2020年9月11日金曜日、F1第9戦トスカーナGPが開幕する。イタリアGPでのガスリー優勝の興奮冷めやらぬまま、F1はモンツァから同じイタリア国内のムジェロに移動。チームとドライバーは初めてのコースで、高速3連戦の3戦目に挑む。なおこのグランプリから、限定的ではあるものの、観客を入れて開催されることになる。ではトスカーナGPはどんなレースになるのか、その見所を探ってみよう。

フェラーリのためのグランプリ!?

第9戦トスカーナGPは、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、開催カレンダーが見直されたことによって誕生した新しいグランプリ。F1初開催となるイタリア・ムジェロサーキットで行われる。前戦モンツァで「イタリアGP」が開催されているため、同じイタリアで行われる今回のグランプリは「トスカーナGP」と呼ばれることになった。

トスカーナGPの正式名称は「Formula 1 Pirelli Gran Premio Della Toscana Ferrari 1000 2020」(=2020年F1ピレリ トスカーナGP フェラーリ1000)。「Ferrari 1000」というサブタイトルからわかるように、トスカーナGPは1950年にフェラーリがF1に参戦を開始して以来、1000レース目にあたることを記念したグランプリということになる。

トスカーナGPの舞台となるムジェロサーキット(Mugello Circuit)を紹介していこう。ムジェロはイタリア・トスカーナ地方の風光明媚な丘陵地帯にあるコースで、1974年に設立されている。その後、フェラーリが買収、2輪のイタリアGPやFIA GT選手権、F2、ツーリングレースといったビッグレースが開催されているほか、フェラーリのテストコースになっている。イタリアでの2連戦開催にあたって「できれば別のサーキットで」という意向と、ちょうどこのグランプリがフェラーリのF1グランプリ1000戦目にあたることから、このサーキットが選ばれた。

まさにフェラーリのためのグランプリのようで、当初はフェラーリ一色になるのではないかと予想されたが、前戦イタリアGPでアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが優勝したことから様相はちょっと変わってきた。というのもアルファタウリの本拠地はムジェロからわずか60kmほどのファエンツァという街にあり「凱旋レース」となるからだ。

画像: ムジェロサーキットのコース図。高速レイアウトだが、アップダウンがあり、モンツァとはかなり違うという声もある。

ムジェロサーキットのコース図。高速レイアウトだが、アップダウンがあり、モンツァとはかなり違うという声もある。

ムジェロのコース形態はイタリアらしい高速レイアウト。全長5245mの本格的なレースコースにはストレートは1本しかないが、その長さは1141mにも及び、15個のコーナーはいずれも高速で駆け抜けるセッティングとなっている。F1グランプリの開催は初めてのことになるが、2012年に行われたF1合同テストでの平均速度は約244km/hに達している。ただ高低差は42mもあり、アップダウンに富んでいるところは、モンツァとは少し異なる。

トスカーナGPの注目ポイントは、まずこのムジェロが実際にどんなコースなのかということ。もしモンツァに匹敵する超高速コースなのであれば、前戦で優勝を飾ったアルファタウリ・ホンダは有力な優勝候補になるだろう。もしレッドブルリンクに近いパワーが必要な高速コースであれば、レッドブル・ホンダにチャンスが回ってくる。いずれにしても、メルセデスAMG以外のチームのタイム差はごくわずか、ちょっとしたことで順位は大きく変わりそうだ。パワーユニットのモード変更禁止規定の影響がまだ明確になっていない中、初めてのサーキットではなにがあってもおかしくない。天候の変化、路面の状況など未知の部分は多く、予断は許されないところだ。

もうひとつの注目はやはりフェラーリ。走り慣れたコース、ホストとなるグランプリをどう戦うのか。通常なら優勝候補に上げられるところだが、イタリアGPでは2台揃って、いいところなくリタイアに終わっている。このグランプリに賭ける想いは強いはずだ。

画像: フェラーリは初めてF1に参戦した時(1950年5月21日のモナコGP)のカラーリングを再現して参戦すると発表。セバスチャン・ヴェッテルとシャルル・ルクレールはユニークなレーシングスーツを着用してレースにのぞむ。

フェラーリは初めてF1に参戦した時(1950年5月21日のモナコGP)のカラーリングを再現して参戦すると発表。セバスチャン・ヴェッテルとシャルル・ルクレールはユニークなレーシングスーツを着用してレースにのぞむ。

もちろん、ここまでシリーズをリードしてきたメルセデスAMGとレッドブル・ホンダは主役の座を譲ったわけではない。イタリアGPでの失敗をふまえて、この2チームがどう盛り返してくるかにも注目したい。

タイヤを供給するピレリは「各グランプリに用意されるタイヤは、コースレイアウトや予想される気象条件、路面の特性などの幅広い要因を考慮に入れて決定されています。初開催のコースでは、チームからのコンピューターシミュレーションなども使用して適切な選択を特定しますが、ムジェロではイギリスGPやスペインGPと同様、もっともハードな3セットとしました」と発表。それだけタイヤには厳しい条件であるということだ。

画像: 2020年の各グランプリのタイヤセッティング。トスカーナGPではもっとも硬いコンパウンド3種類が選ばれた。

2020年の各グランプリのタイヤセッティング。トスカーナGPではもっとも硬いコンパウンド3種類が選ばれた。

ちなみに、トスカーナGPから限定的に観客を入れて開催されることになったのもニュース。万全の対策を講じた上で開催されるが、これがうまくいけば、少しずつ観客数を増やして開催されることになるだろう。

第9戦トスカーナGPは9月11日11時(日本時間18時)から始まるフリー走行で開幕、予選は9月12日15時(日本時間22時)、決勝は9月13日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

【参考】2020年第8戦イタリアGP 決勝 結果

優勝 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 53周
2位 55 C.サインツ (マクラーレン・ルノー)+0.415s
3位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+3.358s
4位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+6.000s
5位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+7.108s
6位 3 D.リカルド(ルノー)+8.391s
7位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+17.245s
8位 31 E.オコン(ルノー)+18.691s
9位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+22.208s
10位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+23.224s
15位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+37.533s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

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