2007年10月、BMW 1シリーズ第4のモデル「カブリオレ」(E88)がドイツで発表された。後に(2008年3月)日本にも上陸することになるが、ソフトトップを装備したこのコンパクトなカブリオレはどんなモデルだったのか。ここでは2008年初頭にスペイン・バレンシアで行われた国際試乗会から、125iカブリオレ試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)

3シリーズとともにカブリオレ市場をカバー

BMWに限らないが、ドイツのブランドをプレミアムにしている要因のひとつに「個性化」がある。単一で変わり映えのない製品を多売するのではなく、多くの販売台数は望めなくとも個性的でユニークなモデルをユーザーに届けるという戦略である。

もちろんそうなると生産コストは上がり、利潤を得るためには末端価格も上昇させざるを得ないわけだが、そこでブランド力が試される。つまりトヨタがカローラに、あるいはホンダがシビックにカブリオレバージョンを作ったとして、果たしてその製品が、トヨタあるいはホンダに対してイメージされる価格帯に収まり、ユーザーに受け入れられるかどうかは、とても難しいに違いないということである。

このような特別で個性的なバリエーションをカタログに載せられるかどうかが、プレミアムブランドとノンプレミアムブランドの差なのだ。

それに加えて、日本メーカーがほとんどカブリオレモデルを用意しないのは、伝統的にプレステージブランドがすでにドイツやイギリスなどヨーロッパ、さらにはアメリカの西海岸などの大きな成熟マーケットで、カブリオレ需要層をしっかりと握ってしまっているという事実、そして日本国内ではまったく見向きもされないという事情もある。

そんなわけで、BMWは毎年8万台ものオープンモデルを販売し、プレミアム度に磨きをかけているのである。このような背景で登場した1シリーズカブリオレだが、ドイツや欧州内では別の見方もされている。すなわち、リトラクタブルハードトップを与えられた3シリーズカブリオレが4万ユーロ(日本仕様は783万円)と高価になってしまった現在、その下の層をカバーするのに格好のモデルであるというわけだ。

画像: 1シリーズクーぺをベースに誕生。そのスタリングは自然で、プレミアム度の高い仕上がりとなっている。

1シリーズクーぺをベースに誕生。そのスタリングは自然で、プレミアム度の高い仕上がりとなっている。

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