3世代目のZ4に用意された2L直4ターボエンジンに試乗し、このモデルのスポーツカーとしての素質にあらためて感心した。(Motor Magazine 2020年9月号より)

スポーツカーの基本要件をすべて満たす

開発コードG29と呼ばれる3代目になってもZ4は、ロングノーズ、ショートデッキの古典的なスポーツカーパッケージを継承している。しかしエクステリアデザインはモダンな装いとなり、クラシックとモダンをうまく融合し、魅力的なオープン2シーターに仕上げている。

初代のZ4はロードスター、クーペという2種類のボディバリエーション、2代目になってリトラクタブルルーフを採用し、クローズ時にはハードなルーフがクーペになるロードスターだった。そして今回はソフトトップ(電動)に戻りロードスターの1ボディになった。プラットフォームが共通で同じ工場で作る兄弟車種のトヨタスープラ(J29)がクーペのみだから、棲み分けているのかもしれない。

Z4のエンジンは、3L直6と2L直4の2種類が揃うが、sDrive 20iは後者を搭載し最高出力197ps、最大トルク320Nmを発生する。このエンジンの基本構造は330iに搭載されているB48B20Bと同じエンジン型式なので、330iの258ps/400Nmに対してZ4 20i用は若干パワーを抑えていることになる。

画像: 新世代でも、スポーツカーの王道を行くロングノーズ、ショートデッキのパッケージを継承。

新世代でも、スポーツカーの王道を行くロングノーズ、ショートデッキのパッケージを継承。

ボンネットを開けるとバルクヘッド近くまで押し込まれた4気筒エンジンを囲うように、菱形にレインフォースメントが取り付けられている。3L直6エンジンを搭載しても不足のない剛性があるから、2L直4エンジンには贅沢な補強である。エンジン搭載位置はロングノーズを生かしてフロントアクスルより後方になり、ほとんどフロントミッドシップというべきレイアウトになっている。これにより車検証上の前後重量は前740kg、後750kgとなる。

後輪荷重が大きければ後輪駆動だからしっかりとトラクションがかかるし、ハンドルを切った時にはフロントが軽いので軽快にノーズの向きを変えることができるのは乗り始めてすぐに体感できる。スポーツカーとしての素質は、こうした基本となるレイアウトの素晴らしさからできあがっていると言えるのだろう。

ハイバックシートに腰かけるとヒップポイントは低く、当然アイポイントも低い位置になる。さらにしっかりしたボディと軽快なエンジンによって、一般道を普通に流しているだけで楽しくなるというスポーツカーの要素が満たされているのである。(文:こもだきよし)

画像: エンジンの搭載位置をできる限り車体の中央にしているため前後重量配分は前740kg、後750kgを実現した。

エンジンの搭載位置をできる限り車体の中央にしているため前後重量配分は前740kg、後750kgを実現した。

■BMW Z4 sDrive 20i Mスポーツ主要諸元

●全長×全幅×全高=4335×1865×1305mm
●ホイールベース=2470mm
●車両重量=1490kg
●エンジン= 直4DOHCターボ
●総排気量=1998cc
●最高出力=197ps/4500rpm
●最大トルク=320Nm/1450-4200rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=682万円

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