今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「BMW 7シリーズ(4代目)」だ。

BMW 7シリーズ(4代目:2002年)

画像: 「眉毛」が付いた大型のカバーで覆われた丸型4灯ヘッドランプが独特。全幅は1.9mまで拡大されたので、狭い道では少し気になる。

「眉毛」が付いた大型のカバーで覆われた丸型4灯ヘッドランプが独特。全幅は1.9mまで拡大されたので、狭い道では少し気になる。

昨年(編集部註:2001年)のフランクフルト モーターショーでワールドプレミアされた注目モデルの1台が、フルモデルチェンジされたBMW 7シリーズだ。そんな新型7シリーズが、早くも日本にやって来た。まず日本に導入されたのは、3.6LのV8を搭載した735iと、4.4LのV8を搭載した745i、およびそのロングホイールベース版の745iLだ。今回は、745iに試乗できた。

「E65型」と呼ばれる新型7シリーズは、新しい世紀のフラッグシップらしくドラスティックに変貌を遂げた。丸型4灯ヘッドランプにキドニーグリルというBMW伝統のフロントマスクを踏襲しているが、かなり大きなヘッドランプにキドニーグリルもワイドになった。覆いかぶせたような形状のトランクリッドなど、リアビューも独特だ。

サイズも、従来型の「E38」より45mm長く、40mm幅広く、55mm高い。ホイールベースも60mm長く、ひとまわりは大きくなった。最大のライバルであるメルセデス・ベンツ Sクラスと比べても、全長は15mm短いが全幅と全高は45mm大きく、ホイールベースも25mm長い。

インテリアも進化した。トランスミッションは世界初を謳う6速ATで、シフト by ワイヤ方式を採用している。操作はステアリングコラム右のセレクターレバーか。ステアリングホイールのステップトロニック スイッチで行う。ATレバーのなくなったセンターコンソールには「i ドライブ」と呼ばれるシステムのダイヤルが備わる。これは、ナビゲーションやオーディオ、エアコンなど運転以外の操作を、このダイヤルひとつで行えるように集約されたものだ。

画像: インテリアも従来型から大きく変わった。センターコンソール前端の丸いダイヤルで「i ドライブ」を操作する。

インテリアも従来型から大きく変わった。センターコンソール前端の丸いダイヤルで「i ドライブ」を操作する。

キーホルダーと間違えそうなブロック型のキーを差し込み、スターターボタンを押すとV8エンジンは静かに目覚めた。従来型と同じ排気量ながらダブルVANOSやバルブトロニックを採用して、最高出力は333ps/最大トルクは45.9kgmと、47psと1.0kgmもパワーアップされている。さまざまな電子デバイスを装備したおかげで車両重量は2トン近いが、そんな重さを感じさせずにV8ユニットはレスポンシヴに回転数を上げる。いかにも「エンジン命」のBMWらしい。

6速ATは前述のステップトロニックでマニュアルシフトもできるし、スポーツモードも設定されるが、ただDレンジに入れっぱなしでも十分に速いし、しかも静かだ。ダンパーの減衰力は自動で無段階に制御されるので、乗り心地も快適この上ない。

「i ドライブ」は、ディスプレイ表示を見ながらダイヤルを回して機能を選び、前後左右に押して選択することで操作する。こう書くと操作は簡単に思えるのだが、扱い方を覚えるには少し慣れを要する。試乗の間、地図画面は日本列島全体を表示していた・・・なんて人もいたらしい。

あいにくと雨天の試乗だったしV8パワーでも十分以上と思えたが、従来型にあったV12を望むオーナー予備軍も多いはず。おそらく、そう遠くない将来には追加されるだろう。そのパフォーマンスを想像するだけでも、ワクワクしてしまう。

画像: 覆いかぶせたような形状のトランクリッドと、リアコンビランプの形状もユニーク。エンブレムがなければBMWに見えない?

覆いかぶせたような形状のトランクリッドと、リアコンビランプの形状もユニーク。エンブレムがなければBMWに見えない?

■BMW 745i 主要諸元

●全長×全幅×全高:5030×1900×1490mm
●ホイールベース:2990mm
●車両重量:1950kg
●エンジン形式:V8・DOHC・FR
●排気量:4398cc
●最高出力:245kW(333ps)/6100rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/4000rpm
●トランスミッション:電子制御6速AT(ステップトロニック)
●タイヤ:245/55R17
●車両価格(当時):990万円

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