今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「クライスラー 300M」だ。

クライスラー 300M(2001年)

画像: 大型バンパーの中に格子状のグリルが収まる独特のフロントマスクは、ちょっとアグレッシブかもしれない。

大型バンパーの中に格子状のグリルが収まる独特のフロントマスクは、ちょっとアグレッシブかもしれない。

クライスラーのスポーティ ラグジュアリーセダンである「300M」は昨年(編集部註・2000年)から日本にも導入されている。日本ではあまり人気のなかった(失礼!)クライスラー ビジョンの後継モデルとして登場し、1950年代後半にアメリカで人気を集めたクライスラーの300レター シリーズを現代風にアレンジしたモデルといわれている。

その300Mは先日、日本でも2001年モデルが発表されたばかりだ。2000年モデルとの違いは、外観ではタイヤ&ホイールが17インチにアップされ、内装ではウッドパネルや本革を多用して、高級車らしい質感の向上が図られている。そんな最新型の300Mに、早くも試乗することができた。

全長は5mオーバー、全幅は2m近い300Mのサイズは日本の街中では少々持て余しそうだが、そのスタイルはなかなかカッコイイ。フェラーリが4ドアセダンを作ると、こんな感じになるんじゃないかと思わせるスタイリングだ。V6を縦置きするFFセダンだからフロントのオーバーハングはそれなりにあるが、グリーンハウスは比較的前方に位置している。ただし、それはデザイン上フロントウインドーを寝かせているためで、実際の運転席はそれほど前ではない。

コクピットに着くと、確かに2000年モデルよりインテリアはクオリティアップしている。シートは本革で、もちろん電動アジャストだし、ステアリングやインパネにはウッドパネルが奢られている。ホワイトメーターの文字にはクラシカルな書体を採用するなど、インテリアはけっこうノスタルジックだ。アメリカ人の考えるヨーロッパテイストを具体化すると、こんな風になるのだろうか。居住スペースは前後席とも十分に広く、きわめて快適だ。

画像: カリフォルニア・ウオールナットのパネル、ホワイトメーター、ウッド/本革コンビのステアリングなど、インテリアはゴージャス。

カリフォルニア・ウオールナットのパネル、ホワイトメーター、ウッド/本革コンビのステアリングなど、インテリアはゴージャス。

走らせてみると、「外観はヨーロッパっぽいけれど、中身はアメリカン」という印象はさらに強まった。3.5リッターのV6はSOHCながら4バルブで、トップエンドまで滑らかに吹け上がる。車重は1.7トン近くあるが、最高出力は252ps/最大トルクは34.7kgmもあるからパワー的には十分だ。軽くアクセルを踏んでもスッと発進してくれ、そこからさらに踏み込めばけっこうな勢いで加速していく。

4速ATはマニュアルシフトもできる「オートスティック」付き。これは同じグループとなったメルセデス・ベンツのティップシフト同様、右側に押すとアップシフト、左側でダウンシフトとなるが、レスポンスはなかなかいい。やはりこのタイプは、左ハンドルのほうが扱いやすい。マニュアル操作時でも加速していくと自動シフトアップするのは、このクルマの性格を考えれば妥当なところだろう。

高速道路をそこそこのペースで快適に流していると、パッシングをしたわけでもないのに前を走るクルマが次々に車線を譲ってくれる。独特のフロントマスクはちょっとコワモテに見えるのだろう。とはいえ、300Mはスタイリッシュで実用性も高いアメリカンサルーンだ。まだまだ日本では見ることの少ないモデルだけに、目立つことは間違いない。

画像: クーペのように寝かされたリアウインドーにハイデッキのトランクなど、リアから見たスタイリングも独特だ。

クーペのように寝かされたリアウインドーにハイデッキのトランクなど、リアから見たスタイリングも独特だ。

■クライスラー 300M 主要諸元

●全長×全幅×全高:5015×1910×1420mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1670kg
●エンジン形式:V6・4バルブSOHC 縦置きFF
●排気量:3517cc
●最高出力:185kW(252ps)/6450rpm
●最大トルク:340Nm(34.7kgm)/4000rpm
●トランスミッション:電子制御式4速AT(オートスティック機能付)
●タイヤ:225/55R17
●車両価格(当時):463万円

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