今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「日産 スカイライン(11代目)」だ。

日産 スカイライン(11代目:2001年)

画像: 1999年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーのXVLと基本的なスタイルは同じ。ヘッドランプは上下2段構造。

1999年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーのXVLと基本的なスタイルは同じ。ヘッドランプは上下2段構造。

1957年に初代が誕生したスカイラインは、2001年に11代目にフルモデルチェンジされた。その姿を見た多くの人は「これがスカイライン!?」と驚きを隠せなかった。2年前の1999年の東京モーターショーに参考出品されたコンセプトカー「XVL」とスタイルがそっくりだったからだ。

正確には新型スカイライン=XVLそのものではない。ディテールは微妙に変更されている。だが、旧型のR34に比べて全長は30mm短くされたがホイールベースは185mm延長され、全幅は30mm広げられ、全高も95mm高めている。とはいえ、スタイル全体のバランスは取れているのでスポーティさはスポイルされていない。

しかも、スカイラインの伝統であるストレート6エンジンをやめて、コンパクトで全長の短いV6エンジンを搭載。それゆえ、全長は短くなってキャビンは拡大された。テールランプにはLEDを採用したが伝統の丸型ではなくなった。ヘッドランプも上下2段構造となった。

まずは格段に居住性の向上したキャビンに乗り込んで、スタートしよう。新コンセプトのボディ構造と新開発のマルチリンクサスペンションが提供する乗り味は、なかなか小気味良いものだ。ダンパーは乗り心地面でのゴツゴツ感を解消し、独特なスッキリした乗り味をもたらしてくれる。しかもフワフワすぎることはなく、腰のあるしっかりした足まわりとなっている。

また、ロングドライブには欠かせない静粛性も旧型よりも格段に向上しており、プレミアムセダンと呼ばれるに恥じない高いレベルに到達している。

画像: 円筒形を大胆に採り入れた機能的なフォルムのインパネまわり。メーター照明などはイエローオレンジでコーディネイトしている。

円筒形を大胆に採り入れた機能的なフォルムのインパネまわり。メーター照明などはイエローオレンジでコーディネイトしている。

ハンドリングもプレミアムセダンとして、これまでの日本車にはなかった味がある。ステアリングを切ったときの回頭性は非常に軽快で、ノーズがスッと入る気持ち良さと、その後に続く軽い操舵力と一定のアングルでコーナーを抜ける姿勢は、ワインディングロードを軽快に走るのに適している。直進安定性も高く、高速道路では気持ちの良いクルージングができる。

エンジンは直噴の2.5Lと3Lの2機種だが、VQエンジンの特徴であるスムーズな回転フィールを見せる。もちろんトルクがある3Lの力強い走りは魅力だが、急勾配の上り坂でない限り2.5Lでも十分だ。ただしミッションは、3Lは5速ATと組み合わされるのに2.5Lは4速ATしか選べないのは残念だ。

新型スカイラインのキャラクターは、ヨーロッパのライバルとも違った上質なミドルセダンに仕上がっているようだ。日本発のプレミアム4ドアセダンとして、世界に第一歩を踏み出したといえるだろう。

ただし、このクルマを見て、乗って、走って、「これこそがスカイラインだ!」と言い切れるかどうかは難しい。このクルマがスカイラインという車名でなければ、走りの良いスポーツセダンとして高い評価を得られるに違いない。だが、いままでのスカイライン ファンにとって、このクルマをスカイラインと呼ぶには違和感がありすぎるし、そう認めさせるには、もう少し時間が必要だろう。

画像: テールランプも伝統の丸型ではなくなったが、片側18個の高輝度LEDを採用している。タイヤは55偏平の17インチ。

テールランプも伝統の丸型ではなくなったが、片側18個の高輝度LEDを採用している。タイヤは55偏平の17インチ。

■日産 スカイライン 300GT 主要諸元

全長×全幅×全高:4575×1750×1470mm
ホイールベース:2850mm
車重:1490kg
エンジン形式:V6・4バルブDOHC・FR
排気量:2987cc
最高出力:191kW(260ps)/6400rpm
最大トルク:324Nm(33.0kgm)/4800rpm
ミッション:5速AT
タイヤ:215/55R17
当時の価格:325万円

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