今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「フォルクスワーゲン ルポ」だ。

フォルクスワーゲン ルポ(2001年)

画像: ルポは3ドア、右ハンドル、4速ATのみの設定。ホイールはスチールにフルキャップだが、アクセサリーパーツは豊富に揃えられている。

ルポは3ドア、右ハンドル、4速ATのみの設定。ホイールはスチールにフルキャップだが、アクセサリーパーツは豊富に揃えられている。

フォルクスワーゲンのエントリーモデル、「ルポ」がいよいよ正式に日本デビューを果たした。ヨーロッパで発売されたのは1998年9月。ポロとの差別化の絡みもあって、日本には正式導入はされないのでは?と一時は噂されたが、ここのところの小型輸入車人気にも乗じて、フォルクスワーゲンジャパン(編集部註・当時)も正式導入に踏み切ったようだ。

ポロより全長は約200mm短く、全幅は約20mm狭いボディサイズだが、並べて比べない限りそれほど小さくは感じない。丸型ヘッドランプのキュートなフロントマスクは可愛いらしく、誰にでも好かれそうだ。バックドアは立たせ気味でリアシートやカーゴスペースを稼いでいるが、日本の軽ボンバンのようなプリミティブなスタイルではない。リア7:3(斜め後ろ)から見ると「初代のフェスティバに似ている」と言った人もいたが、確かに似ていなくはない・・・。

ちなみにルポとは、ラテン語で「狼」の意味だという。その可愛らしいスタイルからは、狼のイメージは想像できないが。ボディバリエーションは、3ドアのみの設定となっている。

インテリアは、小さくてもちゃんと「フォルクスワーゲン」している。ローレット状のシボを入れたインパネに収まるフード付きのスポーティな2眼メーター(夜間照明はブルー)、ウレタン製だがタッチのいいステアリングなど、そのクオリティの高さはさすがだ。ドア内張りの一部は外板がむき出しになっているが、ボディカラーとコーディネイトされたシートやドアトリムで、うまくまとめている。安全&快適装備とも、このクラスとしては十分なレベルのものが備わっている。

画像: シンプルだが質感の高いインテリア。大型2連メーターは、高級感あふれるブルー照明で赤い指針が見やすい。

シンプルだが質感の高いインテリア。大型2連メーターは、高級感あふれるブルー照明で赤い指針が見やすい。

エンジンは話題になった3L(100km走るのに3Lの燃料しか使わない=約33.3km/L)ディーゼルではなく、排気量1.4LのガソリンDOHC。少し前のフィアット系DOHCにも似たバサついたサウンドだが、約1トンのボディを小気味良く加速させる。ミッションは普通の4速ATだが、市街地を中心とした試乗ではギアリングも適切でキビキビと走ってくれた。ホイールベース2320mmの車とは思えないほど高速走行でも安定している。

意図的に急転舵してみても、ロールは抑えられており弱アンダーステアに終始する。1.4Lという排気量ゆえ2000rpm以下の低速域からの加速はちょっとタルかったり、ATのD→3がフリーでないとか、ウインカーレバーが少し短いとか、欠点はなくもない。だが、それはアラ探しのレベルともいえる。それほど、ルポは出来が良かった。

日本で売れているポロはほとんどが4ドアだし、サイズも違うから棲み分けは可能だ。オペル ヴィータほど女性に媚びていないから、男性でも乗りやすい。今年(編集部註・2001年)後半の目標販売台数の1500台は、すぐにクリアしてしまうだろう。今年上半期で輸入車の登録台数記録を達成したフォルクスワーゲンは、このルポ、そして秋に登場予定のマイナーチェンジ版パサートの導入で、さらなる拡販を目指していく。

画像: このアングルから見ると、フェンダーからCピラーのあたりが初代フェスティバに似ていなくもない。アンテナはルーフ後端に備わる。

このアングルから見ると、フェンダーからCピラーのあたりが初代フェスティバに似ていなくもない。アンテナはルーフ後端に備わる。

■フォルクスワーゲン ルポ コンフォートパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3525×1640×1475mm
●ホイールベース:2320mm
●車両重量:1000kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1389cc
●最高出力:55kW(75ps)/5000rpm
●最大トルク:126Nm(12.8kgm)/3800rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤ:185/55R14
●車両価格(当時):159万9000円

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