2020年8月1日、F1第4戦イギリスGPの予選が行われ、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が昨年より1.2秒も速いタイムでポールポジションを獲得した。予選2番手にもバルテリ・ボッタスが入るなど、メルセデスAMGの速さが際立った。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は3番手で予選を終えた。そのほかのホンダ勢は、大混戦の中、ピエール・ガスリー11位、アレクサンダー・アルボン12位、ダニール・クビアト14位と、惜しくもQ3進出を逃している。

ハミルトンが通算91回目のポールを獲得

前日とは異なる低い気温と強い風に各チームが悩まされる中、予選でメルセデスAMGの2台が圧巻の走りを見せた。とくにハミルトンは昨年のポールよりも1.2秒も速い1分24秒台のタイムをマーク。ボッタスもコンマ3秒差で続いた。

フェルスタッペンは予選Q3のほとんどを3番手で走ったが、予選タイムはハミルトンの約1秒遅れの1分25秒台にとどまった。それでもロングランのペースは良く、決勝スタートタイヤはメルセデスAMG勢と同じミディアムを選択することに成功しており、逆転を狙える好位置につけたと言えるだろう。

一方、チームメイトのアレクサンダー・アルボンはフリー走行の開始直前にデータの不具合を検知しバッテリー交換を行ったため、最初の45分間走行できなかったことが大きく響いた。午前中に十分なデータ取りができず、予選Q2をミディアムタイヤでの通過が難しくなり、最後にソフトタイヤで通過を狙ったがQ3進出にわずかに0.04秒届かなかった。金曜日はいい走りをみせていただけに悔やまれるが、それでもタイヤを自由に選択できる12番グリッドはそれほど悪くないポジションだ。

アルファタウリ・ホンダの2台も惜しかった。ピエール・ガスリーは予選Q2で10番手のストロール(レーシング・ポイント)と同タイムだったが、規定によりタイムを記録した順番が遅かったガスリーは11番手となりQ3進出を逃している。ガスリーも決勝スタートタイヤを自由に選択できる。ダニール・クビアトは予選前にギアボックスを交換、5グリッド降格のペナルティを受けることが決まっていたためレースセッティングに専念していたが、それでも0.2秒遅れの14番手に入っている。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、決勝レースに向けて「フェルスタッペン選手が唯一Q3に進出しましたが、他の3台はQ2敗退と、我々にとっては厳しい結果となりました。 フェルスタッペン選手は、メルセデスの2台に続いての3番手からのスタートとなりますので、明日のレースでのよい戦いを期待したいと思います。11番手となったガスリー選手および12番手に終わったアルボン選手は、明日のレーススタート時のタイヤを選択できますので、タイヤに厳しいこのサーキットではアドバンテージになると考えています。両チームともにレースペースは悪くないので、4台ともに力強い走りでポジションを上げてフィニッシュできるようチームとともに準備を進めます。なお、フリー走行3回目のスタート直前のエンジン始動時にアルボン選手の車にバッテリーパックの異常を確認したためバッテリーを交換しました。地の利を活かして、ミルトンキーンズのファクトリーに戻してすぐに解析を始めています」とコメント。ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。メルセデスAMGに対抗すべく、セカンドロウ3番グリッドを獲得。ミディアムタイヤで決勝スタートする。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。メルセデスAMGに対抗すべく、セカンドロウ3番グリッドを獲得。ミディアムタイヤで決勝スタートする。

「マシンの力を出し切って、いい予選ができたと思います。予選Q3の最終ラップでは特にいいタイムで走れましたが、メルセデスは前戦までと同様に、非常に速かったです。3番手の結果に満足していますし、明日はクリーンスタートを決めて彼らにプレッシャーを掛けていきます。F1マシンは風に弱いので、このサーキットでは風が勝負の行方を左右します。金曜日は低速コーナーに苦しみましたが、それも改善しつつあります。セッティングの方向性は固まったと思いますし、今日は楽しくドライビングできました。やるべきことはやって、表彰台のできるだけ上でフィニッシュしたいと思います」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。決勝前のフリー走行で十分に走れず、惜しくも12番グリッドからのスタートとなった。決勝でどこまでフェルスタッペンを援護できるか。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。決勝前のフリー走行で十分に走れず、惜しくも12番グリッドからのスタートとなった。決勝でどこまでフェルスタッペンを援護できるか。

「今日よりも金曜日のほうがいい走りができましたが、重要なのは決勝レースです。フリー走行3回目であまり走行ができなかったので、予選でスピードを掴むのに苦労しました。風向きが頻繁に変わり、それに対応したセッティングも必要なので、簡単ではありませんでした。予選Q2はとても拮抗していて、少しのタイム差が大きなグリッド順の違いになりました。決勝のスタートは自由なタイヤ選択ができますし、それを活かしてポイントを獲得できるよう気持ちを入れ替えて走ります」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。同タイムでQ3進出を逃したが、中団グループとのタイム差はほんのわずか。決勝でも接戦となるだろう。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。同タイムでQ3進出を逃したが、中団グループとのタイム差はほんのわずか。決勝でも接戦となるだろう。

「予選の走りには満足しています。レーシング・ポイントと同等のタイムを出し、Q3に進めるだけの走りができていましたので、チームとしてもいい仕事ができたと思います。決勝は11番グリッドからのスタートなので、タイヤを自由に選択できますし、いい結果が出せると思っています」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。グリッド降格が予選前から決まっていたので、決勝でセッティングに専念したが、それでも14番手のタイムをマーク。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。グリッド降格が予選前から決まっていたので、決勝でセッティングに専念したが、それでも14番手のタイムをマーク。

「いいラップタイムが出せていたので満足しています。セッティングを変えて、マシンのフィーリングがよくなりました。いくつかのコーナーでは改善できてよかったのですが、ストレートだけはピエール(ガスリー)と比べてまだ少しタイムが落ちています。決勝はペナルティで5グリッド降格してのスタートなので簡単ではありませんが、感触は悪くありません。ポイント獲得を目標にできるだけプッシュします」

画像: ピレリが推奨するイギリスGP決勝のタイヤ戦略。

ピレリが推奨するイギリスGP決勝のタイヤ戦略。

タイヤを供給するピレリはイギリスGPの予選を終えて「金曜日よりもかなり気温が低くなったため、データを確認するため午前中のフリー走行3回目が特に重要になりました。予選では突風と低い気温が結果に大きな影響を与え、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が昨年のポールより1.2秒速いタイムをマークしました」とコメント。決勝レースに向けては「気温が予選時と変わらないと仮定すると、52周で行われるイギリスGPの理論的に最速な戦略はワンストップです。 最速はソフトタイヤでスタートし18から22周でハードタイヤに交換することです。2番目に速いのは、ソフトーソフトーミディアムの2ストッパーです。3番目に速いのは、ミディアムでスタートして21から24周でハードに履き替えるワンストッパーです。タイヤの摩耗を考えると、ソフトーミディアムのワンストッパーはお勧めできません。 予選上位の5台はミディアムタイヤでスタートします。ここであげた最速の戦略ではありませんが、最初のスティントを長くとることができるので、不確定な要素に対応することができます。ハードタイヤは金曜日のように気温が上がった時には重要な役割を果たすことになりますし、ミディアムの代わりとして使用することになるでしょう」と分析している。

第4戦イギリスGP決勝は8月2日14時10分(日本時間22時10分)にスタートする。

2020年F1第4戦イギリスGP(イギリスGP1)予選

PP 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:24.303
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:24.616
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:25.325
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:25.427
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:25.782
6位 18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス) 1:25.839
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:25.965
8位 3 D.リカルド(ルノー) 1:26.009
9位 31 E.オコン(ルノー)1:26.209
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:26.339
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11位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)
12位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)
14位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
※D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)はギアボックス交換のため5グリッド降格

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