2008年9月にフォルクスワーゲンジャパンは新しいコンパクトSUV「ティグアン」を発表しているが、この時、まずはオフロード志向の「トラック&フィールド」でデビューを果たしている。ただ、欧州では志向の異なる「スポーツ&スタイル」と「トレンド&ファン」が設定されているのはすでに知られているところで、いずれ日本にも上陸すると予想されていた。そこでMotor Magazine誌ではドイツ取材の機会に、この「スポーツ&スタイル」をテストしている。今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年12月号より)

本国のティグアンは3つの名前を持つ

フォルクスワーゲンの新しい戦略のもとにティグアンは生まれたのだと思う。それは本国のティグアンが3つの名前を持つことでもわかる。そのうちのひとつは日本にも入っている「トラック&フィールド」。あとのふたつは「スポーツ&スタイル」と「トレンド&ファン」である。

ティグアンが3つのサブネームを持つということは、それだけこのマーケットが大きいという証だろう。コンパクトSUVは、ホンダCR-VやトヨタRAV4が欧米でもすでに大きなシェアを獲得しているが、これから先もさらに伸びることが予想されているのだ。同じドイツ車では、BMW X3やアウディQ5なども同じセグメントに入るだろう。

同じボディで3つの名前という点では、昔のマークII 3兄弟と発想は同じかもしれない。装備やエクステリアデザインを少し変えて、標準的なマークIIに対してスポーティなチェイサー、大人っぽいクレスタという名前で出ていた。日本ではピーク時に3車種で月3万台を越えていたこともある。

ティグアンも同じように考えたのだろう。このコンパクトSUVというセグメントは大きな需要がありそうだが、顧客の好みに合わせるのも難しい。それなら3つの方向性の異なるモデルを作ればいいということだ。

日本に入ってきているのはオフロード志向の顔をもつ「トラック&フィールド」で、未導入の「スポーツ&スタイル」と「トレンド&ファン」はオンロード志向のフロントマスクを持っている。一番目立つ違いはフロントスカートで、「トラック&フィールド」はアプローチアングルを考えて地面に擦りにくいデザインになっている。またヘッドライト下側からラジエターグリルに続くラインはナンバープレートの下で左右につながっているが、「スポーツ&スタイル」と「トレンド&ファン」はバンパー下まで伸びて左右につながるという違いがある。

今回乗った「スポーツ&スタイル」のデザインは、より乗用車っぽくなっている。インテリアでもモデルごとにシート地のデザインも異なり、雰囲気の違うクルマにうまく作り分けられている。

サスペンションもオンロード志向の2モデルはスポーティな走りができるように、「トラック&フィールド」よりも固められている。

画像: オンロード志向のティグアン「スポーツ&スタイル」。170ps+6速AT仕様の車両価格は欧州で3万1250ユーロ。

オンロード志向のティグアン「スポーツ&スタイル」。170ps+6速AT仕様の車両価格は欧州で3万1250ユーロ。

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