モーターマガジン編集部に3台目の長期レポート車として新たに導入されたのが、ここで紹介するミドルクラスのステーションワゴン「ボルボ V60 B4モメンタム」だ。2020年10月の一部改良で導入された48V MHEVの新グレードである。レポート開始時の走行距離はわずか「58km」とまさにおろしたて状態。「新車の輸入車」初体験の私にこの先、どのような変化が待ち受けているのかワクワクしている。レポートを開始する前にまずはこのクルマの概要を解説しよう。

電動化によって機能性やプレミアム性が向上したV60

居住スペースを超高張力鋼板で囲うように構成することによる「パッシブセーフティ」と先進運転支援システムによる「アクティブセーフティ」の高さ、そしてシンプルでスタイリッシュな「デザイン」も加わって、ここ数年でボルボがプレミアムブランドであるという認識は、すでに広く浸透しているように感じられる。2020年下期には過去最高の世界販売台数を記録。プレミアム化による販売台数増は何も問題なく成功しているように見える。

販売台数を伸ばしたのはこれまでボルボを乗っていなかった、いわゆる新規ユーザーの増加が大きな理由としてあるのは間違いないが、従来からのファンの心をつかんで離さない商品力の高さも大きい。

自動車ブランドにはそのクルマづくりの方向性や性能、さらにはディーラー販売員との信頼関係などさまざまな要素から「ファン」がいる。もちろんボルボファンも日本には多く、V70→V70→XC60と買い替えた人、ボルボ850のパワートレーンや足回りをリフレッシュさせながら乗り続ける人など、私の知人にも数人いる。ボルボとしてもこうしたファンを支援し、大切にしたいという思いがあるはずだ。

そんななかでディーラー販売員を悩ませるのが、プレミアム化にともなう車両価格の上昇だという。例えば従来型V60(T4/2015年)から現行型V60(T5モメンタム/2020年)へ買い替えようとしたとき、どちらも当時のエントリーグレードなのだが約100万円(先代415万円/現行514万円)も高くなっているのだ。

さらに2020年11月、ボルボはラインアップする全車種・全グレードをPHEV/MHEVに再構成する「ボルボの電動化」を完了させた。燃費性能の向上とモーター駆動を加えたことにより静粛性の向上など、電動化による恩恵は大きく、プレミアム性を一層高められたといえる。しかし、性能・快適性向上の半面、この改良によって新旧モデルの価格差はさらに広がるかに思われた。

そこでボルボは価格上昇に歯止めをかけるべく、V60に新たなグレードを日本市場に投入した。もちろん電動化モデルで、48Vマイルドハイブリッドパワートレーンを搭載した「V60 B4モメンタム(以下、B4)」だ。電動化されたにもかかわらず、従来のT5モメンタムよりスタートプライスの低い499万円に設定されている。

画像: グレードによる装備の差の小さいボルボ V60のリアスタイル。

グレードによる装備の差の小さいボルボ V60のリアスタイル。

エントリーグレードであっても、ボルボは安全機能を省くことはしない。とくに先進運転支援システムにまつわる部分は、それこそフラグシップモデルであるV90やXC90などと変わらない装備だ。新しいボルボ車での交通事故ゼロを標榜してきたボルボは、すべてのモデルに先進安全装備群の「インテリセーフ」、車線維持支援機能やACC(アダプティブクルーズコントロール)、360度カメラなどを標準装備している。ボルボ車を手にした誰もが恩恵を受けられるラインアップ構成となっているわけだ。

ではB4は上位グレードのB5と何が違うのか、ひとつはエンジンだ。とはいえシリンダーが減るわけでも排気量が小さくなるわけでもなく、形式は2L直4ターボと同じで回転フィールや静粛性は変わらないはずだ。最高出力を197ps(B5:250ps)に、最大トルクを300Nm(B5:350Nm)に抑えられているだけ。

また、外観で大きな変化があるとすれば、ホイールサイズが17インチに1サイズ小さくなっていることくらいだろう。詳しく見ればフロントグリルやバンパーの装飾が違うのだが、大きな違いというようには感じない。ホイールサイズにしたって、サイズダウンによるメリットを考えると個人的には17インチが好みだ。アクセサリーカタログから違うデザインを選ぶのも面白そうである。

画像: タイヤはミシュランのプライマシー4で、225/50R17のサイズ。アクセサリーカタログには標準装着のこのホイールの他に、2種類のデザインが用意されている。

タイヤはミシュランのプライマシー4で、225/50R17のサイズ。アクセサリーカタログには標準装着のこのホイールの他に、2種類のデザインが用意されている。

ちなみに、長期レポート車にはオプション設定されている本革シートや、クライメートパッケージ(シート&ステアリングヒーターなど)など約60万円分の装備が装着されている。高級感と落ち着き感のあるブラウンの本革内装もいいが、いま気になっているのは標準装着されているテキスタイル(ファブリック)シートだ。明るい内装色とチェック柄のシート生地がオシャレに感じるのだが、機会があったら実物を見てみたいと思っている。(文:Motor Magazine編集部 蔭山洋平)

■第1回/2021年2月16日~3月16日(1カ月目)のデータ
・オドメーター:2329km
・走行距離:2271km
・給油量:166.3L
・実燃費:13.4km/L

ボルボ V60 B4モメンタム 主要諸元

●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4800-5400rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4200rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):499万円

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