1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、5代目ゴルフのパワートレーンを中心に語ろう。

直噴エンジンに過給器を組み合わせて高効率化を進める

画像: ノンターボの直噴エンジン、TFSIユニットの透視図。

ノンターボの直噴エンジン、TFSIユニットの透視図。

5代目のゴルフ(以下、ゴルフ5)は新技術の導入が目立っており、とくにダウンサイジング エンジンの採用は、フォルクスワーゲンの先進性を印象づけた。

ゴルフ5の車体については前回述べたとおりで、レーザー溶接を多用して、いっそうの高剛性、高品質化を達成していた。下回りでは、リアサスペンションが、ゴルフ1が先鞭をつけた従来までのトーションビームからマルチリンクに置き換えられた。マルチリンクは、事実上ダブルウイッシュボーンとほぼ同じ方式であるが、ひと足先にフォードの初代フォーカスが採用して高い評価を得ており、ライバルとして見過ごせない状況でもあった。フォルクスワーゲンではこれを4リンクと呼んでいる。このほか、パワーステアリングが電動化されている。

エンジンについては、当初は通常のガソリン(1.4L/1.6L)とFSI(1.4L〜2.0L)、それにターボとノンターボのディーゼルが揃っていた。今まであったV5とV6は廃止されて4気筒だけになり、V型エンジンは高性能モデルのR32だけになった。

FSIは直噴エンジンで、ゴルフ4のモデル末期に初めて投入されていた。FSIの2.0Lは最高出力150psで、これはゴルフ4のGTIと同じだった。FSIは通常のガソリンユニットよりも熱効率が向上し、出力の点でも燃費の点でも優れていた。

直噴化はフォルクスワーゲンが早かったわけではないが、これを過給器と組み合わせることで、よりいっそう高効率化を進めることになる。その先陣を切ったのは、2004に加わったGTIのT-FSIエンジンである。

GTIは「GTI is back」のキャッチコピーを掲げて登場。ゴルフ4のGTIが存在感を薄めていたのに対し、ゴルフ5のGTIはトレードマークのグリルの赤いモールなどを復活させ、高性能モデルとしての訴求力を強めた。それを支えるのが大幅に強化されたエンジンで、ついに200psの大台に乗った。T-FSIは2LのFSIをターボ化したものだが、2Lターボというのは8代目GTIまで続いており、ゴルフの活性化、GTIの活性化が、このゴルフ5から再開したのだった。

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