「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 マーチ スーパーチャージャー(プロトタイプ)だ。

日産 マーチ スーパーチャージャー(2010年:プロトタイプ)

画像: スーパーチャージャーからイメージされる強トルク感よりも、極めてスムーズにスピードに乗る感覚だ。

スーパーチャージャーからイメージされる強トルク感よりも、極めてスムーズにスピードに乗る感覚だ。

世界的な潮流となりつつあるダウンサイジングの波。フォルクスワーゲンのTSIが先鞭をつけた感のあるこのトレンドは、小排気量のエンジンを過給することで、燃費は身の丈を確保しつつ、より大きな排気量のエンジンに匹敵するパフォーマンスを発揮するというコンセプトだ。

最近(編集部註:2010年)の国産メーカーではマツダのDIGI(直噴)ターボしか、そうしたコンセプトの新型エンジン開発の噂はとんと聞こえてこなかった。この分野に関しては、欧州勢にやや遅れをとった感もある。

だが、日産がダウンサイジングの戦いに、ついに本格参戦するようだ。その秘策となるのが、マイクラ(日本名:マーチ)に搭載される予定の1.2L 3気筒 直噴スーパーチャージド エンジンだ。このエンジンは、フルモデルチェンジと同時に登場したマーチ用のHR12DE型をベースに、ミラーサイクル化と直噴システム(DIG)、そしてスーパーチャージャーを搭載。加えてアイドリングストップも採用する。ガソリンエンジン車としては世界最高レベルの環境性能と1.5Lエンジンに匹敵する動力性能の両立を目指して開発が進められている。

このシステムのキモとなるスーパーチャージャーは、ルーツタイプとブロアタイプを組み合わせた形状をしている。つまり、ねじれたスクリューで空気を横方向に押し込んで行くような感じだ。ちなみにこのスーパーチャージャーユニットは電磁クラッチによってオンオフが繰り返され、低速走行時は過給をカットすることで燃費をより向上させる。

1.2Lエンジン+過給器といえば、直近に発表となったフォルクスワーゲン ポロも同じ成り立ちだ。ただし向こうはターボだが、方向性としては似ている。パワースペックは、マイクラは最高出力72kW、最大トルク150Nm、CO2排出量は95g/km(MT:欧州計測モード)。ポロは77kW、175Nm、124g/km(MT:欧州計測モード)。目指すところは実に近い。

This article is a sponsored article by
''.