クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第107回は「マクラーレン セナ」だ。

マクラーレン セナ(2018年-)

画像: マクラーレン セナもディヘドラル式ドアを踏襲。サイドウインドーは下半分だけ開閉し、ドアの下側にもウインドーが備わる。

マクラーレン セナもディヘドラル式ドアを踏襲。サイドウインドーは下半分だけ開閉し、ドアの下側にもウインドーが備わる。

2018年のジュネーブ モーターショーで、マクラーレン オートモーティブはラインアップの最高峰である「アルティメット シリーズ」の最新モデルをワールドプレミアさせた。その名は「マクラーレン セナ」。セナ(Senna)とは、かつてF1グランプリでマクラーレンのマシンを駆って数多くの勝利を重ねた天才レーシングドライバー、アイルトン・セナの名にほかならない。マクラーレンとしては、極めつけのスーパースポーツカーといえるだろう。

マクラーレン セナはアルティメット シリーズの最新モデルという意味では、ハイブリッド スーパースポーツカーであったP1の後継モデルにあたるが、クルマの性格としては少し異なる。ロードカーではあるが、そのままル・マン24時間レースにでも参戦できそうなほどサーキット走行に特化している。

マクラーレン オートモーティブのデザインディレクター、ロブ・メルヴィルが手がけたボディデザインは空力を重視したもので、フロントまわりの複雑なスプリッターやエアロブレード、前後のフェンダー、リアの巨大な可動式ウイング、リア両サイドのガーニーフラップ、リアエンド下端のディフューザーなど、必ずしも美しくは見えないボディワークは、最高速度が300km/h超にも達する世界で最適な空力性能と効率的な冷却性能を発揮するためのものだ。250km/hで走行時のダウンフォースは、800kgにも達する。

画像: インテリアは軽量化のためトリムされず、カーボンファイバーが剥き出し。DCTのセレクターはドライバーズシートと一体化されている。

インテリアは軽量化のためトリムされず、カーボンファイバーが剥き出し。DCTのセレクターはドライバーズシートと一体化されている。

ミッドシップ搭載されるパワートレーンは、720Sから採用された新世代のM840T型をベースにしているが、3994ccの排気量はそのままに、パワースペックは最高出力が800ps、最大トルクが800Nmに引き上げられている。この数値は、歴代のマクラーレン ロードカーでは最もパワフルなものだ。

カーボンファイバー製の「モノケージIII」と呼ばれるシャシとボディパネルなどによる軽量化で、マクラーレン セナの乾燥重量は、あのマクラーレン F1以来、最軽量の1198kg。パワーウエイト レシオは1.49kg/ps!しかない。公称の最高速度は340km/h、0→100km/h加速は2.8秒、0→200km/h加速は6.8秒とされている。

インテリアも軽量化が図られ、コクピットはトリムを省略してカーボンファイバーが剥き出しになっている。シートもカーボンファイバー製で、シェルの重量は3.35kgしかない。センターダッシュには他のマクラーレン車同様の縦型ディスプレイやダイヤルが備わり、7速DCTのセレクターはドライバーズシートに一体化されている。メーターは720Sと同様の折りたたみ式を採用している。

マクラーレン セナは500台の限定生産で、日本向けの車両価格(税込)は、67万5000ポンド(当時のレートで約1億円)。この手のほかの限定モデルと同様に、発表時には既に完売していた。また2019年3月には、825psにパワーアップしたサーキット専用車の「セナ GTR」が75台限定で発売されたが、これも完売している。

画像: 大型の可動式リアウイングやディフューザーなど、リアビューはほとんどレーシングカーそのものといった感じ。

大型の可動式リアウイングやディフューザーなど、リアビューはほとんどレーシングカーそのものといった感じ。

マクラーレン セナ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4744×2153(ミラー含む)×1195mm
●ホイールベース:2670mm
●乾燥重量:1198kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3994cc
●最高出力:800ps/7250rpm
●最大トルク:800Nm/5500-6700rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前245/35R19、後315/30R20
●当時の価格:67万5000ポンド(約1億円)

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