今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「プジョー 206SW」だ。

プジョー 206SW(2002年)

画像: ハッチバックとホイールベースは変わらず、リアのオーバーハングを195mm延長したワゴンボディのスタイルに破綻はない。

ハッチバックとホイールベースは変わらず、リアのオーバーハングを195mm延長したワゴンボディのスタイルに破綻はない。

ハッチバック(3ドア/5ドア)クーペカブリオレのCCに続き、プジョーは206シリーズに新たなボディバリエーションを追加した。それが今回紹介する「SW」だ。すでに兄貴分の307にはSWが登場し、先に日本に導入されている。車名の「SW」は、スポーツワゴンでも、スペースワゴンでも、スーパーワゴンでも、見る人、乗る人が自由に解釈してもらいたいそうだ。

ハッチバックのホイールベースはそのままに(307SWでは延長していた)、リアのオーバーハングを195mm延長して、その分を広大なラゲッジスペースにあてたのが206SWの成り立ちだ。だが、そのスタイリングは、ハッチバックのリアエンドを延長させたとは意識させないほど、まとまりのあるシルエットとなっている。

もともとボリューム感のあるフロントフェンダーからドアにかけてのラインをリアまでうまく伸ばし、Bピラーから水平に伸びるルーフラインと相まって、落ち着いた存在感のあるスタイルをなしている。リアエンドのデザインも派生モデルであることを意識させないほどで、リアコンビランプの個性的なデザインや収まりも魅力的だ。

インテリアは基本的に206ハッチバックと共通で、カジュアルなヨーロッパ車らしいテイストにあふれている。シートはホールド感に優れたスポーツタイプを全グレードで採用。拡大されたラゲッジスペースは、5人乗車時は313Lだが、リアシートをたためば最大1136Lもの容量を誇る。

画像: インパネまわりのデザインは、基本的にハッチバックと変わらない。ステアリングは革巻き、ATのゲートはスタッガード式だ。

インパネまわりのデザインは、基本的にハッチバックと変わらない。ステアリングは革巻き、ATのゲートはスタッガード式だ。

リアサスペンションのスプリングにトーションバーを用いてフロアの張り出しを抑え、フラットなフロアを実現している。リアゲートはウインドー部分だけの開閉も可能で、ちょっとした荷物の出し入れや、リアゲートを開けるスペースのない駐車場所にも対応できる使い勝手の高さも評価しておきたい。

搭載されるパワーユニットは、ハッチバックと同じ2種類。XSには1.6L、S16には2Lが搭載され、トランスミッションはXSは4速ATと5速MTが選べるが、S16は5速MTのみとなる。乗って楽しいのは、やはり最高出力137psを発生するS16だ。小気味良いエンジンサウンドと爽快な回転フィールはハッチバックと変わらず、「やっぱりSWはスポーツワゴンだ!」なんて思わせてくれる。

S16からXS、それもAT仕様に乗り換えると、さすがにパワー不足を感じてしまう。それでも軽快に回ってくれるエンジンやマニュアル的にも使えるATをうまく使えば、強化された足まわりも相まって、思ったよりも元気に走らせることができる。また、S16もXSもリアサスペンションの横剛性強化が図られたことで、しっかりした操舵感や安定性がもたらされている。

全長ほぼ4mというコンパクトセダン並みのボディは街中での取り回しに優れ、それでいて驚くほどの積載能力を発揮する。206SWは、プジョーならではのスタイリッシュなコンパクトワゴンだといえるだろう。

画像: 独特の形状をしたリアコンビランプもユニークだ。ルーフレールも備え、リアゲートはガラスハッチ部分のみの開閉も可能。

独特の形状をしたリアコンビランプもユニークだ。ルーフレールも備え、リアゲートはガラスハッチ部分のみの開閉も可能。

■プジョー 206SW XS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4030×1675×1475mm
●ホイールベース:2440mm
●車両重量:1150kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1587cc
●最高出力:80kW(108ps)/5800rpm
●最大トルク:147Nm(15.0kgm)/4000rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤ:195/55R15
●車両価格(当時):209万円

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