2020年8月8日、F1第5戦70周年記念GPの予選がイギリス・シルバーサーキットで行われ、バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)がポールポジションを獲得した。高い気温と風、タイヤコンパウンドに違いなどもあって、ポールタイムは前戦イギリスGPよりも0.8秒遅かった。予選2番手はルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)、3番手にニコ・ヒュルケンベルグ(レーシングポイント・メルセデス)が入り、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は4番手となった。ホンダ勢は、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)7位、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)9位。ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)16位だった。

ホンダ勢はベスト10に3台入った

第5戦70周年記念GPの予選は天候に恵まれたものの、前戦のイギリスGPよりも風が強く、また気温が上がる中で行われた。

予選は第5戦同様、メルセデスAMGの2台がリードする形で進んだが、ハミルトンがQ3の最終アタックの最終セクションでわずかにミスしたのに対して、ボッタスは完璧にまとめて逆転、0.063秒差でポールポジションを獲得した。

画像: 2020年F1第5戦70周年記念GP予選でポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)。バルテリ・ボッタスのポールポジションは13回目、今季2回目。

2020年F1第5戦70周年記念GP予選でポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)。バルテリ・ボッタスのポールポジションは13回目、今季2回目。

予選3番手にはセルジオ・ペレスの代役でレーシングポイントから参戦するヒュルケンベルグが上がり、フェルスタッペンは4番手にとどまった。ヒュルケンベルグはペレスが新型コロナウイルスに感染したため前戦イギリスGPから参戦しているが、イギリスGPではマシントラブルから決勝レースではスタートすることができなかった。

ヒュルケンベルグの奮闘により予選4番手にとどまったフェルスタッペンだが、メルセデスAMGとの予選タイム差は前戦イギリスGPとほぼ同じ。また、Q2をメルセデスAMGとは異なるハードタイヤでクリアしており、決勝は思い切ったタイヤ戦略で逆転を狙う。フェルスタッペンは上位10台の中では唯一ハードタイヤで決勝スタートすることになる。

注目のアルボンは、Q3進出こそ果たしたものの、予選9番手とやや出遅れる形となった。フリー走行から好調のガスリーは予選7番手と健闘している。ホンダ勢のもうひとり、クビアトは予選Q1のターン14のチャペルで挙動を乱してマシンにダメージを負ったことが響き、Q1敗退の16位に終わった。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、決勝レースに向けて「今日の予選は、昨日ほどではないものの、27℃とイギリスとしては比較的気温が上がった中でのセッションとなりました。ソフトタイヤがあまり長く持たないということからタイヤの選択が難しい予選となりましたが、そのような中でホンダのパワーユニットを搭載する3台がQ3へ進出し、まずまずの予選になりました。レッドブルのフェルスタッペン選手は、明日のスタートタイヤを決めるQ2をトップ10中唯一のハードタイヤで通過、Q3でも明日のレースに向けて期待の持てる2列目の4番グリッドを獲得しました。アルファタウリのガスリー選手は、ここのところの調子のよさを予選結果につなげて今季最高の7番手、9番手のアルボン選手と、コースアウトもあり僅差でQ1落ちとなってしまったクビアト選手とともにマシンに競争力はあると思うので、それぞれ明日のレースでのポジションアップを期待します。明日は特にタイヤの使い方など、戦略も含めて難しいレースになると思います」とコメント。ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、予選4位。上位10台の中では唯一ハードタイヤで決勝スタートする。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、予選4位。上位10台の中では唯一ハードタイヤで決勝スタートする。

「4番手は完璧とは言えませんが、上位のマシンがいい仕事をした結果です。Q3では風の方向が変わり、少しアンバランスな状態になって難しい状況でした。今週は持ち込まれたタイヤのコンパウンドが1段階柔らかくなり、ミディアムタイヤが先週のソフトタイヤですが、気温も上がってレースではあまりよくないと思うので、ハードタイヤでレースをスタートできるのは強みですし、この作戦が気に入っています。今日はハードタイヤでQ3へ進出できるかが一番の課題でした。明日ハードタイヤでスタートすることでどんな恩恵を得られるかは、1周目の状況とセーフティカーの有無に左右されるので分かりませんが、少なくともトップ10の中で唯一ですし、ポジティブに働いてくれればと思います。明日も長いレースになります。僕らにはメルセデスのように予選モードはありませんが、ここまでレースペースでは競争力を発揮できています。スタートがクリーンになることを願っていますし、そうなればいいレースができると思います」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、予選9位。上位グリッドが期待されたが、思うようにタイムが伸びず。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、予選9位。上位グリッドが期待されたが、思うようにタイムが伸びず。

「Q3最後の走行までは、気持ちよく走れて、上位を目指せると感じていたのですが、ミディアムからソフトにタイヤを交換すると、マシンバランスがかなり違うように感じました。マシンの感触はよく、最後のラップに期待していたのですが、ガラッと変わってしまいました。もしかしたら風の影響もあるのかもしれません。9番手という結果には満足できません。ソフトタイヤを機能させていたチームもありましたが、僕らは苦戦したので、理由を確認する必要があります。まだ僕自身の中にはタイムを上げられる伸びしろがあるとも思っています。もっとマシンの感触をよくして、ペースを安定させられるはずです。明日は、とれる戦略が複数あるので、面白いレースになるはずです。先週のレースではいいペースがあり、追い上げていけたので、明日のプランはマシンの力を最大限に発揮することです。ポジションを上げて仕事を果たしたいと思います」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、予選7位。このところ好調をキープ、決勝でも上位フィニッシュが期待できる。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、予選7位。このところ好調をキープ、決勝でも上位フィニッシュが期待できる。

「素晴らしい土曜日となり、この予選結果はとてもうれしいです。昨日は少し難しい状況がありましたが、チームは昨日から今日にかけて素晴らしい仕事ぶりで、限界までプッシュできるマシンにするため、正しい方向に変更を施してくれました。Q2で4番手、Q3で7番手となり、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルのマシンよりも上位につけられたのは、望みうる最高の結果だと思います。ここからは、明日のレースに集中します。見せ場を作る準備はできていますし、持てる全力を出しきり、チームに好結果を持ち帰りたいです」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)、予選16位。ほんの少しのミスでQ2進出を逃したが、決勝ペースは悪くない。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)、予選16位。ほんの少しのミスでQ2進出を逃したが、決勝ペースは悪くない。

「今日の予選では不運に見舞われました。かなりいいラップを走行していたのに、突風によってコースオフしてしまい、タイムを失いました。ポジティブな面に目を向ければ、これまで予選で不調でも日曜には巻き返してきたので、このままプッシュし続けていけば、明日はいいレースができて、ポイント争いに絡めるはずです」

画像: ピレリが推奨するイギリスGP決勝のタイヤ戦略。

ピレリが推奨するイギリスGP決勝のタイヤ戦略。

タイヤを供給するピレリは70周年記念GPのO決勝に向けて「予選は路面温度約40度の中で行われましたが、明日の決勝も同様の状況が予想されます。風が空力バランスに影響を与えている面も見られ、これが先週よりもタイムが伸びなかった要因になっているかもしれません。予選ではフェルスタッペンがハードタイヤを使用してQ2を通過しました。これは初めてのことでしょう。マシンが燃料でまだ重いとき、彼はこのコンパウンドの耐久性から利益を得ることができるはずです。また、メルセデスAMGの2台がミディアムタイヤでQ3のトップタイヤを出していることにも注目しています。先週よりも柔らかいタイヤでは、52周レースのワンストップ戦略はお勧めできません。最速のタイヤ戦略は、トラックの温度とミディアムタイヤの摩耗にもよりますが、ミディアムタイヤで15周を2スティント、残りの22周のハードタイヤで走り切ることです。あるいは、ミディアムタイヤで12周、ハードタイヤで20周を2スティントという戦略も理論上はもうひとつのベストと考えています。2番目に速い戦略は、ハードタイヤでスタートして23周の2スティント、ソフトでフィニッシュすることです。それに近いのは、ミディアムタイヤが19周、ハードが25周、ソフトが8周の2ストッパーです。 ハードタイヤとミディアムの使い方がポイントとなるでしょう」と分析している。

第5戦70周年記念GP決勝は8月9日14時10分(日本時間22時10分)にスタートする。

2020年F1第5戦70周年記念GP(イギリスGP2)予選

PP 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:25.154
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:25.217
3位 27 N.ヒュルケンベルグ(レーシングポイント・メルセデス)1:26.082
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:26.176
5位 3 D.リカルド(ルノー) 1:26.297
6位 18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス) 1:26.428
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)1:26.534
8位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:26.614
9位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:26.669
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:26.778
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16位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

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