2008年、ポルシェ、アウディ、フォルクスワーゲンを巡るグループ内の関係に注目が集まっていた。そこでMotor Magazine誌では、3つのブランドが競合するカテゴリーとしてSUVに着目。カイエン、Q7、トゥアレグの3台の試乗を行っているので、その模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年7月号より)

ポルシェがSUVの世界に! 衝撃的だったカイエンの登場

ポルシェ カイエンのデビューの衝撃は凄まじいものだった。スポーツカー専業メーカーであったポルシェが初めて登場させたSUVだというだけでも十分注目に値したが、カイエンはそれだけに留まらず、カッコいいだカッコ悪いだという議論を超越し、真っ直ぐにポルシェであることを主張するアピアランスを堂々まとい、また肝心な走りの面に於いても、期待をはるかに上回るものに仕上がっていたからだ。

その走りに関して言えば、まず鮮烈だったのがオンロード性能だということは言うまでもない。しかし一方で、カイエンがこれほどまでのオフロード性能を備えて世に出たのは、まさしくサプライズだったはずだ。堅牢なシャシに豊かなサスペンショントラベル、そして電子制御式4WDシステムのPTMによって、そこには並のオフロード車を寄せ付けないほどの高い悪路走破性能が実現されていたのである。

カイエン第4のモデルとして登場したGTSは、しかしそんなオフロード性能をきっぱりと割り切ってみせた。PTMには変更はないが、21インチのタイヤは薄っぺらい35%偏平。幅は295サイズと、14mm拡大したフェンダーのギリギリまで張り出すほどワイドだ。しかも、どう見てもオフロードのことなど考えていないトレッドパターンを持っている。

ここにローダウンした専用サスペンションが加わり車高が24mm下がっているのだから、その狙いは説明されるまでもなく明快だと言えるだろう。

おかげで外観は異様な迫力を醸し出している。カイエンターボ譲りの大きく口を開けたフロントマスクをはじめとするボディワークにワイドフェンダーと極太/大径タイヤ、そして低い車高を組み合わせているのだから、それも無理はない。

ローダウンさせたサスペンションは、スチール製コイルスプリングに電子制御式減衰力可変式ダンパーのPASMの組み合わせが標準の設定。ただし試乗車には、オプション設定のエアサスペンション、そしてアクティブスタビライザーによってロールを制御するPDCCが装着されていた。この場合、車高は20mmダウンとなる。

パワーユニットは自然吸気のV型8気筒4.8L。ポルシェがDFIと呼ぶ直噴エンジンである。最高出力405ps/6500rpm、最大トルク500Nm/3500rpmというスペックはカイエンSの20ps増し。この差は専用設計のインテークマニホールドによるものだ。トランスミッションは6速ATと6速MTで変わらないが、最終減速比が下げられ、より加速重視の設定となっているのは目をひく。試乗車は何とその6速MT仕様だった。

画像: それまでスポーツカー専業メーカーであったポルシェが世に送り出したSUV 、カイエン。今回の試乗車はオンロード性能を重視したカイエンGTS。

それまでスポーツカー専業メーカーであったポルシェが世に送り出したSUV 、カイエン。今回の試乗車はオンロード性能を重視したカイエンGTS。

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