クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第103回は「マクラーレン 720S」だ。

マクラーレン 720S(2017年-)

画像: ウインカーなどと一体となった大型のヘッドランプを採用し、650Sから顔つきを一新。ボディサイドのエアインテークも省略された。

ウインカーなどと一体となった大型のヘッドランプを採用し、650Sから顔つきを一新。ボディサイドのエアインテークも省略された。

マクラーレンのスーパースポーツカーのラインアップは、アルティメットシリーズ/スーパーシリーズ/スポーツシリーズの3シリーズで展開するようになったが、中核モデルであるスーパーシリーズは、2017年のジュネーブ モーターショーでワールドプレミアされた「720S」により、第2世代へと進化した。日本市場を重視するマクラーレン オートモーティブは、ジュネーブで発表されてから24時間も経たないうちに720Sを日本でも公開した。

720Sは、スーパーシリーズの先代モデルにあたる650Sの後継モデルであるが、第2世代といわれるようにあらゆる部分が刷新されている。まずスタイリングでは、ディヘドラルドアこそ踏襲されているが、アルティメットシリーズのP1から継承されていた独特の形状のヘッドランプではなく、LEDのヘッドランプとウインカーなどを組み合わせた大型のものに変更され、顔つきが大きく変わった。

ボディサイドの大型エアインテークはなくなったが、エアロダイナミクスを駆使したボディ形状により、リアサイドウインドー後方の小ぶりなインテークから、エンジンやラジエターを冷却するという方式を採用している。

また、マクラーレンのスーパースポーツカーのウリであるカーボンファイバー製のシャシは、ピラーからルーフまで一体構造の「モノケージ II」へと進化した。これによって、車体の剛性がアップしただけでなく、軽量化されたうえに、スポーツシリーズの570GTほどではないがシートの後ろには210Lのラゲッジスペースを確保している。

画像: 排気量が従来までの3.9Lから4.0LにアップされたV8ツインターボ エンジンは、車名のとおり720psと770Nmのパワースペックを発生。

排気量が従来までの3.9Lから4.0LにアップされたV8ツインターボ エンジンは、車名のとおり720psと770Nmのパワースペックを発生。

リアにミッドシップ搭載されるパワーユニットも新開発のものとなり、それまでのM838T型と呼ばれた3.9L(正確には3799cc)からM840T型の4.0L(同3994cc)に排気量を拡大。車名が示すとおり、最高出力は720ps、最大トルクは770Nmというパワースペックを発生。先代の650Sより50psと92Nmものパワーアップが図られている。公称のパフォーマンスは、最高速度が341km/h、0→100km/h加速が2.9秒とされている。

プロアクティブ シャシ コントロールやサスペンションも新世代のものとなり、電動油圧式のパワーステアリングとの統合制御を行うバリアブル ドリフト コントロールによって高度なドライビングのサポートも行う。

インテリアも上質の本革とアルミニウム製のスイッチなどを採用して、650Sよりはスーパースポーツカーらしく豪華な雰囲気に仕立てられている。スポーツ走行などでは最小限の情報だけを表示できるよう、格納式のユニークなメーターパネルを採用している。

2019年にはリトラクタブル ハードトップを採用した720Sスパイダーも追加設定。パワースペックはそのままに、クーペより49kgの重量増に抑えられ、車速が50km/h以下なら走行中でも約11秒で開閉が可能とされている。

画像: リアエンドには可変式のリアスポイラーも備える。ボディサイドの複雑な面構成も、今までのマクラーレン車にはないものだ。

リアエンドには可変式のリアスポイラーも備える。ボディサイドの複雑な面構成も、今までのマクラーレン車にはないものだ。

マクラーレン 720S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4543×2059×1196mm
●ホイールベース:2670mm
●重量:1419kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3994cc
●最高出力:720ps/7500rpm
●最大トルク:770Nm/5500rpm
●燃料タンク容量:72L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前245/35R19、後305/30R20
●当時の価格:3398万8000円

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