今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「日産 エクストレイル(初代)」だ。

日産 エクストレイル(初代:2000年)

画像: 2000年のパリ モーターショーに参考出品されたコンセプトカーのスタイルをほぼ踏襲している。

2000年のパリ モーターショーに参考出品されたコンセプトカーのスタイルをほぼ踏襲している。

2000年10月に発表された日産の新しいSUV、エクストレイルは、今までのライトSUV(編集部註:今では死語のようだが、かつてはこう呼ばれるSUVがあった)とはちょっと成り立ちが違う。つまり、1000人以上もの20代の若者から直接「いま、どんなクルマが欲しいのか?」という声を聞き、それを基に作り上げられたという。要するに、ハード先行ではなくソフト先行型なのだ。

ライバルはズバリ、トヨタのRAV4とホンダのCR-V。どちらも当時、ライト感覚のSUVとして人気を誇っていた。そんなライバルに対抗すべく、日産の新感覚SUVとして、都会的なスタイリングにオールモード4WDを備えて登場した。その走りは、若者専用ではもったいないのではないだろうか。

そのエクストレイルに試乗できる機会を得たので、さっそくインプレッションをお届けすることにしよう。試乗コースは、河口湖周辺の一般道と多少の未舗装路。試乗車は2.0Lの自然給気DOHCを搭載したベーシックグレードのS。とはいえ、上級グレードのXとは豪華装備が若干違うくらいで、走りのスペックには何ら遜色はないはずだ。なお、ターボを装着したエンジンを搭載するGTは、2001年2月に発売予定だ。

画像: 150psと200Nmを発生する2.0Lの直4エンジンは4速ATとの相性も良く、パワー的には必要十分。

150psと200Nmを発生する2.0Lの直4エンジンは4速ATとの相性も良く、パワー的には必要十分。

エクストレイルは、いわゆるSUV風の背の高い2BOXスタイルながら、スペアタイヤも背負わずスッキリしたフォルムだ。この気負わないスタイルならば、都会でも違和感はないだろう。ドアを開け、コクピットに収まる。まず目につくのは、メーターはステアリングの奥ではなくセンターダッシュ上部にある、いわゆるセンターメーターを採用していること。「乗員全員が情報を共有できる」という理由で採用されたそうだが、確かに居住性のいい後席からもよく見えるし、メーター自体は少し運転席側にオフセットしているので、ドライバーからも視認性はいい。シートまわりにある小物入れ、撥水加工のシート、そしてウオッシャブルのリアボードなど、確かに使い勝手は高そうだ。

2.0Lの直4DOHCは、振動やノイズなどは普通のレベルだ。極端に静かではないけれど、多少高回転まで回しても耳障りになるレベルではない。オンロードでの乗り心地はかなり良い。反面、未舗装のラフロードでは、けっこう路面からの突き上げを感じさせる。

1400kgのボディに150psと200Nmを発生するエンジン、そして4速ATとの組み合わせは、市街地走行ならばパワー的に不満を感じることはないだろう。だが、休日レジャーの足として、4人が乗って4人分の荷物を積んで高速走行をすると、ちょっと走りには物足りなさを感じるかもしれない。とはいえ、あとから登場予定の280psターボエンジンを搭載するGTまでは、無理には要らないと思うのだが・・・。

また、最小回転半径は5.3mだから、比較的小回りがききそう。路地の多い都会の裏道などでも扱いやすいだろう。日産が自信を持って送り出したライト感覚SUVのエクストレイルは、若者を中心にけっこう人気が出ることは間違いなさそうだ。いや、若者だけに乗せるのはもったいないと、これをチョイスするオジサンたちも増えるに違いない・・・?

画像: 16インチタイヤ&アルミホイールはオプション。スペアタイヤも背負わず、スッキリしたスタイリングだ。

16インチタイヤ&アルミホイールはオプション。スペアタイヤも背負わず、スッキリしたスタイリングだ。

■日産 エクストレイル S 主要諸元

●全長×全幅×全高:4445×1765×1675mm
●ホイールベース:2625mm
●車重:1400kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:110kw(150ps)/6000rpm
●最大トルク:200Nm(20.4kgm)/3200rpm
●ミッション:4速AT
●タイヤ:215/70R15
●当時の価格:200万円

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