クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第128回は「マクラーレン 620R」だ。

マクラーレン 620R(2019年-)

画像: このカラーリングはデモカー用で、標準ではマクラーレン オレンジ、シリカ ホワイト、オニキス ブラックの3色を設定している。

このカラーリングはデモカー用で、標準ではマクラーレン オレンジ、シリカ ホワイト、オニキス ブラックの3色を設定している。

2019年12月、マクラーレン オートモーティブはスポーツシリーズの最新モデルとして「620R」を発表した。620Rは、2017年に発表されたレース用モデルの570S GT4をベースに開発されたモデルだ。つまり、サーキット走行も楽しめるモータースポーツ仕様でありながら、日本においてもナンバープレートを取得して公道を走行することができるわけだ。

シャシには、スーパーシリーズの720Sから採用されているカーボンファイバー製の「モノセル II」を採用し、公道バージョンでありながらサーキット走行にも耐えられる高い剛性を達成し、しかも乾燥重量は1282kg(液体+90%の燃料では1386kg)という軽量化を実現している。

ボディに装着されたエアロパーツも、570S GT4から継承されている。ハイマウントのリアウイングはカーボンファイバー製で、角度は調整可能で巨大なダウンフォースを発生しながらドラッグは抑えられている。フロントのバンパースポイラー&スプリッター、エアロブレード、2基のエアアウトレットを追加したボンネットなどは570S GT4から新デザインとされ、空気の流れは最適化されている。

画像: リアウイングの角度を強めれば、リアのダウンフォースは最大で185kgになり、より高速でのサーキット走行が可能になる。

リアウイングの角度を強めれば、リアのダウンフォースは最大で185kgになり、より高速でのサーキット走行が可能になる。

パワーユニットは720Sから搭載された新開発の4.0L(正確には3994cc)V型8気筒 DOHCツインターボのM840T型ではなく、570S GT4と同じく従来までの3.8L(同3799cc)のM838T型だが、GT4レースのレギュレーション制約がなくなったため、最高出力は車名のとおり620psにアップされ、スポーツシリーズとしては最強となった。最大トルクも620Nmを発生している。組み合わされる7速DCTは高速シフトが可能なものとされており、最高速度は322km/h、0→100km/h加速は2.9秒、0→200km/h加速は8.1秒というパフォーマンスが公称されている。

サーキット走行を考慮して、サスペンションには減衰力を32段階にアジャストできるレース用ダンパーが組み込まれ、スタビライザーやスプリングは通常のスポーツシリーズより固められている。タイヤもピレリ Pゼロのセミスリックを標準装着しているが、そのままの状態でオプションのフルスリックタイヤに履き替えればサーキット走行が可能だ。ブレーキにはカーボンセラミック製ディスクや鍛造アルミニウム製キャリパーも装備される。

インテリアでは、サーキット走行に必要でないものは可能な限り省略された。フロアカーペットやグローブボックスもなく、エアコン、カーナビ、オーディオは標準装備されないがフリーオプション(追加費用なし)で装着可能だ。そのかわり、超軽量のカーボンファイバー製レーシングタイプシートや、マクラーレン トラック テレメタリー システムは標準装備される。

まさに公道も走れるGT4マシン、マクラーレン 620Rは350台の限定生産で、日本市場にも導入される。

画像: カーボンファイバー製のリアウイングは570S GT4と同じもので、ボディから32cmも上にセットされ、角度調整が可能だ。

カーボンファイバー製のリアウイングは570S GT4と同じもので、ボディから32cmも上にセットされ、角度調整が可能だ。

マクラーレン 620R 主要諸元

●全長×全幅×全高:4557×1945×1195mm
●ホイールベース:2670mm
●乾燥重量:1282kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:620ps/7000rpm
●最大トルク:620Nm/3500rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前225/35R19、後285/35R20
●当時の価格:3750万円〜

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