2021年2月26日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦アークティック・ラリー・フィンランドが開幕する。新型コロナウイルスの影響を受けて中止されたラリー・スウェーデンの代替イベントとして開催されるもので、ラリー・スウェーデンと同様フルスノーイベントとなる。ラリー・フィンランドは夏に中部ユバスキュラを中心とした超高速グラベルラリーとして行われているが(かつての1000湖ラリー)、今年はフィンランドで冬にも行われることになった。アークティック・ラリー・フィンランドはどんなラリーとなるのだろうか。

完全なウインターコンディションの特殊な高速ラリー

アークティック・ラリー・フィンランドは最北部ラップランドの中心都市ロヴァニエミにサービスパークを置く、完全なウインターコンディションのラリー。ロヴァニエミ周辺は積雪が非常に多く、一部のステージは北極(アークティック)圏も走行し、それがこの大会の名の由来となっている。

低い気温により路面は全面的に凍結しているが、新雪が多く積もるとそれが走行抵抗になりタイヤのグリップ力も低下するため、ステージの出走順が早いドライバーは「雪かき役」を担うことになり不利になる。また、豊富な積雪によって道の両脇には高い雪壁ができ、ラリーカーは時にコーナー外側の雪壁の軟らかい部分に意図的にボディを当てながらコーナリングするなど、フルスノーラリーならではの特殊なドライビングも見られる。

タイヤについては、ラリー・スウェーデンと同様トレッド面に大量の金属製スタッド(スパイク)が埋め込まれた、雪道専用のスタッドタイヤを常時装着して走行する。今シーズンよりWRCはピレリがトップカテゴリーにワンメイクタイヤを供給、その新しいスタッドタイヤに合ったクルマのセットアップも重要なポイントになりそうだ。

優勝候補と目されるトヨタは、モンテカルロで優勝したセバスチャン・オジェ、昨年のラリー・スウェーデンを制したエルフィン・エバンス、地元フィンランドのカッレ・ロバンペラの3台ワークス体制でのぞむ。

フルスノーイベントは時に特殊なドライビングが必要とされるため、地元北欧のドライバーが強く、またオジェとエバンスはラリー前半は不利な「雪かき役」を担うことになることもあって、今回のラリーではとくに20歳の若手ロバンペラに注目が集まっている。

トヨタと優勝を争うことになるであろうヒュンダイは、ラリー・スウェーデンで優勝経験のあるオイット・タナックとティエリー・ヌーヴィルに加え、3人目のドライバーとしてクレイグ・ブリーンを起用。スノーラリーを得意とする3人で完全制覇を狙う。

画像: アークティック・ラリー・フィンランドに向けて強力な布陣を整えるヒュンダイ。写真は昨年のラリー・スウェーデンでのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)。

アークティック・ラリー・フィンランドに向けて強力な布陣を整えるヒュンダイ。写真は昨年のラリー・スウェーデンでのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)。

ラリーは26日金曜日の午前中にシェイクダウンが行われ、午後から競技がスタート。今大会最長となる全長31.05kmのステージを2回走行するが、2回目のSS2はナイトステージとなる。

27日土曜日は3本のステージをロヴァニエミの「サンタ・スポーツ」でのサービスを挟んで各2回走行、最後の2本のステージは暗闇の中を走る。6本のステージの合計距離は144.04kmと3日間で最長の距離を走る1日になる。

最終日の28日日曜日は全長22.47kmのステージを連続で2回走行。2回目のSS10は「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で10本計251.08km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は856.05kmが予定されている。

画像: 完全なウインターコンディションの特殊な高速ラリー

【参考】2020 WRC 第2戦ラリー・スウェーデン 結果

1位 33 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC) 1h11m43.1s
2位 8 O.タナック(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +12.7s
3位 69 K.ロバンペラ(トヨタ ヤリス WRC) +20.2s
4位 17 S.オジエ(トヨタ ヤリス WRC)+23.6s
5位 4 E.ラッピ(フォード フィエスタ WRC) +32.4s
6位 11 T.ヌービル(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +33.8s
7位 16 C.ブリーン(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m00.9s
8位 3 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC) +1m24.5s
9位 18 勝田 貴元(トヨタ ヤリスWRC) +1m59.6s
10位 58 J.フッツネン(ヒュンダイ i20 R5) +4m03.0s

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