マセラティ グラントゥーリズモの登場からちょうど1年、2008年3月に開催されたジュネーブショーでマセラティ グラントゥーリズモSが発表された。最高速295km/h、0→100km/h加速4.9秒を誇るフラッグシップクーペは、新開発の4.7L V8エンジンとトランスアクスル化された電子制御MCシフトを採用。今回はイタリア モデナで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

クアトロポルテのメカニズムコンポーネンツを使って誕生

フェラーリが才気あふれる新興貴族なら、マセラティはさしずめ由緒正しきイタリア貴族だろう。その歴史はフェラーリよりもずっと長い。創業は1914年と言われ、1926年にはティーポ26でイタリアGPに出場、その後、プライベーターにレーシングカーを販売することでも成功、一時的な撤退はあるものの、1950年代までグランプリの名門として活躍している。

と言っても経営的には順調であったわけではなく、1940年にはオルシ家に経営権を譲り、本社と工場をボローニャからモデナに移転。その後、シトロエン、デトマゾ、フィアット、フェラーリの傘下に入るなど、時代の波に流されながらも、頑固に自らの道を歩んできた。ただ経営に関しては不器用な貴族だった。

その歴史をたどれば、自動車メーカーというよりもレーシングコンストラクター。しかし名門であったがゆえに、ロードカーの開発や経営はどうもうまくいかなかったようだ。

そんなマセラティは21世紀を迎えて劇的な躍進を果たし、今やすっかり往時の栄光を取り戻した。フェラーリの傘下に入った1997年以降、改革が実を結び始めていたが、その決定打となったのが、2003年にデビューした5代目クアトロポルテだった。プレステージサルーンとグランドツーリングカーという二面性を合わせ持ち、さらにエキゾチックなスーパーカーという顔をのぞかせて大きな注目を集めた。

フェラーリとの共同開発による4.3L V8エンジンに、トランスアクスル方式の2ペダルトランスミッション「デュオセレクト」を搭載するというスーパーカーそのものといった成り立ちで登場、2006年にはZF製6速AT仕様も設定してユーザー層を広めるという戦略もズバリと当たった。

さらに、2007年には、このクアトロポルテ オートマチック仕様のメカニズムコンポーネンツを使った4シータークーペ、グラントゥーリズモを発表、これまた人気を集めることになる。

画像: アウトストラーダではGTカーらしいゆったりとした味わいを見せる一方で、適度なうねりやアップダウンのある部分で少しアクセルを踏めば、途端に生き生きとした走りを見せる。

アウトストラーダではGTカーらしいゆったりとした味わいを見せる一方で、適度なうねりやアップダウンのある部分で少しアクセルを踏めば、途端に生き生きとした走りを見せる。

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