2008年、シトロエンC5がフルモデルチェンジされ、2代目となってデビューした。2007年のフランクフルトショーでクーぺカブリオレのコンセプトカー「C5 Airscape」を公開し、翌2008年のブリュッセルモーターショーでセダンを、ジュネーブオートサロンでツアラーをワールドプレミアした。周到な計画の下に登場した2代目シトロエンC5はどんなモデルだったのか。ここではポルトガル・リスボンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

シトロエンらしい独創性とふつうに使える普遍性の微妙なさじ加減

幅広いユーザー層に受け入れられることを意識した普遍的なクルマづくりをすると「らしくない」というコメントの集中砲火を浴びることとなり、ならば気合いを入れてそうした「らしさ」の強い演出を狙おうとすれば自らの手でユーザー層を狭める結果になりかねない。そんな難しいさじ加減の中で舵取りを要求されているのが、現在のシトロエンというブランドだろう。

しかし、C4、C6、C4ピカソなど、最近のシトロエン車にはその「微妙なさじ加減」がうかがえるし、7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型C5にも、そんなさじ加減を見ることができる。

「このクラスで最も大きい」と自ら語るボディサイズは全長×全幅×全高が4780×1860×1450mm。センターに置かれたダブルシェブロンから左右のヘッドライトへと広がるワイドなグリルは、新世代シトロエン車に共通の顔つきとしてそろそろ見慣れてきた一方、トランクリッド後端を軽くつまみ上げ、その垂直面はインバース(逆反り)形状としたリアエンド部分には少しばかりBMWとアウディ風味が入っているようにも見える。

もっとも、従来型に比べればそんな全体的な雰囲気は遥かにモダンであることは疑いない。フロントの長いオーバーハングとリアの短いオーバーハングという組み合わせも、無言の内にシトロエン車らしい佇まいを演出する。

そんなモダンな雰囲気は、インテリアにも反復されている。途中で折れ線の入った横長のクロームラインや、やはり横型基調の空調ベントなどでワイド感が強調されたダッシュボードのデザインは、視覚系と操作系が完全に分離されたもの。ナビゲーションシステムのディスプレイをダッシュアッパーの中央部という特等席にレイアウトしたのも、いかにも最新のモデルらしい。

ステアリングパッドはC4シリーズと同様の「回らないデザイン」を採用。ただし、ナビゲーションの操作系も置かれたセンターパネル部分は、小さなスイッチ類が多数存在して実際の使い勝手も少々煩雑。ナビ画面はドライバーからもさほど遠くないので、むしろ最新のタッチパネル式汎用ユニットを組み込んでもらった方が有り難いかもしれない。

画像: 2008年にデビューしたシトロエンのDセグメントモデル、2代目C5。BMWやアウディ風味が入ったようにも見えるが、その走りはやはり独特。

2008年にデビューしたシトロエンのDセグメントモデル、2代目C5。BMWやアウディ風味が入ったようにも見えるが、その走りはやはり独特。

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