排気量:5980cc
●最高出力:730ps/5800rpm
●最大トルク:1000Nm/2250-4500rpm
●燃料タンク容量:85L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速シーケンシャルMT
●タイヤサイズ:前255/35ZR20、後335/30ZR20
●当時の価格:1億5000万円(税別)〜

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