2019年3月に登場した「eKクロス」に一部改良が実施された。マイパイロットの機能向上や安全装備を充実させるなど、より安心して快適な走りが楽しめるように進化した。(Motor Magazine2021年2月号より)

予防安全技術「eアシスト」に4つの新機能を追加

eKクロスはSUVテイストの外観を持つクロスオーバー軽ハイトワゴンだ。三菱自動車と日産自動車の合弁会社である「NMKV」が企画・開発のマネージメントを行い、2019年3月にデビュー。今回試乗したのは、2020年8月に一部改良を行った最新モデルの中で、ターボエンジンを搭載した最上級グレード「T」である。

まず、一部改良の内容をおさらいしておくと、安心・安全な運転をサポートする予防安全技術である「eアシスト」に、1:標識検知機能、2:前方衝突予測警報、3:先行車発進通知、4:ふらつき警報、という4つの機能を新たに採用している。また、ミリ波レーダーを追加搭載しており、衝突被害軽減ブレーキの夜間の検知性能を向上させている。

こういったアクティブセーフティだけでなく、パッシブセーフティでも、運転席SRSニーエアバッグを装備するなど、より安全性の向上が図られている。また、三菱自動車初となる高速道路同一車線運転支援技術「マイパイロット」も進化した。これについては後ほどインプレッションとともに紹介したい。

画像: eKクロスは全車にマイルドハイブリッドシステムが採用されている。

eKクロスは全車にマイルドハイブリッドシステムが採用されている。

マイパイロットが進化して、よりスムーズに走れる

試乗は東京都内から中央高速を走り、山梨県河口湖周辺から戻ってくるというルート。走り始めて感じたのは、ターボの爽快な加速感だ。筆者はNAモデルにも試乗したことがあるが、この時は若干加速に物足りなさを感じた。アクセルペダルを深く踏み込むためにエンジン音が気になったが、ターボモデルではそのような感覚はなく、とても軽快な走りが楽しめる。

ちなみにeKクロスは全車マイルドハイブリッドシステムを組み合わせており、加速時にはバッテリーに貯めた電力でモーターを駆動しアシストしてくれる。ターボが苦手とする低回転域のトルクをうまく補っているのだろう。

高速道路への合流時にフル加速状態を試したが、まったく苦もなく本線に入ることができた。とくにこの部分では改良が行われているわけではないが、変わらず好印象だったということをまずはお伝えしておこう。

高速道路では、やはり改良されたというマイパイロットを試してみたが、こちらは進化のあとがうかがえた。マイパイロットは高速道路においてアダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持支援機能(LKA)を組み合わせ、車両側でアクセル/ブレーキ/ハンドル操作を支援してくれるシステムだ。

今回の改良では、フロントカメラにミリ波レーダーを追加し、追い越し時の加速機能を追加した。具体的には追い越し時にウインカーを出すと、設定速度内で加速し、先行車との車間距離を詰めることでスムーズな追い越しをアシストしてくれるというもの。これは遅いトラックなどを追い越す場面で、スムーズな加速を行う効果があることが確認できた。

それよりもマイパイロットのシステム自体がアップデートしているのか、車線内の真ん中をふらつくことなく前走車をよりスムーズに追従してくれるようになったと感じた。また、前走車がスピードを上げた時に、以前は追従遅れを感じることもあったが、それが改良後はより俊敏に反応して遅れを感じることが少なくなったようにも感じた。これはミリ波レーダーの追加というアイテムを得たことが大きいのだと思う。ちなみに今回は試せなかったが、マイパイロットではワイパー作動時の機能を向上しているという。

改良されたeKクロスは、走りの高い基本性能はそのままに、最新の安全技術をさらに進化させて安心感を高めてきた。オススメは試乗したターボモデルの「T」。もちろんこれに、メーカーオプションのマイパイロットを付けたい。(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭/写真:永元秀和)

画像: 同一車線運転支援技術「マイパイロット」はミリ波レーダーの追加により機能が向上。よりスムーズな挙動に進化した。

同一車線運転支援技術「マイパイロット」はミリ波レーダーの追加により機能が向上。よりスムーズな挙動に進化した。

三菱 eKクロスT 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1640mm
●ホイールベース:2495mm
●車両重量:870kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+モーター
●総排気量:659cc
●最高出力:64ps/5600rpm
●最大トルク:100Nm/2400-4000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:CVT
●車両価格(税込):168万8500円

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