今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「トヨタ ヴェロッサ」だ。

トヨタ ヴェロッサ(2001年)

画像: マークIIよりも全長は30mm短く、全高は10mm低いが全幅は同じ。ヘッドランプは縦型4灯となっている。

マークIIよりも全長は30mm短く、全高は10mm低いが全幅は同じ。ヘッドランプは縦型4灯となっている。

2001年7月に発表されたヴェロッサは、「フェティッシュ&エロティック」という、真面目なトヨタが言ったとは思えない言葉がコンセプトだった。つまり、知性や理性よりも感性、性能よりも官能といった部分を大切にして創られたというわけだ。

ベースとなるプラットフォームはマークIIのものを踏襲しているが、エクステリアやインテリアはまったく異なる。狙っているユーザー層は、「アルテッツァ以上でマークII未満」といったところだそうだ。

ヴェロッサの最大の特徴は、そのスタイリングだろう。全身が立体感にあふれ、低く構えるフォルムは見るものを圧倒するような存在感を放つ。彫刻的な造形を施された前後のフェンダーはエキゾチックな雰囲気を感じさせる。どちらかといえばラテンのクルマのようなスタイルは、いままでのトヨタ車とは一線を画している。

インテリアも、エクステリア同様に斬新だ。ブラック&メタリックで統一された室内でまず目を引くのは、金属調のリングが配されたエアコンの吹き出し口。メーターは円をモチーフとした大型3連タイプで、立体的なデザインとなっている。しかも夜間のイルミネーションは赤く点灯し、なかなか艶めかしい。

シートは人間工学に基づいて立体構成を施したスポーツタイプのものが装着され、上級グレードでは本革もオプション設定されている。このように、マークIIベースでありながらも内外装においてはヴェロッサ独自の世界を展開することで、まったく別のクルマを創り上げたことは評価すべきポイントだろう。

画像: 各所にブラックの木目調パネルを配し、スポーティ感を演出したインテリア。ATのシフトゲートはスタッガード式だ。

各所にブラックの木目調パネルを配し、スポーティ感を演出したインテリア。ATのシフトゲートはスタッガード式だ。

パワートレーンは、2L、2.5L直噴、そして2.5Lターボという3種のストレート6 DOHCを搭載する。今回の試乗では、中核となるであろう2.5L直噴を中心に、2.5Lターボも乗ることができた。

トヨタの直噴エンジンもだいぶ熟成されてきたようで、以前にマークIIで試乗したときよりもノイジーな印象は薄れ、2.5Lなりのトルク感というものも感じられるようになった。乗り心地もマークIIより良いのではと思えるくらいだ。しかもマークIIよりハンドリングもいい。高剛性ボディと4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションが良くマッチしているのだろう。

聞けば、さらに専用のスポーティなチューニングを施し、これによって高い直進安定性や優れた旋回性能を生み出しているのだという。ヴェロッサの開発者はマークIIと同じ大橋氏だが、マークIIの持つ弱点を払拭してスタイリングにふさわしいスポーティな味つけの走りがもたらされている。

280psと38.5kgmを発生する2.5Lターボは、スムーズかつパワフル。もちろん、ターボが効き出してからのトルクの盛り上がりは十分以上のものがある。パワー感は高回転域まではあまり持続されないので、ガンガン回して楽しいエンジンではないが、ヴェロッサというクルマの性格を考えれば問題はないだろう。

トヨタの新たなプレミアム スポーツセダンとして生まれたヴェロッサの最大のライバルは、同時期に登場した新型スカイラインだろう。バトルの火ぶたは切って落とされたばかり。今後の展開に注目したい。

画像: フロントやサイドに比べれば、リアビューは比較的おとなしい。リアコンビランプにはインナーレンズを採用している。

フロントやサイドに比べれば、リアビューは比較的おとなしい。リアコンビランプにはインナーレンズを採用している。

■トヨタ ヴェロッサ V25 主要諸元

●全長×全幅×全高:4705×1760×1450mm
●ホイールベース:2780mm
●車重:1490kg
●エンジン形式:直6・4バルブDOHC・FR
●排気量:2491cc
●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/3800rpm
●ミッション:5速AT
●タイヤ:215/45ZR17
●当時の価格:294万円

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