今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「マツダ MPV(2代目)」だ。

マツダ MPV(2代目/マイナーチェンジ:2002年)

画像: フロントグリルは、5ポイントをより強調したデザインとなった。ヘッドライトまわりやバンパーのデザインも変更された。

フロントグリルは、5ポイントをより強調したデザインとなった。ヘッドライトまわりやバンパーのデザインも変更された。

ホンダ オデッセイやトヨタ イプサムなど、強豪がひしめき合うミニバン市場。現行のMPVがデビューしたのは1999年6月で、これはオデッセイが新型に切り替わる直前のこと。おりしも、ファミリーカーの主流がセダンからミニバンに移行しつつある真っ只中といえる時期だ。

フォードとの関係もあり、アメリカ市場で販売されることも考慮してサイズアップされた現行型のMPV。だが、直4の2L(マツダ製)とV6の2.5L(フォード製)というエンジンに関しては、非力な感は否めなかった。そこで今回のビッグマイナーチェンジでは、エンジンの一新やシャシの改良など、スポーティさを前面に押し出した内容で登場してきた。

今後、グループ内で使うことになる新しい4気筒エンジンの開発はマツダが担当した。完全な新設計の2.3Lは、いずれ世界の4工場で年間1500万基が作られるという。最高出力は163ps、最大トルクは21.2kgmとスペックは平均的だが、全域でトルクが感じられ、回転フィールは滑らかだ。さらに4000rpmから上では4気筒らしい軽快な吹け上がりとサウンドが味わえる。

V6エンジンも排気量を3Lにアップし、可変吸気システムやマツダ初の5速ATを採用し(直4は4速AT)、最高出力は197ps、最大トルクは27.2kgmを発生。2000rpm前後の低速域からトルクフル。重厚なV6、軽快な直4と、それぞれの良さがキチンと出ている。

画像: 可変慣性過給システムの「VIS」を採用した完全な新設計の2.3L 直4エンジンは163psと21.2kgmを発生する。

可変慣性過給システムの「VIS」を採用した完全な新設計の2.3L 直4エンジンは163psと21.2kgmを発生する。

エンジンと同時に、サスペンションの支持剛性を強化したり、スプリングとダンパーの特性を変えるなど、シャシの改良も行われた。これによって、サスペンションがスムーズに動いて路面を的確に捉えてくれる。乗り心地とロードホールディングが同時に向上している。コーナリング時のロールも安定感の高いもので、スポーティさが強まっている。

やはりV6はノーズの重さを感じさせるが、直4は締まっていながらも滑らかな走りの味わいを感じさせてくれ、これが今後のマツダ車の走りになるのなら、かなり期待はできるだろう。

エクステリアでは、ヘッドライトやバンパー/グリル類のデザインを変更し、顔つきは精悍さを増した。また、10万円のオプションだが両側電動スライドドアの設定をはじめ、インテリアではシート地やセンターパネルの質感向上、フロントセンターテーブルの新設、2列目シートバックテーブルの改良などが施され、商品力は十分に強化されている。

ただし、シート配列は2-2-3の7人掛けしか設定されていないのは少し残念なところ。2列目は前後左右に動くカラクリシートでユニークなのだが、3列目を収納してラゲッジスペースにしてしまうと、4人しか乗車できなくなってしまう。

新エンジンとシャシの改良で魅力を数段高めたMPVだけに、2列目にベンチシートの3人掛けも設定するとか、選択肢を増やしてもらえると、さらに人気は増していくに違いない。

画像: 試乗車の「スポーツ」は前後スポーツエアロバンパー、サイド&ルーフスポイラーを標準装備している。

試乗車の「スポーツ」は前後スポーツエアロバンパー、サイド&ルーフスポイラーを標準装備している。

■マツダ MPV 2.3スポーツ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4785×1830×1745mm
●ホイールベース:2840mm
●車重:1640kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:2260cc
●最高出力:120kw(163ps)/6000rpm
●最大トルク:208Nm(21.2kgm)/4500rpm
●ミッション:4速AT
●タイヤ:215/60R16
●当時の価格:235万8000円

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