日産が実に10年ぶりに日本市場へ投入したブランニュー、モデルであり、e-POWER搭載車の第三弾がキックスである。(Motor Magazine 2020年10月号より)

e-POWERの制御変更で街乗りがよりEV感覚に

激戦のコンパクトSUVマーケットに改めて参入するにあたって、日産キックスは3つの武器を用意した。魅力的なデザイン、全車をe-POWERとしたパワートレーン、そして最先端の運転支援システムであるプロパイロットの搭載だ。

お馴染みVモーショングリルを採用した外観は、フェアレディ Zなどを彷彿とさせるテールランプからリアゲートの処理、17インチ大径タイヤ&ホイールなどによって軽快な印象を醸し出している。ツートーン4色を含む全13色と、豊富なカラーバリエーションも嬉しい。

目を瞠るのは、見た目から想像する以上の室内の広さ、使い勝手を実現していること。後席は大人が足を組んで座れるほどだし、荷室は機内持ち込みサイズのスーツケース4つを余裕で並べることができる。ただし、ファブリック、レザーともシート地は良い風合いだが、ハード樹脂製のダッシュボードやドアトリムなどの見た目品質はやや寂しい感じだ。

画像: 運転支援機能プロパイロットや踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱防止支援機能などADASが標準装備される。

運転支援機能プロパイロットや踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱防止支援機能などADASが標準装備される。

そして走りっぷりは、e-POWERが低速域ではできるだけエンジンを始動させない制御とされたことで、街乗りの際のEV感覚が高まっているのが良い。エンジン始動時も回転数が抑えられて室内は静か。一方、アクセルペダル開度が大きくなる場面でも加速は力強く、つまり高速域でも走りにはゆとりがある。

車体はノートなどと同じVプラットフォームの改良版ながら、剛性アップが図られ、大径ダンパーやウレタン製バンプストップ等々が奢られたことで、走りはe-POWERの大トルクをしっかり受け止め、また快適性も上々という仕上がりとなっている。

基本となるシャシ性能が高ければプロパイロットの制御も楽になるということで、旋回中もしっかり車線の中央を維持してくれる良くできた操舵支援は、長距離ドライブで威力を発揮してくれること請け合いである。

価格は一見それなりではあるのだが、 e-POWERやプロパイロットを装備することを考えれば、むしろ相当頑張っていると言うべきだろう。日産久々の新型車は、まさに日産の最新技術がしっかり詰まったクルマに仕上がっていた。(文:島下泰久)

画像: 1.2L直3エンジンを搭載するがそれは発電用。駆動は最大出力129ps、最大トルク260Nmのモーターだ。

1.2L直3エンジンを搭載するがそれは発電用。駆動は最大出力129ps、最大トルク260Nmのモーターだ。

■日産キックスX ツートーン インテリジェンスエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高=4290×1760×1610mm
●ホイールベース=2620mm
●車両重量=1350kg
●エンジン= 直3DOHC
●総排気量=1198cc
●最高出力=82ps/6000rpm
●最大トルク=103Nm/3500-5200rpm
●モーター最高出力=129ps
●モーター最大トルク=260Nm
●駆動方式=FF
●車両価格(税込)=286万9900円

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