2020年12月、ランボルギーニのCEOを務めていたステファノ・ドメニカリ氏が退任し、F1のCEOに就任することとなった。その後を継いでランボルギーニを率いることになったのが、ステファン・ヴィンケルマン氏だ。その新社長兼CEOに今後のランボルギーニについて聞いた。(Motor Magazine2021年5月号より)

■ステファン・ヴィンケルマン 社長兼CEO(Stephan Winkelmann President and CEO)
2016年までアウトモビリ・ランボルギーニの社長兼CEOを務めていたが、2016年3月からブガッティオートモービルズの社長に。そして2020年12月1日にブガッティの社長職を兼任しながらランボルギーニの社長兼CEOとなった。

電動化の時代でもランボルギーニの経営基盤に揺るぎはない

2020年12月、およそ5年ぶりにランボルギーニのトップに返り咲いたステファン・ヴィンケルマン社長兼CEOとのインタビューは、2020年の振り返りから始まった。

「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で3月から5月まで、およそ70日間にわたって会社をシャットダウンしました。これは私たちだけの理由によるものではなく、サプライヤーに起因する部分もありました。

また、第1四半期から第2四半期にかけては、世界中のディーラーネットワークがほぼ完全にクローズしていました。それでも過去最高の営業利益を記録したほか、売り上げ高や販売台数ではランボルギーニ史上2番目となる好成績を収めました。グローバルな販売台数は7430台です。

もしも新型コロナウィルス感染症の流行がなければ、販売台数は2019年を抜いて史上最高になっていたはずです。日本市場においても引き続き好調で、その販売台数はグローバルなネットワークの中で5番目に位置しています。したがって、日本はランボルギーニにとって非常に重要なマーケットといって差し支えないでしょう」

画像: ランボルギーニの好調なセールスを牽引するウルス。写真はウルス グラファイトカプセル。

ランボルギーニの好調なセールスを牽引するウルス。写真はウルス グラファイトカプセル。

ヴィンケルマン社長兼CEOは今後リリースされるニューモデルについても言及してくれた。

「6月ないし7月にはウラカンスーパートロフェオ オモロガータのローンチ(試乗会)を実施します。さらに2021年後半に向けては2台のニューモデルを発表する予定です。 2台はいずれも現行V12モデルをベースとしたものです」

初のハイブリッド(HEV)であるシアンを2019年に発表したランボルギーニが今後、電動化の道を歩むことは明らかだが、シアンに続くHEVないしBEVの導入計画はどのようになっているのかも訊ねた。

「それについては2021年4月に詳しく発表する予定です。このときは今後のおよそ10年間に関する計画を明らかにします。ただし、先ほど申し上げた2台のV12モデルのうち、1台はHEVとなることを申し上げておきましょう。これはシアンと同じスーパーキャパシタを用いたもので、最高出力が向上し、加速も改善しています。それ以外のことは、申し訳ありませんが4月の発表をお待ちください」

では、質問の方向性を少し変えてみよう。自動車産業が電動化の時代を迎えても、ランボルギーニのビジネスは安泰といえるのだろうか?

「これについては自信があります。私たちのビジネスはより強固になっており、とても良好なブランドイメージを獲得しています。また、開発メンバーはいずれも優れた能力を持つプロフェッショナルで、プロダクトの水準はかつてないほど高いものです。経営面も流動性も確保されており、将来への備えは万全です。したがってランボルギーニの未来については楽観的に捉えています」

5年ぶりにサンタアガタ・ボロニェーゼに戻ってきた印象を訊ねた。

「パンデミックの影響もあって大規模なイベントは開いていませんが、復帰後、初めて社員食堂に入っていったとき、従業員の皆さんがスタンディングオベーションをしてくれました。これには深く感動しました。ランボルギーニに戻ってこられたことを心から誇りに思っています」(文:大谷達也/写真:Automobili Lamborghini S.p.A.)

画像: 2019年に公開されたV12エンジン搭載のシアンFKP37。48Vのハイブリッドシステムを採用。

2019年に公開されたV12エンジン搭載のシアンFKP37。48Vのハイブリッドシステムを採用。

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