今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「MINI クーパーS」だ。

MINI クーパーS(2003年)

画像: 全幅はクーパーと変わらないが、全長は30mm長く、全高は10mm低い。とはいえ、5ナンバーサイズには収まっている。

全幅はクーパーと変わらないが、全長は30mm長く、全高は10mm低い。とはいえ、5ナンバーサイズには収まっている。

BMW傘下となった新生MINIは、いままでにONE(ワン)のマニュアルミッションクーパーのCVTを紹介してきたが、今回トップグレードにあたる「クーパーS」に試乗することができた。

かんたんにMINI クーパーSを紹介しておくと、ONEやクーパーから少し遅れて2001年の東京モーターショーでワールドプレミアされた。基本的なスタイリングは他のグレードと大きくは変わらないが、クーパーS専用のアイテムが内外装に散りばめられている。

いちばん目につくのは、ボンネット上のエアインテークだろう。フロントグリルもボディカラーと同色にペイントされ、フュエルキャップもクロームメッキの大型タイプ。ルーフエンドにはリアスポイラーも装着される。テールパイプもデュアルのセンター出しとなり、アルミホイールも16インチを標準装備する。

インテリアでは、シルバー調とブラックの2トーンカラー(これもクーパーSの専用だ)のスポーツシートが目をひく。オプションで本革シートも設定されている。ステアリングとシフトノブは本革巻き、ダッシュボードのメタル調パネルも専用アイテムだ。

画像: エンジン上に大きな空冷式インタークーラーが備わるスーパーチャージド エンジンは、163psと21.4kgmで1180kgのボディを加速させる。

エンジン上に大きな空冷式インタークーラーが備わるスーパーチャージド エンジンは、163psと21.4kgmで1180kgのボディを加速させる。

そしてクーパーSのキモは、パワーユニットだ。1.6Lの直4 SOHCは他のグレードと同じだが、インタークーラー付きスーパーチャージャーを装着し、最高出力は163ps、最大トルクは21.4kgmを発生する。クーパーよりは47psと6.2kgmもパワーアップされている。ボンネットのエアインテークは、インタークーラーの冷却用だ。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみで、ゲトラク製。パワーの増大に合わせて、足まわりにはスポーツサスペンションが装着されている。

MINI クーパーSの走りっぷりは、まさに痛快だ。ターボと違ってラグがなく、低回転域から作動するスーパーチャージャー独特のサウンドと、迫力の増したエキゾーストサウンドを響かせながら、6速MTを駆使してクイックなステアリングを操ると、ロールの少ない姿勢でコーナーをクリアしていく。その感覚は、クラシックMINIでいわれた「カートのフィーリング」に近い。カタログデータでは、0→100km/h加速は7.4秒とされている。

クラシックMINIに走りの楽しさをもたらしたジョン・クーパーのフィロソフィーが、このクーパーSにも継承されているようだ。もちろん、MINIはオシャレに乗りこなしたい、という人が大半かもしれない。でも、MINIで熱き血をたぎらせたいなんて思っているクルマ好きのために、こんなホットハッチをカタログモデルにしてくれるのはありがたい。

リアシートの居住性やラゲッジスペースは他のグレードと変わらないから、実用性だって備えている。車両価格はクーパーの5速MT車より35万円高だが、専用装備を考えれば、納得できるプライスだといえるだろう。

画像: テールパイプはデュアルのセンター出しとなり、ルーフエンドにはリアスポイラーも装着される。右テールランプそばには「COOPER S」のエンブレム。

テールパイプはデュアルのセンター出しとなり、ルーフエンドにはリアスポイラーも装着される。右テールランプそばには「COOPER S」のエンブレム。

■MINI クーパーS 主要諸元

●全長×全幅×全高:3655×1690×1425mm
●ホイールベース:2465mm
●車両重量:1180kg
●エンジン形式:直4・4バルブSOHCスーパーチャージャー・横置きFF
●排気量:1598cc
●最高出力:120kW(163ps)/6000rpm
●最大トルク:210Nm(21.4kgm)/4000rpm
●トランスミッション:6速MT
●タイヤ:195/55R16
●車両価格(当時):260万円

This article is a sponsored article by
''.