アウディスポーツがパフォーマンスを磨き抜いた新たなQモデルが、日本上陸を果たした。第二世代となるRS Q3と初めてのRS Q8、それぞれにアウディの新しい理想形が見えてくる。(Motor Magazine2021年5月号より)

RSはアウディラインアップでもっともスポーティにして最上級

アウディが展開するアイコン「RS」は、ドイツ語のレンシュポルト(英語ではレーシングスポーツ)を意味する。本格的なサーキット走行まで耐えられるパフォーマンスの持ち主であることを表すネーミングなのだ。

最初のRSは、1994年に登場したRS2アバントだった。ポルシェとともに開発/生産されたスペシャルなワゴンで、これを皮切りに、RSはアウディのラインナップの中でもっともスポーティで、最上級のマシンとして君臨することになる。筆者は各時代のRSモデルに試乗した経験があるが、どれも素晴らしいパフォーマンスを、リラックスしたまま味わえるところが印象的だった。

アウディが長年にわたり貫いてきたクルマ造りの不変のスローガンは「Vorsprung durch Technik」(技術による先進)であるが、RSモデルになると当然ながらその最先端を狙っている。

エンジンにパワーがあるだけでなく、それに合わせてタイヤとサスペンションをチューニング。バネとダンパーを引き締めるとともに、ボディ剛性を高める補強なども抜かりない。シートもサーキット走行に耐えられる形状になる。同時にインテリアは素材などのアレンジがより上質となり、乗り込んだ瞬間には、スポーティ感を兼ね備えた高級車の雰囲気すら感じさせる。

そんなRSの最新モデルの中でも今回は、ワールドワイドで高い人気を誇るQモデルの2台にスポットを当てよう。まずは扱いやすそうなRS Q3スポーツバックからレポートする。

画像: RS Q3 スポーツバック。やや腰高なSUVフォルムでありながら、そのフットワークは軽快かつ痛快。

RS Q3 スポーツバック。やや腰高なSUVフォルムでありながら、そのフットワークは軽快かつ痛快。

ワイド&ローなフォルムに大径タイヤを組み合わせ

全長×全幅×全高はそれぞれ4505×1855×1555mmで、オリジナルのQ3スポーツバックSラインと比べると15mm短く、15mm幅広く、10mm低い。Sラインの標準タイヤは235/50R19だが、RS Q3スポーツバックでは255/40R20に格上げされ、さらにオプションで255/35R21 98YXLという、車格を考えてもなかなか贅沢な大径サイズが設定されている。

今回のテストカーは、その21インチタイヤを履いていたが、乗り心地はやはり硬め。街乗りでは4輪が突っ張るようでバネが硬い感じの揺れ方がわかりやすく感じられた。しかしもう少しスピード域が高い首都高速などを走ると、硬さはずいぶんと和らいでいく。路面のうねり、段差などでの揺れを、サスペンションのストロークで吸収してくれるようになる。これなら十分に快適だ。やはりRSだけあって、高速域が得意なのだ。

箱根のワインディングロードでは楽しさが前面に押し出される。よく踏ん張ってくれるサスペンションと21タイヤの組み合わせが発揮するグリップは強力だ。クワトロのアシストもあって腰砕け感は皆無で、オンザレールの見本のようなコーナリングフィールが楽しめる。一見、腰高なフォルムだが、ロール角は小さく重心の高さなどはまったく気にならない。スポーツカーのような一体感とともに、ハンドル操作に気持ちを集中することができる。

搭載されるエンジンは、2.5L直列5気筒のガソリンターボで、ボンネットの中に横置きされる。最高出力400ps/最大トルク480Nmというスペックが生み出す加速感は、文字どおり痛快だ。アクセルペダルの踏み込みに対するゲインが比較的高く、わずかな踏み込みでも力強さが感じられる。さらに踏み込んでいけばそれに見合ったトルクの盛り上がりが体感できる。力が有り余っている、といった印象だ。

トランスミッションは7速DCT(Sトロニック)。通常走行では小気味良いギアチェンジが楽しめるが、一定速で走行中あるいはアクセルオフで減速中に急に床までアクセルペダルを踏み込むと、キックダウンしてギアが落ち、エンジン回転が上昇して加速が始まるまでにタイムラグを感じることがあった。これは市街地の登り坂の途中で、いったんスピードを落としてから再加速というシチュエーションでも感じられる。ことさら加速感が鋭いRSモデルだけに、そうしたラグがよけいにわかりやすく伝わってしまうのかもしれない。

それにしても、この直5ターボエンジンのエキゾーストノートはとても魅力的だ。エンジン回転の上昇とトルクの出方が明確にイメージできるのがいい。高回転域では澄んだ高音を発声し、高揚感をあおる。華やかなオレンジと上質なアルカンターラで彩られたインテリアの雰囲気もまた、気分を盛り上げてくれる要因だ。友人とワインディングロードを走りに行きたくなる。

画像: RS Q3は2.5L 直5ターボを搭載。まさに円熟の領域へと進化。

RS Q3は2.5L 直5ターボを搭載。まさに円熟の領域へと進化。

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