2007年秋の東京モーターショーでワールドプレミアされたBMW M3セダン(E90)が、2008年3月に早くも日本上陸を果たした。Motor Magazine誌では、ほぼ同じ時期に日本で発表された135iクーぺと比較しながら、その走りをチェックしている。ここではその試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

ライバルの挑戦状に受けて立つ構え

先代E46型ではついにラインアップされなかった「M3セダン」が、E90型のコードネームで呼ばれる現行モデルで復活を果たし、しかもそれが初めて日本市場に導入されることとなったのは、BMWフリークにとっては大きな事件と言えるはずだ。

本命不在の間に、外堀は確実に埋められていた。このクラスにメルセデス・ベンツはC32AMG、そしてC55AMGを投入して大成功を収めていたし、アウディRS4のパフォーマンス、とりわけ高回転コンセプトを採用したエンジンは、BMWに対する挑戦状であったと言っても過言ではない。

このクラスの絶対的なベンチマークであるM3が、鬱陶しいライバル達に目にもの見せようと、セダンの投入を決めたことは不思議でも何でもない。

しかし率直に言って、日本でのこれだけ早期のデビューは意外だった。何しろ現状では、クーペと同じく6速MTの設定しかないのだから。

あるいは、こうした外観で登場したことも、「意外」と受け取った人は多いのではないだろうか。M3セダンのスタイリングは、乱暴に言ってしまえば3シリーズセダンのボディにM3クーペの前半分をドッキングさせたようなもの。クーペとセダンではデザインのテイストが全然違うだけに、正直最初はとくに違和感を強く覚えてしまった。

もちろん、本当はフェンダーなどの外板パネルはM3セダン専用品である。フロントオーバーハングはクーペに較べて35mmも長いが、3シリーズセダンとの比較では5mmプラスに過ぎない。リアオーバーハングは3シリーズセダンに対して44mm増し、一方M3クーペに対してはプラスマイナスゼロというディメンジョンである。

この新しいフロントまわりは、V型8気筒のパワーユニットを収めるために用意されたものだ。バンク角90度のシリンダーブロックは軽量アルミニウムシリコン合金製とされ、エンジン全体では先代M3の直列6気筒より実に15kgの軽量化を達成。バルブトロニックでも直噴でもないが、代わりに各気筒独立のスロットルを持つレース直系の設計とされている。それでいてブレーキエネルギー回生システムも搭載しているのも、目をひくところだ。

その最高出力は420ps/8300rpm、最大トルクは40.8kgm/3900rpm。トランスミッションは現時点では6速MTのみとなる。このあたりは、すべてM3クーペと共通だ。

つまり現状のM3セダンは、V型8気筒エンジンを積み、6速MTを組み合わせた5人乗りの4ドアセダンという、アウディRS4と同様の極めてレアなパッケージに仕立てられているのである。もちろん、同じ走りを実現しているなら、クーペよりセダンを望む人も少なくはないはずだ。

画像: M3クーペより全高は10mm高く、全長は35mm短い。車重はクーペ比+10kgの1640kg。M3クーペと異なり、カーボン製ルーフは採用されていない。

M3クーペより全高は10mm高く、全長は35mm短い。車重はクーペ比+10kgの1640kg。M3クーペと異なり、カーボン製ルーフは採用されていない。

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